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【ハノイ】ベトナムその1 庶民的フォーのお店

 ベトナムが、大好きになった。
 ご飯はヘルシーで美味しいし、なにより、ベトナム人は超絶親切な人が多かったから。

 友達のYさんが仕事でハノイに赴任している。
 任期が終わるまでの数年のうちに、一度は遊びに行こう、と共通の友達・K美さんと約束していたのだ。

 宿泊は五つ星の〔メリア・ハノイ〕で、とにかく清潔で居心地がよかった。
 これはK美さんに選んでもらったものだけど、もし宿泊担当がわたしだったら、バックパッカーのノリで安宿を選んだかもしれない。
 結果的に、メリア・ハノイで正解だった。

五つ星・メリアハノイ

 バイキング形式の朝食は、一人につき別途3500円もかかったけど、それに応じたクォリティだった。
 もちろん、ベトナム料理の代表格であるフォーもあって、味付けも好きにできる。
 小籠包が、ちょっと残念だったけど……。

メリア・ハノイの朝食
フォーは、めちゃ辛くした
ラウンジは大人の雰囲気

 2月は乾季のはずが、ハノイはしとどに降り煙っていた。
 本来はハノイ旧市街を中心に散策するつもりだったけれど、Yさんが仕事で合流が夜になるそうだし、雨は降ってるし、K美さんはやたらと疲れている。
 長時間のフライトで、到着が前日の真夜中だったしね。

 なので、予定を変更し、雨で薄暗い部屋の中、K美さんはゆったり眠り、わたしは読書についやすことにした。
 無理して観光するよりも、行った先で読書をしたり、ぼーっとしたり。
 これこそがバカンスの真髄なのだ。

東南アジアの片隅で、平安時代の日本へ飛ぶ 阿岐有任『紫式部の一人娘』

(でも、わたしだけ、旧市街をてくてく散歩してこよっかな……どうしよっかな……)
 ずいぶん迷ったけれど、元来が出不精な性格なので、結局読書を決め込んだ。
 そんなの、日本でもできるじゃないかと思われそうだけど、異国の空気の中での読書は、また格別なのだ。

 Yさんからは、
「おすすめのフォーの店があります」
 と連絡が。
 地図アプリで調べると、ホテルから歩いて1キロ程度か。
「う〜ん、歩きたくないなあ。雨の中の徒歩は、いつもの倍以上は疲れるし」
 とK美さんが活用したのが『Grab』という、東南アジアでひろく使われている便利アプリ。
 これ一つで、配車から宅配まで、いろいろ使えるらしい。
 あらかじめアカウント登録とカード登録を済ませておけば、決済は全部、自動的にカードで済ませられる。

普通に歩いていけるけど……雨なんだよね

 実際に使ってみると……配車に応えられる車が付近にうようよしていて、すぐさま捕まえることができた。
 車のナンバーを頼りに、待ち合わせ場所で依頼相手を見つけるのも簡単。
 カオスな交通事情のわりに交通事故が少ないベトナムの道路を器用に走り、すぐさま目的のお店へ送り届けてくれた。

乾季のはずが、雨!
ホテルの傘を借りる。持ちかたが日本刀っぽくなるのは居合経験者の習い性
ハノイの雨模様

 お店の名は〔Pho Thin〕。
 現金以外お断りな雰囲気ただよう、あまり清潔な感じのしないフォー専門店で、
「やばい……めっちゃ好みの店がまえだよ」
 取り澄ましたようにオシャレな店には、用はない。
 変に清潔すぎるお店は、つまらない。

PhoThin

 店先のオヤジが『70000VND』と大書したダンボールの切れ端を指して、片言の英語で「先払いだ」みたいなことを無愛想に教えてくれる。
 VNDはベトナムの通貨で「ドン」のことだ。
 単位が大きすぎて、どのくらいの値段かを把握するのに四苦八苦するが、日本円にしてだいたい400円くらい。
 現金で支払うと、メニューを選ぶ余地もなく店内へ。
 フォーだけでやっていて、味付けはテーブルに置いた調味料で好きにやれ、ということだ。

〔Pho Thinのフォー〕
さまざまな調味料で、自分好みにカスタマイズ

 この店、観光客の間でも有名みたいで、現地人だけでなく外国人もそこそこ多い。
 やがて運ばれてくるフォーのどんぶり。
 わたしはめっちゃ辛くして食べる。
 米粉の麺も透き通ったスープも、身体にやさしく染みとおる。
 揚げパンも追加で頼めたらしいけれど、そのためにはまた店先へ戻らないといけない。
 でも座ったのは、奥側の、さらに奥側で、入るのも出るのも四苦八苦。
(今日はとことん怠惰で過ごそう……)
 そう決めていたので、揚げパン追加も面倒で諦めることにした。

つづく

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