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常にお客様を感じながら、一つひとつの仕事に心を込める【酒井商会で働く #04】

渋谷にて『酒井商会』『SHIZEN』、恵比寿にて『創和堂』を営む株式会社酒井商会では、様々な個性をもつメンバーが働いています。連載「酒井商会で働く」では、それぞれのスタッフがどんな想いをもって酒井商会で働いているかを語っていきます。今回は『創和堂』の料理長をつとめる戸村優介(とむら ゆうすけ)です。

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いつもお店にお越しいただいている方も、​はじめましての方も、ご覧いただきありがとうございます。戸村優介と申します。

私が酒井商会で働きはじめたのは2022年11月。渋谷の『酒井商会』にて勤務を開始し、2023年2月に『創和堂』に異動。煮方、焼き場、刺し場など、各ポジションを経験した後に、2024年春より『創和堂』の料理長に就任しました。

酒井商会で働く以前

私が料理の道を志したのは、家族の影響が大きいです。

小学生の頃、授業参観で料理の授業がありました。私が作った料理を両親がとても喜んで食べてくれたことで、料理が好きになり、家で母や祖母の料理を手伝うようになりました。母も祖母も料理好きで、特に祖母は手作りで味噌や梅干しを作るほどでした。そんな環境で育ったことで、自然と料理の世界への興味を深めていったのだと思います。

本格的に料理の勉強をはじめたのは、大学を卒業してからです。大学では陸上競技に打ち込みましたが、その後の進路を考えたときに、昔から好きだった料理の世界で働きたいと思い、改めて調理学校に入学することを決めました。

和食が好きだったこともあり、日本の伝統的な料理を深く学びたいという思いから、日本食の道に進みたいと思いました。そして、卒業後は、日本料理の『くろぎ』で料理人として約9年間働かせていただきました。

くろぎを選んだ理由は、オーナーシェフの黒木純さんの存在に強く惹かれたからです。くろぎの料理は、伝統を大切にしつつも最先端の感覚があり、ぜひ黒木さんのもとで修行したいと思いました。

くろぎの特徴の一つは、全席がカウンターであることが挙げられます。ライブ感を大切にし、お客様の目の前で料理を仕上げながら、会話を交えて料理を提供していきます。常にお客様に見られているという緊張感は、料理人としてのやりがいを強く感じさせ、このスタイルは自分に合っていると感じました。

約9年間にわたる『くろぎ』での経験が、私の料理人としての土台を築いてくれたと感じています。黒木さんをはじめ、一緒に働いた先輩方や同僚には、心から感謝しています。

そのような環境で日々鍛えられる中、料理を学びはじめた頃から抱いていた「いつかは自分の店を持ちたい」という夢を強く意識するようになり、自分も日本料理の店をやりたいという思いが芽生えていきました。それと同時に、他の日本料理のお店でも経験を積み、自分の見識を広げたいという思いが強くなり、転職を決意しました。

その後、土鍋ごはんを目玉とする和食のお店『恵比寿 米ル』を経験した後に、株式会社酒井商会に入社しました。

(▲)『くろぎ』で働いていた頃の一枚


酒井商会で働くことになった経緯

酒井商会のことは、転職先を探している中で、求人サイトを通じて知りました。

居酒屋という業態でありながら、割烹スタイルで高いクオリティのお店であること。それと、私は結婚して家族がいるため、休日がしっかりとれる職場であること。この二つの点に特に惹かれて、酒井商会に興味を持ちました。

はじめて面接で酒井商会を訪れた際、すぐにここで働きたいと感じました。自分が将来開きたいと思っていたお店のイメージとぴったり重なったからです。洗練された空気感があり、お客様との距離も近く、ライブ感をもって料理を提供できる環境。そして、規模感も自分にとって理想的でした。

また、オーナーであり料理人でもある酒井は、自分と年齢が近いことを知り、その若さでこれほどのクオリティの店を経営していることに純粋に驚きました。酒井は自分にとって良い手本になると感じ、酒井のもとで色々と学びたいと思いました。

