銀だら大根を食べて昔をなつかしむ…。
雨の日は胸が重たい。家の近所で一日過ごそうと昼に荒木町を歩いてみた。
車力門通りの入り口近くに「さわ野」という日本料理のお店がある。
タナカくんが逝く一ヶ月ほど前にはじめてランチを食べに来た。丁寧な料理がいたく気に入ってそれから何度か。
タナカくんが逝く10日前にも一緒に来た。思い出してみればどの日も不思議なことに雨の日。
なつかしいなぁ…、と開店前のお店の前でぼんやりしてたら扉が開いてご主人が顔を覗かす。当時、武者絵にハマってたタナカくんが描かせてほしいと直談判し写真を撮らせてもらった凛々しい武士顔。下絵がiPadに入っているのは知っているんだけどパスワードがわからず見れず仕舞になってる。もったいない。
なつかしすぎてずっとこれていなかった。ご主人と目があったのをいいきっかけにと今日はここで昼をとる。
銀だらと大根の煮付けがメインの定食にする。
最後にここに一緒に来たときに彼がたのんで食べた料理と同じもの。
脂の乗った分厚い切り身。
よく煮込まれて飴色になった大根。
上には揚げた茄子が二切れ、オクラが2本彩りそえる。
煮汁はさらっとしているけれど味がしっかり素材に入った上等で上品な仕上がりは相変わらずでおいしい匂いが食欲さそう。
季節で変わる炊き込みご飯がおいしかった。
今日は新生姜とちりめんじゃこが具のご飯。醤油の香りが鮮やかで出汁の旨味がご飯の芯まで染み込んでいる。軽いおこげが香ばしくちりめんじゃこがカシっと潰れてうま味がにじむ。シャキッと歯切れる生姜がほのかに辛くて気持ちがハッとする。
お惣菜が3種類に漬物に汁。
厚焼き玉子に切り昆布とわかめの和え物。ほうれん草のおひたしにあさりのぬた。
そういえばはじめてここにくるきっかけのひとつがお店の前に「「今の季節は貝がおいしい」と達筆で書かれた夜のメニューが貼り出されていて、貝好きセンサーにひっかかったから。今日のぬたもアサリたっぷりで、「今度は夜に来てみようよ」と言っていたことを思い出す。
ブルンとはじけるような銀だらのおいしいこと。味がしっかりしみた大根がクチュっと潰れて口が潤う味わい深さ。なにを食べてもなつかしくひさしぶりに泣いちゃいました…、また来よう。