【レトロ自販機】ドライブイン七興(1) ギミック性が楽しい自販機
「フード自販機コーナーにでも行ってみるか? ドライブがてら」
夫の提案に飛びついたわたしは、翌日の土曜日、二人でレトロ自販機の聖地のひとつと言われる〔ドライブイン七興(ななこし)〕へ向かうことに。
近年なにかと話題になってる、食べ物が出てくる自販機だ。
絶滅間際の、昭和時代の自販機で、あったかいうどんが出てきたり、ほかほかのハンバーガーが出てきたりするアレだ。
自販機の機械部分で、調理してくれる代物なのだ。
もっとも、内部が見えるわけではないし、品物が出てくるのを待っている間、機械の中で進行しているであろう調理過程を想像しつつ待つだけではあるけれど。
今はもう製造されることがなく、各地のオーナーが懸命にメンテし、かつ修理しながら機械を延命させているらしい。
◯
群馬はこういう自販機コーナーがいくつも残っていて、レトロ自販機の聖地と呼ばれているらしい。
ドライブや、バイクのツーリングの目的地にされるくらい近年は話題になっていて、店によって味が違うのも醍醐味とか。
そりゃ、自販機で提供するうどんやそばは、各店舗が自分達で仕込む訳で、必然的にそれぞれの味に個性が出るのも当然だよね。
他にチーズバーガーや、ホットサンドの自販機も並んでいる。
ちょっと面白い形のコーラ自販機も立っていて、取り出し口が縦に長い。
これ、どこかで見たことあるな……と思ったら、数年ほど前、長野県の上田のコンビニに設置してあるのを見かけたことを憶い出した。
一時的な企画だったのだろうか、その次に訪れた時にはもう無くなっていたけど。
まずは、麺類自販機に飛びつく。
最初はうどんのつもりでいたけど、
「チャーシューメンがあるんか!」
しかも、自家製チャーシューらしい。絶品らしい。
お金を投入するも、100円玉が認識されず、何度でもおつり口へ素通りして出てきたりもする。
「そりゃまあ、古い機械だし、硬貨の認証が甘くなってるんかも?」
ま、そういうのも含めて楽しめばいいのだ。通るまで何度も入れ直し、ようやく「チャーシューメン」のボタンを押せた。
待つこと数十秒……。
取り出し口に反応があって、中には熱々のラーメンが出現していた。
「ほんとにチャーシューが乗ってる。しかも厚みがある! ……スープがちょっと薄そうだし、他に具がなさそうだけど」
いや、普通の店舗と違って、自販機ならこういうもんなのだろう、と納得し、いざ実食。
「このチャーシュー、柔らかいし食べ応えもあるよね」
夫も同じものを食しているので、わいわいと感想を言い合いながら、めいめいに麺をすすってゆく。
しばらく食べすすめて気づいたんだけど、スープの上の方は確かに薄いけど、底へゆくにしたがって濃くなってゆく。
「あー、これ、混ぜなきゃあかんやつだったんか」
箸でぐるぐるさせると、ついでに隠れていた具も出現した。
メンマやわかめ、ネギもちゃんと入っていたのだ。
しかも、スープの濃さがとてもちょうど良くなった。
なるほど、ひとつ学んだよ。
「喰う前に混ぜろ!」
次回、チーズバーガー自販機へつづく
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