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台無しなのにおいしいものがあるなんて…。

食パン専門店の閉店が目立ちます。四谷駅前にあったチェーンが撤退し、同じコンセプトではじめたお店もあっけなく廃業しちゃった。
食パンだけという商品構成がウケていただけに、商品アイテムを増やすわけには容易にいかず、しかも「生」がおいしいということもあり、サンドイッチのような加工品にむかえない。
早晩、飽きられ行き詰まるのは目に見えていたのに、ブームに群がり店が増え寿命を自ら縮めた感じ。
これが例えばクロワッサンの専門店なら違った生き残り方があったんだろうなぁ…。
スイーツ系のクロワッサンや調理パンへとバリエーションが自然に広がる。
…、のじゃないかと今朝「リチュエル」でちょっと思った。

新宿ルミネの地下のリチュエルカフェ。目の前が改札口なのに不思議と静か

クロワッサンがおいしい店でクロワッサンを使ったクロックムッシュのセットが人気。
パリパリに焼き上がったクロワッサンがしんなりするのってどうよ…、と最初は思ったけれど、その「台無し感」が不思議とおいしかった。クロワッサンって懐深いって感心したもの。今日もそれ。

クロワッサンで作ったクロックムッシュ

クロワッサンの横腹に切り目を入れて、間にグリルドベーコンを一枚はさむ。
ほどよく厚くて大きくて、クロワッサンの両端から顔を覗かす立派なベーコン。しっかり焼かれて脂は飴色。細かな泡が随所に張り付き焦げた香りがなんともおいしい。

焦げたクロワッサン、焦げたベーコン、焦げたチーズ

クロワッサンの上からホワイトソースとチーズをのせて、オーブンの中で焼き上げる。焼けたチーズから脂が滲んで表面ツヤツヤ。胡椒たっぷり。

グリーンサラダの上にもベーコン。ベーコンって朝の香りがする

サイドに添えられたグリーンサラダの上にもこんがり焦がしたベーコンが散らかっていてお皿の上はベーコン祭り。銀のソーサーにのせられたコーヒーはガツンとビターで目が覚める。

銀のトレーがエレガント!

それにしてもクロックムッシュのおいしげなこと。
香りもよくて、もう食べたくってしょうがなくナイフでひと口分を切り分ける。

断面!おいしげ

その断面がまたおいしげ。
幾層にも重なり合ったクロワッサン生地。
よく焼けてよじれるようにクロワッサンの間におさまるベーコン。
ソースとチーズがからまりあって「ボクを食べて!」って言ってるよう。

ベシャメルソースとチーズ。まるでグラタン

…、でその言葉にしたがってパクリと食べる。
パリッとした感じはなくて、けれど生地がハラハラ崩れてソースと混じってとろけてく。とろけていきはするのだけれど、パリパリだった焼きたてのクロワッサンの余韻を感じるところが不思議。オモシロイ。

ひと口食べて気持ちがちょっと冷静になり、サラダを食べなきゃって思い出す。オリーブオイルベースのすっきりとしたドレッシングをまとった葉野菜。モサモサシャキシャキ、口の中をみずみずしくしてさっぱりさせる。
そしてクロックムッシュにひたすら耽る。

ほんのひと口なのに口の中で爆発する味。気が済んだ。

生地とクリーム、チーズにベーコン。さまざまな味や食感が口の中で混じり合うようでいてずっと主張をしあってて、ほんのひとかけで口が満足してしまうほど。チーズやクリームに包まれたさまはラザニアだとかグラタンみたいにさえみえて、食パンで作るクロックムッシュとはまるで違った充実感。
最後にクリームやチーズをまとわぬ部分を残しクロワッサンとベーコンの味をたのしみオレンジパクリ。コーヒー飲んでご満悦。


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