誂えたそばで作る鍋焼きそば
熱々の蕎麦を食べたい。
そう思って高島屋の中にある「小松庵」にやってくる。
そば粉100%の生粉打ちそばで勝負する店で、普通、そば屋と言えばそばだけでなくうどんも扱う店がほとんど。
けれどここはそばだけ。
にもかかわらず「鍋焼き」が人気というのが異色でもある。当然鍋焼きも蕎麦を煮込んで作ることになる。
種類も豊富で、季節によってカレー煮込みそばなんてのもあったりするのが面白く、今の季節は天ぷら鍋焼き、餅入り鍋焼きにクリーム煮込みと3種類。
天ぷら鍋焼きそばをたのんであったまる。
おやつ時にやってきて、それでも結構お客様がやってくる。しかも立て続けに鍋焼きそばの注文が5つほど入っていくのに、ファンがいるんだろうなと思う。お茶を飲みながらのんびり待ちます。窓の外の超高層ビルも、新年を待ってちょっと緊張しているようで凛々しく見える。
さて、天ぷら鍋焼きそばの到着。
土鍋の中に具材たっぷり。
落とし卵にかまぼこ、しいたけ。
炙った鴨に鴨つくね。焦がしたネギに炊いたたけのこ。
エビの天ぷらの下には海苔が隠れてて、鴨南蛮+おかめみたいな感じが贅沢。
そばはこの料理ように作られた平打ちの分厚い麺で歯ごたえ抜群。たくましい。熱々の汁の中で煮込まれて、その表面はねっとりとろけるように仕上がる。
生粉打ちらしい蕎麦の香りと若干粘るような弾力。うどんとは明らかに違う麺の食感、味わいが鍋焼きという料理をとても新鮮なものに変えてくれてるようでオモシロイ。
炙った鴨は脂がほどよくのってザクッと歯切れる。鴨独特の血の香りとでもいいますか…、上等なレバーを食べてるときに感じる香りがおいしく、鴨の団子はふっくらやわらか。なにより焦げたネギの風味豊かで芯のとろりとなめらかなこと。
天ぷらのエビは大きく太ってむっちり。汁をたっぷり吸った衣がぽってりとろけて汁に油の旨みが混じる。
餅が一枚入っていました。焦げてとろける四角い餅で、そうだ、そろそろお雑煮用の丸餅を買っておかなきゃってメモに書く。大きく分厚い椎茸をカプッと噛んで煮汁を味わい、気づけば鍋はすっかり空っぽ。体もポカっとあったまる。