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カレー南蛮に海老天のせて
カレー南蛮を食べようと四谷三丁目の尾張屋にくる。
この前に来たときは、ひとりでお店の中にいることそのものが寂しくて、哀しくてかつ丼食べながらポロポロ泣いてしまったけれど、今日はなんとか心おだやか。
ぼんやりしながら料理を待った。
ここのカレー南蛮蕎麦はふたりの大のオキニイリ。来ると大抵、かつ丼とカレー南蛮をたのんでふたりで分けて食べていた。
カレー南蛮に餅を入れたりネギを多めにとかカスタマイズするのが好きで、中でもこれは最終兵器クラスだね…、って気に入っていたのがエビ天一本、小ライス付き。今日はそれをたのんで食べる。
大ぶりのエビを使った立派な天ぷら。別添えにして律儀に天つゆもついてくるのだけど、それは使わずそのままカレー南蛮の上にのっけて食べるのが好き。
ぽってりとしたカレースープに揚げたての天麩羅が浸ってジューッと湿った音がする。カプッとひとくち、ひと齧り。プチュンと歯切れるたくましいエビ、崩れる衣。甘くてなんとも香ばしく、それをグイッと汁に漬け、取り上げご飯の上にのっける。
カレー天ぷら丼みたいな料理が完成。これがどうにもおいしくて気に入っていた。
カレー味にしても汁の旨味や出汁の風味は損なわれずに、軽い渋みと酸味がおいしい。熱々の汁に浸かった蕎麦にはグングン熱が入って、最初の歯切れやザクザク感はなくなっていく。かわりにそばが、麺の形をしたカレーのようになっていくのがたまらぬゴチソウ。
すっかり全部きれいに食べて、今日は泣かずにすんだなぁ…、って表に出たら雨がポツンと落ちてきて寂しくなって泣いちゃった。