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10分待っても釜揚げうどん
ひさしぶりに麺通団。
先週来ようと思って近所で、日乃屋カレーにひっかかって結局来れずじまいになってた。
ボクの両親は讃岐出身。タナカくんは高松の大学を出て高松で就職した人。だからさぬきのうどんは身近な存在。
特にタナカくんは「恐るべきさぬきうどん」っていう本のイラストを描いてたこともあるくらいで、讃岐のうどん屋さんには一家言を持っていた。
東京にはうまいうどんがないよねぇ…、ってぶつくさ言ってた矢先にできたのがこの麺通団。
何しろ、恐るべきさぬきうどんって本そのものが、讃岐のうどん屋を食べ歩きレポートしていた「麺通団」の活動がベースになっていたものだから、「麺通団が店になったんだ」ってうれしそうにやってきていたものでした。
今日は先を急ぐでもなく、だから釜揚げうどんを食べようと茹で上がりまで10分ほど、入口近くの釜の前で待つ。
壁にさぬきのうどん屋の地図が貼られてて、待ってる間、ぼんやりそれを眺めてた。ボクは松山生まれて松山育ち。だから讃岐はほぼアウェイ。タナカくんの方がうどん屋さんには詳しくて、母に会いに行くたびついてきてもらい、讃岐うどんの食べ歩きをしたものでした。
あの店も、この店も一緒に行った…、ってなつかしくってウルッときます。
「釜揚げ、おまたせ」って呼ばれて熱々の丼もらって天ぷらをとる。
2ヶ月ほど前に来たときはまだコロナでビクビクしていたころで、天ぷらの上に透明シートの覆いがかかっていたけれど、今日は通常モードに戻っていました。
ちくわの磯辺揚げを一本。
わかめを混ぜ込んだおむすびを一個もらって、ネギと生姜と天かすどっさり。
釜揚げ用のタレをもらって、ついでにコップにかけ用のダシ。
釜揚げのタレに天かすと生姜にネギを突っ込んでうどんをとっぷり漬けてズルンとたぐる。
洗ってないから小麦の香りがムワリと口に広がっていく。麺の香りや小麦の風味を味わうのならやっぱり釜揚げ。10分待ったかいがあります。オゴチソウ。
タレはいりこの香りがむせるように濃厚で、香川県の甘くて旨い醤油の風味がうどんにからんでゴチソウにする。たっぷり入れた天かすの油が染み出しコクになり、ネギの食感、生姜の辛味。小麦の香りが渾然一体。色気を感じるオゴチソウ。
茹で上がったときには角があったうどん。水でしめていないから茹で汁の中でどんどん熱が入っていって角がとれ、徐々に芯までやわくなってく。最初は噛んで食べてたうどんも、半分ほども食べた頃からスルンと喉にすべり込む喉で味わうゴチソウになる。
ちくわの磯辺揚げは熱いかけ出汁を入れたコップに突っ込んで、衣をしんなりさせてパクリ。ちくわはムチュン、衣がポッテリ。天ぷら油がとけこんだかけ出汁自体もコクがでて、ゴクゴク飲みつつうどんをズルリ。
今度、高松に行くことがあったら「さか枝」のかけに「はりや」の鳥天ざる、「ばかいち」の釜かけ食べなきゃって言ってたのにネ。母にも会えずうどんの国ははるか遠くになりにけり。