酒井商会には料理長候補として入社し、入社後は酒井商会で働くことになったのですが、すぐに自分の力不足を痛感することになりました。

まず最初に痛感したのは、酒井商会では「考える力」が強く求められるということです。これまで私が働いていたお店では、コース料理の提供が中心でしたので、何をどれだけ準備すればよいかがある程度明確でした。しかし、酒井商会ではアラカルトでの提供が主であるため、常に先を読みながら、臨機応変に動かなければなりません。

また、酒井商会は少人数のスタッフで運営されているため、一人ひとりの業務範囲が広いことも特徴です。覚えるべきことが多く、さらに臨機応変な対応が求められるため、働き始めた頃は正直、一杯一杯になっていました。

そんな私の状況を見て、酒井が気を配ってくれたのだと思います。結果として、創和堂への異動が決まりました。創和堂はスタッフが多く、各ポジションが明確に分かれています。自分の役割に集中しながら、一つひとつの仕事を覚えることができました。

(▲)創和堂のメンバー


創和堂の料理長という挑戦

創和堂に異動してからの約1年で、煮方・焼き場・刺し場といった全てのポジションを経験しました。そして、前任の料理長の独立に伴い、2024年春から創和堂の料理長を務めさせていただいています。

料理長としての役割は、創和堂で提供する料理のクオリティを高めることはもちろん、食材の発注・原価管理・在庫管理など、多岐にわたります。担当する業務の幅が一気に広がりましたが、将来的に自分の店を持ちたいという夢があるため、こうした経験を積ませてもらえることは非常にありがたいと感じています。

料理長の仕事の中でも特に難しさを感じるのは、新作メニューの考案です。創和堂では、季節感を感じられる新作メニューを毎月提供しています。その開発責任者を担うのが料理長です。

旬の食材を活かしつつ、お客様に新鮮な驚きを与えるための工夫をどう加えるかが鍵となります。創和堂で働くメンバーからもアイデアを募り、創和堂らしい新作メニューの構想を練り上げていきます。

最終的には、酒井にアイデアの叩き台を提出し、実際に試食してもらいながらフィードバックを受けます。その内容をもとに改善を重ね、メニューを完成させていきます。このプロセスを毎月繰り返すため、常に食のクリエイティブを磨き続けていかなければなりません。

酒井からよく指摘されるのは、「もっとお客様目線を持ってほしい」ということです。例えば、見た目の新鮮さにこだわるあまり、食べやすさが犠牲になることが稀にあります。料理の腕だけでなく、お客様の視点を養うことも必要だと強く感じています。

こうして完成した季節の新作メニューをお客様に召し上がっていただき、お褒めの言葉をいただけると、嬉しさがこみ上げてきます。料理長としてはまだ経験不足な部分が多く、メンバーに助けてもらいながらの毎日ですが、一歩ずつ前に進んでいきたいと思っています。

(▲)創和堂の季節の新作メニュー


一つひとつの仕事に心を込める

酒井商会で働き始めて、もうすぐ2年が経ちますが、その中で特に意識していることがあります。それは、日々の業務に追われて作業に陥らないようにすること。そして、常にお客様の存在を感じながら仕事をすることです。

酒井商会では「魂は細部に宿る」という言葉を大切にしており、一つひとつのことにこだわりを持って取り組んでいます。これはつまり、一つひとつに「心を込める」ということだと思います。細部まで心を込めていくと、お客様はそれを感じて感動してくださります。

とはいえ、目の前の業務が忙しくなると、そのことをつい忘れそうになることもあります。そうならないように、自分への戒めとして、常にこのことを意識するよう努めていますし、メンバーにも繰り返し伝えるよう心がけています。

やはり、カウンター越しにお客様から常に見られている環境のため、緊張感と同時に、料理人としてのやりがいを強く感じることができます。だからこそ、「魅せる仕事」というと少し大袈裟かもしれませんが、料理人としての振る舞いに美しさを感じていただけるような仕事を心がけています。

今後の抱負としては、料理長として、創和堂のチーム力をさらに強くしていきたいと考えています。

創和堂には新しく入社したメンバーが多く、年齢も若いスタッフが揃っています。お互いに密なコミュニケーションを取りながら、全員でより良いお店をつくるために、みんなをうまくリードしていきたいと思っています。

酒井商会には、酒井という大きな柱があります。私たち創和堂は全員が柱となり、お客様に「来てよかった」と思っていただけるお店であり続けたいと思っています。

<編集協力:井手桂司>

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