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【上田】美味だれ焼き鳥 るり家と隠れ家えん

「かなり尖ったキューピーちゃんだなあ」
 それは極道キューピーだった。全身に刺青をいれていて、背中に龍を背負っている。
『死にたい奴だけ、かかってこい!』
 とか、いかにも神室町あたりで名台詞を叫びそうだが、その顔は可愛い微笑みを浮かべている。(龍が如くの影響がしみついてる)
 もう一体あって、こちらはどちらかというとタトゥーだけど、へそピアスを付けているので、やはり尖っている。
 バイキングとして、北欧からイングランドまで股をかけて略奪して回りそうなキューピーちゃんだ。(アサシンクリード・ヴァルハラの影響うけまくり)
 しかも天使の笑顔だ。

尖ったキューピーちゃん

 ここは信州・上田市の焼き鳥屋さん〔るり家〕である。
 看板には「食酒屋」とあるので、正確には焼き鳥屋さんではないけど、夜の主力は焼き鳥だと思う。
 上田駅の北側をつらぬく主要道路に面していて、セブンイレブンのある交差点「中央2丁目」にも程近い、ほぼ一等地でアクセス抜群の立地なのだ。

 信州全域の名物が蕎麦なら、こと上田はそれに加えて「美味だれ(おいだれ)」が挙げられると思う。
 これは主に焼き鳥につけるタレなのだが、ニンニクベースの香ばしい美味だれを乗せて食べるのが、上田流。
 美味だれには、実は決まった味がある訳じゃないそうだけど、大体はにんにくをベースにすることが多いらしい。
 お店の数だけ秘伝のレシピがあるようで、信州名産としてりんごのすりおろしをいれるパターンも多いそうだし、もし美味だれにほんのり甘みを感じたなら、たぶんそれだと思う。

るり家の焼き鳥

 でも、もし昼間に、美味だれの焼き鳥を食べたくなったら、おもいのほか、選択肢が少ない。
 やはり焼き鳥は、酒飲みの友なのだ。
 となると、お土産街道へ足を向けることになる。
「旧北国街道」と呼ばれている通りで、ここへ行けば、お酒だの味噌だの、信州名物の地元のお土産が楽に選べるから、わたしは「お土産街道」と呼んで重宝している。
 で、この通りにある〔隠れ家 えん〕なら、真っ昼間から焼き鳥が楽しめる。
 とても道が細いし、車を停める場所にも苦慮するけれど、お店の人に断って、とりま、中庭的になっているお店の敷地に停めさせてもらえる場合もある。
 出てくる焼き鳥は、まったく気取らない……というか、めっちゃ安っぽい「屋台かよ!」という容器に乗って出てくる。
 でも、この店では、この方がつきづきしい。
 敷地の背後に水路が流れていて、二階席でそれを眺めながら食べると気分がいいし、風がそよ吹けばなおのこと気持ちがいい。
 熱くて柔らかいうちに、と焼きたての焼き鳥へまっさきにかぶりつくが、もう一つ、これまた美味だれをかけた焼きそばもよい。
 見た目の安っぽさが半端ないのに、味がそれを見事に裏切ってくれる。

隠れ家 えん

 なお、このお店ではビールも売っているので、酒飲みも安心。というより、ま、世間一般では焼き鳥とお酒はワンセットなんだよね。

 焼き鳥のタレとして活躍している美味だれだけど、これは万能だと思う。
 ステーキにかけてもいいし、サラダのドレッシングにもなる。
 上田だけではなく、もっと全国に広まってくれてもいいんじゃないかと思ってる。
 うちでは、蕎麦屋の〔草笛〕で購入した美味だれを愛用しているけれど、ちょいと研究して、自分なりの美味だれを作っちゃえばいいんじゃないかな……なんて思案中なのだ。
 ニンニクと醤油をベースにして、生姜ちょっぴり、りんごのすりおろしを入れて、レモン汁で調整して……。
 まずい、よだれが出てきたっす。

隠れ家 えん

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