2021年2月に消えた幻の記事「晴海フラッグはすでに詰んでいる」
以下は3か月ほど前にある不動産仲介業が運営しているメディアに寄稿した私が書いた記事です。
インパクトがあったのかどうか、他のニュースメディアにも転載されました。しかし、なぜか数日後にはアクセスできなくなっていました。
その後、別のメジャーなニュースメディアにやや中身を改編して掲載されました。
ただ、記事としてのインパクトはやや薄まった感じがしましたので、改めてnoteで公開させていただきます。中身はあえて2021年の1月下旬に執筆したままの状態にしておきます。
また、公表されたものは編集者の手が多少入っていましたが、以下は原文のままです。
ご興味と関心のある方だけに読んでいただきたいので、あえて有料とさせていただきます。
以下、本文です。
東京五輪の開催がますます怪しくなってきた。
菅政権は何とか開催したい、というスタンスだ。しかしアメリカのバイデン大統領は菅総理との電話会談で「安全に開催できるかどうかは科学に基づくべき」と言ったと伝えられている。
「科学に基づく」ということは、WHOあたりが中止を勧告したら中止もしくは延期するということかと解釈できる。WHOは五輪に関して利害関係がないから、純粋に医学的な立場からモノを言う可能性がある。となると、「開催OK」と言って後で何かあった時の責任追及を避けるために、慎重になるはずだ。
つまり、科学に基づけば開催は不可能、ということになる。
五輪が中止になれば、選手村跡地を分譲マンションに改装する東京都中央区の「晴海フラッグ」という分譲総戸数4145戸の大規模マンションの今後が、一気に不安定化する。
販売は2019年の夏に始まり、すでに約900戸についての売買契約が終わったと広報されていた。
2020年、五輪の開催延期が発表されると晴海フラッグの売主は「手付金返還でのキャンセルを認める」と契約者に通知した。キャンセルできる期間は「引き渡し時期が確定するまでの間」とされている。
仮に2021年夏に五輪が延期開催されれば、引き渡しは当初の23年から1年延びた24年の4月になるのではないか。
しかし、21年の開催が中止されたらどうなるのか?
先ごろ、この晴海フラッグの購入契約者24名が「延期されたことによる損害の補償」を求めて東京地裁に民事調停を申し立てた、というニュースが報道された。
引き渡しが延びれば、その間の住居費負担が発生する。子どもの入学などの予定も狂うだろう。金銭的な負担が生じることは容易に想像できる。
しかし、晴海フラッグの売買契約書の中には「売主の責に帰せられない事由により入居時期が変更になった時には、買主はそれを承諾する」という内容の条項があるそうだ。当たり前だが、建物の完成前に購入契約を結ぶことが多い新築マンションの売買契約書には、その手の条項が必ず盛り込まれている。
今回の新型コロナの感染拡大については、売主側の責任を問うことは不可能だろう。ということは、買主側が訴訟に持ち込んでも勝てる見込みはない。敗訴が確実と見通せるのだ。
だからハッキリと判決が出てしまう訴訟よりも、世論を味方につけて少しでも補償を引き出せそうな民事調停に持ち込もうとしたのだろう。
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