【横浜中華街】新年会ヌン茶(2回目)と徳記の豚足
※前回→ 【横浜中華街】中華エンタメ作家の会・新年会と優雅なヌン茶
中華街には、隠れ家的なカフェがある。
〔萬来行カフェ〕といって、雑貨屋さんの2階にあるのだ。まえにもこの「旅と美味美味」で紹介したことがある。→【横浜】隠れ家のような中華茶屋 萬来行カフェ
……が、
「改修工事のため、営業してない……」
去年の夏も、まさかの満席で入れず、これで2度連続でフラれたことになる。
幸いにも、ともこ姐さん(千葉ともこ先生)が、すぐ近くでよさげな点心のお店〔富泰楼〕を見つけてくれたので、優雅に、2回目のヌン茶と洒落込むことができたけれど。
中華エンタメ作家の会のみなさんは、なんというか、とても濃い。
中国の歴史について、わたしもそれなりに勉強してきたつもりでいたけれど、
(世界は広いなあ……)
そう感じるほど、みなさん、話題が濃い。
しかも、自分達が書くべき物語に真摯で、貪欲に知識を収集し、考察を絶やさない。
それはとりもなおさず、
(自分がまだ知らないことを吸収させてくれる仲間ができた! 刺激にもなる!)
この出会いに感謝しつつ、中国茶でアフタヌーンティーと点心を楽しむ。
プーアル茶、ジャスミン茶、鉄観音……と。
えび海鮮まんは、点心コンテストで金賞を獲ったらしい。
ぷりっとした食感を楽しみつつ、えびの風味をじっくり噛み締める。
香りのよい胡麻団子の後に、プーアル茶を口へ含むと、団子の甘みと茶の渋さが出会って、さらなる広がりが生まれてくれて、うっとり、その場の会話を忘れそうになる。
黄色い蒸しまんじゅうは、中がカスタードだとは知らず、手で割ながらちょっとずつ食べようとしたら、
「のどかさん、垂れてる、垂れてる!」
「ええええ!?」
指に熱々のカスタードがかかり、テーブルにもこぼしてしまったではないか。
一口でぱくりと終わらせるのが勿体無いし、上品に召しあがろうとしたのが敗因だったようだ……。
その後は品も何もあったものではなく、指についたクリームはぺろりと舐めて、なんなら、仲間の目を盗んで、テーブルに垂れたものも、さっと指で掬い取って、あとはナプキンでふきとって、証拠隠滅をしておいた。
談笑しながらも、ターンテーブルを回しつつ、
「今度はジャスミン茶で!」
などと茶を選んで、自分の茶碗へそそぐ。
メンバーたちも、楽しそうに回すお手伝いをする。
◯
ものすごく実りのある新年会が、終わった。
通りを飾る灯籠が、まるで龍のごとくくねっている。
黄昏の中、よき仲間にめぐまれたことを噛み締めながら、バイバイと手を振って解散する。
……が。
「のどかちゃん、お腹へったね」
「はい、ともこ姐さん。あの……よろしければ、徳記へ行きません?」
実は解散した後に、そこで夕ご飯を食べて、自分なりのシメにするつもりだった。
はからずも、ともこ姐さんとシメのご飯をご一緒することに。
関帝廟の前にある、細い路地の奥へゆくと、徳記の店が忽然と姿をあらわす。
広東料理の店で、麺が特に評判なのだ。
点心だけでは、お腹はふくれない。
二人してうきうきしながらメニューを眺めまわし、
「のどかちゃん、どれがおすすめ?」
「初めてでしたら、五目麺か海鮮麺が、優しい味わいでおすすめです」
五臓六腑にしみわたるマイルドさで、具材の種類も多いのが魅力的だ。
「じゃあ、五目麺にしてみるね。あと餃子もつけて、二人で分けよっか」
わたしは豚足麺。
脂が少々きつめだけど、コラーゲンたっぷり旨味ぎっしりの豚足だ。
麺はまっすぐで、細くて平たい。
スープは、心身に染み渡るほどまろやか。
餃子は、皮が薄くて、なおかつ肉がぎっしり詰まっており、とても食べ応えがある。
この夕食は、ともこ姐さんにご馳走していただくことになった。
感謝!!
◯
とっぷり暮れた中華街で。
徳記の路地から表通りへ出ると、目の前にある関帝廟へむかって、あらためて拝む。
ともこ姐さんは、自分の作品のことの前に、わたしの歴史小説デビューを祈ってくれていた。
どれだけの時間を必要とするかはわからないけれど、きっと、必ず、歴史小説も出せるよう気張っていこう、と改めて決意した。
ともに、中国ものの歴史小説を盛り上げてゆける日が来るように、と。