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7割を目指す講義NO.18 2016年社会福祉法改正



1.2016年社会福祉法改正


2016年の社会福祉法改正は、福祉サービスの供給体制の整備及び充実を図るための改正になります。

主なものには、社会福祉法人制度の改革がありました。

社会福祉法人とは、本来であれば国が行うべき社会福祉事業を行うことを目的として、社会福祉法の定めるところにより設立された、公益性と非営利性の両面の性格を備えた法人を指します(第22条)。

非営利性とは、利益の分配を目的としていないことを意味します。

ですから、収益事業をしているからといって、営利性があるとはなりません。
営利性がある法人は、株式会社などになります。株式会社は、株主に利益を配当として分配します。だから、営利性がある法人になります。

社会福祉法人は、本来であれば国が行うべき社会福祉事業の公共性を高め、社会的信頼を得るために、旧民法第34条に基づく公益法人(公益を目的とする事業を行う法人 公益社団法人と公益財団法人とがある。)とは別個の社会福祉事業のための特別法人を創設するということで、1951年、昭和26年の社会福祉事業法制定時に創設された法人になります。

あえて別個の特別法人として社会福祉法人を創設した目的は、公の指導監督を受けることを前提に、助成を受けることを可能とすることなどでした。
本来であれば社会福祉事業は国が行うべきものです。しかし、これを民間の法人にやってもらう。当然ですが、施設の建設、維持管理等の資金が必要となります。これを民間の法人だけで捻出することは困難なので、これについては公的資金で賄う必要があります。
しかし、第二次世界大戦後、GHQが示した公私分離の原則(公的責任は民間にむやみに移譲、依存してはならない)とその影響を受けた日本国憲法第89条の規定により、民間団体・施設は、公費補助金が打ち切られ、組織存続の危機を迎えました。
そのために、社会福祉事業法を制定し、行政機関が、指導監督をすることと助成を与えることをセットにした法人として、社会福祉法人を創設したわけです。

憲法第89条
「公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。」

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