一部上場デベのアマゾネス軍団、「若い男を寄越せ」とやりたい放題だった

もう、「今は昔」のお話しです。
その昔、私は新築マンションの分譲広告を制作する仕事をしておりました。
その世界では「制作プロダクション」というカテゴリーの会社を経営していたのです。社員も最盛期には6人くらいいたでしょうか。
私の会社が直接仕事をもらうのは広告代理店からです。電通や博報堂といった大手ではなく、新聞社の名前を冠したような2流、3流の広告代理店がほとんど。
その代理店の向うに、広告の発注者であるマンションデベロッパーがいます。彼らのことを、我々サイドは「クライアント」と呼んでいました。
私は、そういった広告代理店の営業担当と共にクライアントであるデベロッパーへ打ち合わせに行くことが、日常の主な業務になっていました。
20代後半からの私は、制作プロダクションの社長だったのです。

私は24歳で東京にやってきて、「不動産広告の電通」と呼ばれていた3流の広告代理店にコピーライターとして雇われました。そこで嘱託社員とか契約社員という賎民待遇で2年半を過ごした後に、退社して自分の会社を立ち上げたのです。
私が2年余り在籍した会社の主なクライアントはマンションデベロッパーです。
残念ながら、不動産業は今でも学生が就職したい人気業種ではありません。ましてやその頃はバブル。華やかな業種は他にいっぱいあって、優秀な学生がそちらに流れます。それは今でもそうです。
不動産業に流れ着くのは、就職戦線を落ちこぼれた連中。
三井や三菱と言った財閥の冠のある会社は、多少なりとも優秀な社員がいました。しかし、「やっとこさ一部上場」とか「数年後には上場を目指す」レベルのマンションデベロッパーには、優秀な人材に恵まれていません。
言ってみれば「アホばかり」です。ましてや、その「アホばかり」に使われているマンションの販売会社に至っては「日本語が通じるのか?」というレベルでした。

そのまた下請けにいる広告代理店の賎民階級のコピーライターが私だったのです。
だから、日々いろいろなことが起こります。クライアントから「昨日言ったことと逆のことを言われで怒鳴られた」なんて日常茶飯事。あるいは「それは絶対無理でしょ」みたいな要求を突き付けられたり、担当者の「言っていることがよく分からない」みたいなことも多かったですね。
ある時、私が「士農工商・・代理店」と言いますからね、と口にしたら先輩が優しいまなざしで答えてくれました。
「君、それは違うよ。士農工商『犬猫』代理店なんだ。僕らは犬猫よりも下なんだよ」

私が独立して制作プロダクションを経営するようになってから思いました。
私は「士農工商犬猫代理店」のそのまた下請けなのです。それはそれは、インドのアウトカーストよりもさらに下に位置づけられるところに身を置いたわけです。

一方、我々がいた世界における広告の発注側であるマンションデベロッパーは、「神様、仏様、お客様」です。「ご無理、ごもっとも」なんて当たり前。クライアント様が白いものを黒と言われたら「ハイ、その通りでございます」といわねばならないのが代理店であり、そのまた下にいる外注業者が私たち。

このお話は、そういう関係性の基で起きたエピソードです。
舞台は、当時の我々が「ヤエス」と呼んでいた一部上場のマンションデベロッパー。当時でマンション供給戸数の上位5社には、常連で顔を出す会社でしたね。
そこの広告発注部門はなぜか全員が女性でした。それも若い女性ばかり。だからこそ、ここで語るような珍騒動が起きたのでしょう。
以下のお話しには、私の想像を加味したフィクションも含んでいます。
それをご承知いただいたうえでお読みくださればと思います。
誰にでも読んで欲しいとは思いませんので、恐縮ながら有料100円です。

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