そうだ、雲呑をおいしくしよう…。
友人に中目黒まで出てこないか…、と言われて電車で中目黒。
若い人たちがおしゃれに住まうエリア。おしゃれにたのしみおしゃれに飲む店がたくさん集まっていて話題の店も数多い。
おしゃれを狙った店が苦手なボクにとっては完璧アウェイで、長い間来ていなかった。
新宿からは三丁目の駅から地下鉄で乗換なし。10分足らずの移動でこれるというのにまずびっくり。もしかしたらと見に行った目黒川の桜はひとつたりとも開いておらず、そういえば暖かくなったのはここ数日のことだもんね…、と納得をする。
用事をすまして昼ごはん。雲呑麺を食べに行こうよと「広州市場」にやってくる。
新宿にもお店があってランチ時には行列ができる繁盛店。前から来てみたかったけど機会がなくて今日がはじめて。ボクにとってラーメン店はおいしい、まずいでなく「あう、あわない」で選ぶもの。気合が入りすぎていたり、商品が威張っていたりする店は苦手でなかなか新しい店に気持ちがいかない。
付き合ってくれた友人は、ラーメン店選びの判断基準が似ていてそれでいい機会…、と思って入った。
小さい店です。けれど決して居心地悪くはなくてなにより厨房がキレイでピカピカ。お店の人はにこやかで、元気すぎずけれどハキハキテキパキしてる。なにより空気がきれいでおいしく、いいムード。
雲呑麺用の肉雲呑をつつむ小さな厨房が入り口脇にあって、手空きの女性スタッフがニコニコしながらくるんでる。手際見事で、しかも中国系の人たちだからそれだけでもおいしく感じる。いい工夫。
テーブルの上に並んだ薬味や黒酢、タレがどれも日本離れしているところも期待が膨らむ。
海老雲呑麺を清湯スープ、醤油味で注文しました。
油を加えぬクリアなスープ。鶏ガラのうま味と野菜の甘みで味は整いクセが無いから食べやすい。
麺は細めの縮れ麺。
これまた何かを主張するでなく、スープとの相性を優先して選ばれたんだろう…、って思うほどよき状態。
とにかく主役は「雲呑」なんです。
海老雲呑はエビ一尾をエビのすり身一尾分で包み込んで仕上げているからずっしり大きく、ずっしり重たい。生地は薄皮。トゥルンとしていてのどごしがよく、エビはぷりぷり、噛みごたえがよい。
肉雲呑麺をたのんだ友人から一個雲呑をわけてもらうと、これこそトゥルンと口の中に滑り込み、あんはふっくら。あっという間にお腹の中に飛び込んでいく。
薬味として用意されている食べるラー油のおいしいこと。ほんのちょっと乗せただけでも中国の人がやっているお店の匂いや風味に変わる。この専門性を最初から押し付けるのでなくお客様の好みに任せる姿勢が多くの人の気持ちをとらえるんでしょう。
しかも雲呑という、チェーン店がおいしくしようとする努力をほとんどしない料理をおいしくしてみせる。おいしくするだけでなく、目の前で作ってみせるという工夫。
悪くないなぁ…、とても賢い。ラーメン店でラーメンの味をおいしくする努力はどんどんマーケットを小さくしていく努力になるけど、雲呑、餃子、焼売のようなものをおいしくする多くのファンを作る工夫になるんだなぁ…、と感心しました。
ランチサービスで選べたハーフサイズの麻婆豆腐飯もほどよく専門店的でよし。よい勉強をいたします。
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