【富山】ブラックラーメンの強烈なコクとしょっぱさ
大岩山の清らかなそうめんを堪能した、その日の夕方。
北関東の我が家へ向けて帰る、その前に。
「今のうちに、ちょっと早いけど夕食は済ませておこうよ」
「そうだね、高速に乗ったら、サービスエリアの割高なご飯しかないしね」
家族との話し合いで、どこか適当なお店へ入ることになった。
が……。
土地勘がないせいで、どこがよいのか、さっぱりわからない。
でも、わからない以上は、どこへ入っても同じだし、あとは運まかせである。
そうして選んだのが〔まるたかや〕というラーメン屋さん。
メニューを見た瞬間、わたしは決めた。
「富山県といえば、ブラックラーメンが有名だっけ」
なお、家族は普通のラーメンにした。
そうして、いざ出てきたラーメンは……。
「本気で、黒い!」
見るだけで、よだれがじわりと舌からにじみ出てきそうな、黒々っぷりだ。
見ただけで、しょっぱい。むしろこのスープは醤油そのものなのでは、と疑いたくなるほどの、暗黒物質っぷりである。
でも、しょっぱいのが大好物なので。
スープをひとすくい、口へ含んでみると、
「うん、本気でしょっぱい。でもその奥に、コクがあるし、クセになりそう」
魚介の出汁が豊富なのかもしれない。特に、昆布とかが濃厚に効いている気がする。違うかもしれないけど。
一方、家族が頼んだ通常のラーメン。
それはそれで、しょっぱい系だけど、やはりその奥にひそむ出汁の濃厚さで、箸が進む。
力強い塩味に、妙な牽引力がやどっている。
東京のしょうゆラーメンとは、色は似ていても味の基盤が違う。
どちらがよいとかではなく。
メニュー用のタブレットに掲載してある、お店の紹介をみると、どうやら屋台から始まったらしい。
こっちの北関東には、ラーメンの屋台なんて見かけないから、ちょっとうらやましい。
真夜中にラーメンが食べたくなっても、家系しかない。
ま、その家系が大好物だから、問題ないけど。
こういう、濃厚すぎるしょうゆ系も、たまには食べたくなるけれど、なかなか見つからないのよ……。
今も、この〔まるたかや〕のラーメンスープを憶いだすだけで、口の中にじゅわっと涎がでてくる。
どうしようもなくしょっぱいのに、また食べたくなるほど、その引力が強烈だ。
ブラックラーメン、さいこー!
どうしようもなく、真夜中のラーメンを食べたくなったわたしは……。
いつもの家系へ車を走らせ、ライスをおかわりしまくり、地元で果たせる範囲の欲望を満たしたのである。
家系、さいこー!