酒井咲帆

福岡県福岡市で写真館と保育園を営む。保育園という現場から、子どもたちとも一緒に社会をひらいていこうと本気で思っている。2児の母。

酒井咲帆

福岡県福岡市で写真館と保育園を営む。保育園という現場から、子どもたちとも一緒に社会をひらいていこうと本気で思っている。2児の母。

マガジン

  • 2つの保育園の園だより

    いふくまち保育園/ごしょがだに保育園の「2つの園だより」に寄稿した文章などを中心に記しておこうと思います。

  • スーとムンの観察日記

    子どもと一緒にいることを通して見えてくる自分の考え方などを書いています。自分のための備忘録。

最近の記事

2022年12月園だより

「本当の気持ちはどこにある?」 家での兄弟喧嘩はもちろん、園でも園児同士の喧嘩やいざこざをよく見ます。たくさん喧嘩してるのに、さらっと仲直りして子どもってすごいなという俯瞰したような見方もあるのですが、喧嘩やいざこざをじっくり観察すると、本当にいろんなことが見えてくる気がします。 物の取り合いをしているAくんとBちゃん。「かして」「いやだ」「かして」「ぎゃ〜!!!」この後叩き合いに発展、などなど、まぁよくあること。その時、あなたが近くにいたらどうしますか? 子どもの心を代

    • 2022年10月の園だより

      「学童をつくりたい!」 学年の半年が経ちましたね。入園時には泣いて、保育者から離れずにいた子どもたちも、しっかり自分の足で歩き始めています。子どもの成長はいつも前向きで励まされることばかりです。 すっかり秋になりましたが、卒園児の親たちは、この夏をどう乗り切ろうか必死でした。学童という仕組みがありますが、どうやら学童も学校によっていろいろ違うようで、放課後も決められた時間に決められたことをやり、遊び方にもルールがあり、自由に動けない子どもたちはストレスを感じて行きたがらな

      • 2021年2月の園だより

        いよいよ来月に開園する「ごしょがだに保育園」を目前に、現在の進捗や気持ちを綴っておけたらと思います。いふくまちを立ち上げた3年前とは状況が変わり、保育園の数も増え、今年は認可園の空きも目立ってきたということも伝え聞いています。保育園が選べる時代になった(入りやすくなった)というのは喜ばしいことでもあり、同時に、保育の質がより一層問われる時代になったとも言えると思います。 「保育の質とは何か」答えのない答えがそこにはあるように思いますが、実感として感じることは、園と保護者が一

        • 2021年1月の園だより

          あけましておめでとうございます。みなさんにとって新しい年がしあわせであたたかい日々でありますようお祈り申し上げます。 1月12日に国の監査を終え、総評として「本当によく頑張っておられると思います。このまましっかり保育園を続けてもらいたいです。2園目も応援しています。」という言葉をいただきました。監査は、私たちにとって、日々の取り組みを丁寧に見直せる大切な取り組みだと捉えています。一年に一度、外部から点検していただけることは、本当にありがたく、監査の準備も発展を考えながら反省

        マガジン

        • 2つの保育園の園だより
          11本
        • スーとムンの観察日記
          6本

        記事

          2021年3月の園だより

          子どもたちの成長を喜び合いながら「もう一園作りたいね」といつの間にか誰かが口にするようになり、小さな思い出を積み重ねた日々が生んだ新しい保育園が、ようやく3月22日に開園します。ごしょがだに保育園は、いふくまちを育んできた職員や保護者、関わってくださった大人たちからの、子どもたちへプレゼントでもあるように思います。この出来事そのものが子どもたちの心に残っていくと嬉しいなと思いながら、開園までの一瞬一瞬を子どもたちと一緒に楽しんでいる今。あらためてその責任の重みを実感しつつ、未

          2021年3月の園だより

          2021年4月入園式の言葉

          新しく入園してくれた子どもたち、そして保護者のみなさま、ご入園おめでとうございます。在園児の子どもたちは新しいクラスになって、おおきくなりましたね。 仲間がいっぱいできて、初めてのことがたくさん詰まった、この春の日に、大好きな古小烏公園で、みんなで一緒にお祝いができることを本当に嬉しく思います。そして、これからお友だちと一緒にどんな思い出ができるかなぁと、とってもわくわくしています。春も夏も秋も冬をじっくり味わいながら、地球を大切にできる優しい心で、子どもたちも、大人も、地

          2021年4月入園式の言葉

          2021年7月の園だより

          園でおもちゃを仕入れさせてもらっている『つみきや』さん主催で、「つみき高さ積み世界記録(18.4m)に挑戦!(@天神イムズ)」が先日、開催されました。1日目は7mくらいまで積み上げられ、2日目で世界一を達成するという計画。そもそも日本一の記録を以前イムズで達成されていて、今回は、イムズが無くなる(風がない吹き抜けの場所が無くなる)ということもあり、ギネス認定のために準備されていたりと、弊社アルバスもチラシ作りのお手伝いをしながら、その挑戦を直近で見させてもらいました。初日の現

          2021年7月の園だより

          2021年10月の園だより

          日々保育を眺めていると、毎日の暮らしが積み重なって成熟していくことに気付かされます。振り返ると、日々の保育はプロセスの連続で、子どもの成長過程そのもの。そんな子どもたちの毎日を、コドモンで送るドキュメンテーションだけではなかなか読み取れないような気がしてもどかしく、また2園の活動を、互いの保護者に知ってもらう機会が作れないかと保育者と話し合った結果、園だよりをリニューアルすることにしました。2園の暮らしの中での気付きや、深堀した部分をお届けし、より互いの子どもたちに目を向けて

