ビジネスクラスからエコノミークラスになっちゃった…。
新宿三丁目に「クレッソニール」って気軽なフランス料理の店がある。
交差点に建つビルの地下一階にあってランチタイムには待ちの行列ができる人気のお店。
渋谷にコンコンブルっていう姉妹店があって、そちらも人気だったけどコロナの影響もあってでしょうか…、昨年閉業。
長い間、来ていなかった。
調べてみたら4年ほど前に来たきり。
そのときの日記には「ワンプレートのフルコース」ってタイトルつけてた。
銀のトレイの上にサラダやスープ、メインディッシュにデザートまでが並べられてやってくる提供スタイルが合理的なんだけど優雅でずっと好きだった。
写真はそのとき撮った当時の写真。トマトの肉詰めに白身魚のピカタを追加したメインディッシュにサラダにポタージュ、パンペルデュ。これで2000円ちょっとと言う抜群のお値頃感を再び体験いたしましょう…、と思ってきます。
一日20食限定というトマトの肉詰めを選んで待った。
アコーディオンが陽気なのに物哀しい独特な音色で歌うBGM。ボーダーのカットソーを着てベレー帽をかぶった太っちょおじさんがニコニコしながら弾いてる感じがするのがオモシロイ。テーブルの上には水の入ったピッチャー、グラス。紅白チェックのクロスも明るい。昔のまんま。
ただお店は不思議なほどに暗くて、雰囲気があるというよりも照明をつけ忘れているんじゃないかって感じがさみしい。昔はもっと明るくってキラキラしていたような思い出。
そして待ちます。相当に待つ。10分、そして20分。
開店とほぼ同時に入店したのです。ボクの前には5組10人。彼らの料理も出てこない。コース分の料理を一度に提供するため手間取っているんだろうなぁ…、と思うもあまりに時間がかかる。
30分を過ぎた頃にポツリポツリと料理が出はじめて、ボクの料理が届いたときには40分がたっていました。
しかもトレイの上にあるのはスープとメインのトマトの肉詰め、パンにコーヒーカップ。
サラダもデザートも追加注文対応になっていました。
ビジネスクラスの機内食がエコノミークラスになっちゃったみたい。
これだけの料理を用意するのになんでこんなに時間がかかるんだろう…、って不思議に思う。
もしかしたら今日だけのことなのかも知れず、もし恒常的にこんなに時間がかかるとしたら提供方法や献立を変える工夫をしたほうがいいんじゃないかと思うけど、銀のトレイですべてを一度に提供するというのがここの売りだからそれは出来ないということでしょう。
ここのお店の売り物は料理以上に銀盆というわけ。
料理はしみじみおいしいのです。トマトの中にひき肉をたっぷり詰めてオーブン焼き。トマトの酸味とうま味が口の中でソースのようにふるまうおいしさ。なによりマッシュポテトがなめらかで、ポッテリとしてそれと一緒にひき肉を食べるとたまらぬオゴチソウ。
パンをちぎってソースをまとわせ拭い取り、器はなめたようにきれいになった。それでもお腹が満たされず、お腹以上に気持ちがまるで満たされることがないのがいささかなやましい。
お金を払うときにレジの前から厨房の中を覗いたら、なんと3人も調理人が働いていた。なのにこれだけ時間がかかる。1650円という値段が果たして適価かどうか、分からずじまいの昼ごはん。
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