陽暉楼と高知、土佐
愛媛県松山の出身なのに土佐弁を流暢にあやつる友人がいた。
高校の同窓生でしかもゲイ。
この子を落としてやろうというときに、自慢のバスボイスで耳元にそっと囁く。
おまんのことすいちょるき…。
あなたのことが好きなんですって意味の土佐弁。
これをボクらの出身地、松山の言葉にすると「あんたのこと好きなんよ」ってなるんじゃないかなぁ。
実は伊予弁をまともに喋ったことがないから、それが正しいのかどうかは自信がないのね。
方言チャートっていう質問に答えていくと出身地を当ててくれるというウェブサービスがあって、何度チェックしてもボクは高知出身になる。
父は高知に店も持っていて、高知出身の社員がうちにはたくさんいた。
ふわふわしてナヨナヨして聞こえる伊予弁よりも、彼らが使う土佐弁の方が男らしくて憧れがあったのでしょうか…、ボクの友人が人を口説き落とすときに土佐弁を使う気持ちもよくわかる。
…、とそんなことを思ったのが最近、観返した「陽暉楼」で土佐弁をこれでもかって聞いたから。
高知の遊郭を舞台にした物語。
不幸を選んでしまう女の色と儚さを描かせたら当代きっての名監督、五社英雄の作品で、こってりとした極彩色の女と男のドラマを観てたら、ちょっと書いてみたくなる。
宮尾登美子、五社英雄、高知三部作の一作です
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