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7割を目指す講義NO.19 2017年・2020年社会福祉法改正



1.2017年社会福祉法改正


2017年改正は、地域共生社会の実現に向けた取組を推進するための改正になります。

地域共生社会とは、制度や分野(介護、障害、子育て、生活困窮)ごとの縦割りや支え手と受け手という関係を超えて、地域住民や地域の多様な主体が、我が事として参画し、人と人、人と資源が世代や分野を超えて丸ごとつながることで、住民一人ひとりの暮らしと生きがい、地域をともに創っていく社会を言います。

これまでの日本の社会保障制度では、疾病や障害、出産や子育てといった人生における典型的なリスクを想定して、その各リスクに対して、現金給付や福祉サービスを行うという形で、社会保障を拡充してきました。その結果として、生活保障やセーフティネットの機能は各分野ごとに大きく進展し、社会福祉の分野では、生活保護、高齢者介護、障害福祉、児童福祉など、属性別・対象者のリスク別の制度が発展し、専門的支援が提供されるようになりました。

ただ、一方で、社会も変化していきます。次第に社会が経済的に豊かになっていきましたが、他方で、個人が抱える生きづらさや、リスクが複雑化・複合化していきました。
そのような中で、従来の縦割りの公的支援の仕組みでは、これらの複雑化・複合化したリスクに対するケアがしきれないというケースが発生してきました。
例えば、障害を持つ子の親が要介護状態になった世帯、80代の老親が無職でひきこもりの50代の子どもの生活を支える8050問題を抱える世帯、同時期の介護と育児のダブルケアをしている世帯(その背景には、現役世代の晩婚化、晩産化の傾向がある。)など、複数分野にまたがる問題を抱える家庭。その他にも、世帯全体が社会的に孤立している場合の問題や、従来の制度が対象としないような身近な生活課題(ごみ出しができない、買い物、通院ができないなど)への支援の必要性の高まり。あるいは、軽度の認知症や精神障害等が疑われるものの、公的支援制度の受給要件を満たさない「制度の狭間」に落ちてしまうケースなど、こういったケースが出てきたわけです。

アウトプットの練習をしましょう!

第34回第27問の選択肢
新しい社会的リスクやそれへの対処に関する問題で、「ダブルケアとは、老老介護の増加を踏まえ、ケアを受ける人と、その人をケアする家族の双方を同時に支援することを指す。」との内容の正誤が問われています。

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