夏のゴチソウ。ゴリゴリ歯切れる生のひやむぎ
新宿から歩いて家に帰る途中の新宿御苑。
雨が降るんだといいながらも、日差しは強くて歩くと暑い。
そういえば「志な乃」で夏のごちそうがはじまっているはず。そう思ってお店に飛び込む。
民芸風手打ちそばというのが謳い文句のお店です。
土間に漆喰壁の土蔵のような作りの店は、ひんやり涼しく心地よい。
夏になると「ひやむぎ」がメニューにくわわる。
自家製。
手打ちで手切りの生のひやむぎ。
もうはじまりましたか?って聞いたら6月からはじめています…、って。それはうれしい、ありがたい。それをたのんで体を冷ますことにした。
まずお茶に割り箸、薬味にタレ。薬味は豊富で大葉に胡麻に大根おろし。すった生姜にわさびにネギ。タレも大ぶりの徳利の中になみなみたっぷり。サービス精神旺盛です。
しばらくまってひやむぎ到着。
大きな丼に氷を浮かべてやってくる。
真っ白じゃなくちょっと黄色みがかった色をしていて、平べったくって色の薄い蕎麦のよう。
箸で取り上げタレにとっぷり。
スルンと手繰り上げるとスルスルつるつる、唇撫でて口の中へと滑り込む。
そのスベスベなることそばやうどんの比ではなく、これがなかなか心地よい。
しかも麺はハリがあってゴリゴリ歯切れる。うどんのように粘らない。どちらかといえばパスタのアルデンテの状態とでもいえばいいですか。奥歯をゴンゴン叩くような食感が特徴的でオキニイリ。
冷たくされてもなお小麦の匂いがおいしくて、タレが本来絡みにくいスベスベの麺にもかかわらずタレがしっかりからんでくれる。
色は浅くてカエシの味や風味よりも出汁のうま味を感じるタレです。
氷水から引き上げてとっぷりつける。…、漬け続けます。だからタレはどんどん薄まっていく。けれど薄くなるからと言って味がなくなることがない。しかもたっぷり提供されてて、そば猪口にとくとく注いでスルスル食べるの繰り返し。
あっという間にお腹の中におさまって、体が涼しくなってきた。そば湯をタレに注いでゴクリ。フーッと息をつきました。