          2021年10月の園だより

          2021年11月の園だより

          園だより

1747mの久住登山。10月の終わり、くじゅう連山の中で1番高い山に娘と登ってきました。参加自由、親子での登山が必須でしたが、園始まって以来の頑張る登山企画。(今回はごしょがだにの5歳児中心に)これまでの数回、登山を企画してきましたが、これだけの高い山は難しいかもしれないと半信半疑。子どもを信じること以前に、大人も登れるか不安もあり、有志の保護者たちと一緒に計画も入念に行いました。入山下山のタイムスケジュール、天候(気温、風速、体感温度など)、無理な場合のときの下

          2021年11月の園だより

          2021年12月の園だより

          『189って知ってますか?』 "ピンポーン"。夜8時頃、玄関のインターフォンがなり、家のドアを開けると2人の女性が立ってました。「このマンションからお子さんの泣き声が聞こえると電話があったので来ました。子育てなどお悩みないですか?」とのこと。何が起きたのか驚くと同時に、『そうか、近所の人が虐待防止ダイヤルに通報してくれたんだ』と気がつき、「夜間にご足労いただきすみません」とお伝えしながら、家の状況や子どもの状況をお話ししたりしました。子ども専門員のお2人は、マンション内の小さ

          2021年12月の園だより

          2021年5月の園だより

          ごしょがだにが立ち上がって1ヶ月。園舎を作っていく過程も見てきた子どもたちは、大切な園だと理解しているはずですが、子どものパワーは底知れず、ツリーハウスが壊れたり、おもちゃが壊れることは日常茶飯事。ぬいぐるみは裸ん坊でほったらかしにされている。見るに見かねて、大人たちは伝えますが、本当に伝わっているのかと半信半疑、繰り返し伝える度に少し強い口調になってしまうこともあります。「今、何が大切か」そんなことと葛藤しながら、日々大人たちももがいています。 先日『「心からの謝罪、矯正

          2021年5月の園だより

          2022年1月の園だより

          あけましておめでとうございます! お正月明け、長いお休みを楽しく過ごした家族と離れるため、登園時は涙のオンパレードを想像したりもしてましたが、ほぼみんなスムーズに登園。保育園も自分の家と思ってくれているのかなぁと嬉しくなりました。子どもたちはもちろん、保護者にとっても園が居心地のいい場としてあれるよう、今年もがんばっていきます。 さて、毎日の子どもたちの保育がどのように成り立ってるか、みなさんはご存知でしょうか? 毎日ただ遊んでいる、というイメージもあるかもしれませんが、

          2022年1月の園だより

          保育園をつくった理由

          2018年に19名の園児の小さな保育園が生まれ、2021年に30名の園児が通う保育園が生まれた。園を作った理由をしばしば聞かれることがある。いろんな動機が重なったこともあるけど、今思いつく理由を書いておこうと思った。 時系列で振り返ってみると、2009年に法人を立ち上げ、写真屋(DPE)を始めた頃は、撮影ができる写真館ではなく(今は商売の主となっている)、表現やコミュニティーをメインとしたギャラリースペースとして成り立たせようという気持ちが大きかった。まちの公民館のような役

          保育園をつくった理由

          2歳の誕生日プレゼントで大満足したこと

          ムンが2歳になった。ドイツ語と日本語で育っていることもあって、言葉の出が若干遅く、それがまた愛らしい。まだまだ宇宙語で会話できるので毎日が面白い日々。嫌いな「にんじん」と、大好きな「ケーキ」ははっきり言えるけど、どっちでもいい「ごはん」とかは言えなかったり、好きすぎる車は、トミカを前後の向きを全て揃えて、あるだけの(20個くらい)車を狂いもなくまっすぐ一列に並べ、「ミテ〜!!!(外国人が話すような日本語で)」とでっかい声で叫んだりしている。 そんな普通の2歳児に、何をプレゼン

          2歳の誕生日プレゼントで大満足したこと

          バガー

          ムン(1歳10ヶ月)は周囲より少し言葉が遅いが、パパとママのドイツ語と日本語を聞き分け、好きな言葉は何度も繰り返し使っている。例えば、みっくんの家で見たカメを覚えていて、近所の公園で見たカメに、「みっかん」と言う。保育士はなぜ「みかんなの?」と彼に聞くも、何度もねぇねぇ(聞いてよ)と手で保育士をとんとんと叩き、「みっかん」「みっかん」と低い声で言うので、後から親にもなぜでしょうかね?と問い、皆で分析した結果、『みっくんのカメ』ということになった。 ある日は「バカーバカー」と

          パイパイ

          1歳9ヶ月の息子のムンはまだおっぱいを飲んでいる。栄養に値するかどうかはわからないけど、愛着を求めているということはその行為を毎日見ているとわかる。今日も夜中に勉強していたら、ムンがムクッと起きて、別の部屋にいる私を暗闇の中からすぐに見つけ出し、寝室へ来るよう手招きで合図して(半分寝ながら)、自分の後ろを歩いているか確認しつつ、布団に寝転ぶと、「パイパイ」と一言。パイパイは、ママが自分を大切に思ってくれている自分だけのママとの時間、と言葉にされているようでもあって、私もこの時