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Rendez-vous à l'Hôtel Impérial
待ち合わせの場所はたくさんある。
気軽な場所。
便利な場所。
絶対に間違えることがない場所。
ひめやかで内緒の出会いのための目立たない場所。
おとなになるということは、さまざまな待ち合わせ場所を必要とする人になるということでもあるから、待ち合わせの場所をたくさん知っているという人生は、もしかしたら豊かな人生…、かもしれない。
さまざまな待ち合わせ場所の中で、ボクにとって最上級の待ち合わせ場所といえば帝国ホテルの一階にある「ランデブーラウンジ」。
フロント前の大きな空間を占拠する、いわゆるホテルのロビーラウンジ。
静かすぎず、騒騒しすぎず、目的をもって探す人には見つかりやすく、けれどこの空間に紛れてしまえば自分の気配を消すこともできる。
椅子はゆったりしていて、テーブルは低い。
仕事をするにはふさわしくなく、けれど仕事の話をするには最適で隣のテーブルは遠く、広い通路で隔てられているから話がまるで気にならない。
しかもなにしろ「ランデブー」です。
ランデブーって使わなくなったなぁ…。
かつて大人のデートはランデブーと呼ばれた時代があって、例えばフランク永井の有楽町で逢いましょうの逢うはデートではなく絶対ランデブーだっただろうと今でも思う。
銀座のきれいな夜の蝶とまず待ち合わせをすることを「同伴」と呼ばず「ランデブー」と呼べばなんと艶っぽくって謎めいて感じることか…。
「逢い引き」という言葉を外来語にするならこれも絶対にランデブー。
今じゃ、「あいびき」と入力して変換すればまず最初の候補に出てくるのは「合い挽き」であって「逢い引き」じゃない。
まぁ、それはもしかしたらボクの食いしん坊辞典固有の性格かもしれないけれど、かつて宇宙ステーションと宇宙船とのドッキングもランデブーでありました。
そう思って、ラウンジに集まり語らう人たちをみるとどこか艶かしくて、そわそわしているようにも見える。
これから仕事。セクシーなビジネスがはじまりそうな予感がします…、朝のコト。