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1200円ではもうしわけないほどのゴチソウ
うちの近所に「シェフス」っていう上海料理のお店がある。
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上海蟹で有名な店。タナカくんと何度か一緒にきたことがある。
丁寧な仕事で作り出される上等な料理に来るたび、感心させられた小さなメゾン。
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いつもキレイに整えられていて、テーブルの上には花。おもてなしの気持ちにあふれる空気がステキ。
昼は気軽な値段の料理が揃う。黒酢あんかけのパイコー丼もいいなと思うも、鶏好きさんのタナカくんを思って「海南丼」を選んでたのむ。
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鶏もも肉をオーブンで焼いて仕上げてご飯の上にのせているという。
15分ほどかかりましたか…、お待たせしましたとおいしい匂いと一緒にやってきた海南丼のおいしげなことにまずはウットリ。鶏肉の上には刻んだネギにパクチー。タレがたっぷりかけられている。
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蒸して仕上げることがほとんどの海南鶏。
鶏の脂の匂いや皮のブニブニした食感が好きじゃないので、どちらかと言うと苦手な料理。
皮を剥いではタナカくんに食べてもらって肉だけ食べてた。
けれど皮がパリッと焼けていれば平気で、だからここの海南丼はまるでボクのために誂えられたような感覚。
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焼けた鶏もも肉のおいしいコト。
分厚く脂がのっていたのでしょう…、皮はサクサク。鶏のおいしい部分が遺憾なく引き出されていて鶏好きさんがどれほどよろこんだだろう…、って思う出来栄え。惚れ惚れします。
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最初に舌に鶏の脂をひんやり感じる。脂のとろみとでもいいますか…、そこに刻んだネギのみずみずしさが追いかけてくる。シャキシャキとした歯ごたえもよくほどよく、甘酸っぱいタレがそこにからんでく。
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あらかじめ鶏は切り分けられていて、その大きさがギリギリひと口大というもの。口の中を思う存分満たす感じがまたオゴチソウ。
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大根ときゅうりを切り昆布と一緒に漬けた酢漬けにザーサイが付く。見事に薄く切ったザーサイ。塩の加減がほどよくてご飯の上にひらりとのっけて一緒に食べると、パリパリシャクシャク、硬めご飯をおいしくさせる。
大きなグラスにたっぷりのお茶もおいしい上等な昼。オキニイリ。