児童への性犯罪と対策・性教育・プレコンセプションケアについて 江東区へ聞きました
みなさん、こんにちは!
看護師・助産師・1児の母
江東区議会議員の酒井なつみです。
まもなく新年度、卒業や入学、就職など新たな生活をスタートする方も多いと思います。
江東区議会では
2022年度の予算(案)を審議する予算委員会が開かれました。
さまざま質問&区へ要望してきましたので、順にご報告していきますね。
本日のレポート内容
今回は令和4年第1回定例会 3月4日
令和4年度予算審査特別委員会(第3日目)に登壇した際の質問&要望をご報告します。
1 わいせつ教員による児童への性犯罪と対策について
2 性教育について
3 学校におけるプレコンセプションケアについて
目次より、関心のあるところからでもご覧いただけます。
また、動画でも公開されています。(江東区議会インターネット中継)
一つひとつの課題をともに考え、ご意見寄せていただけるととても嬉しいです。
はじめに
私自身、性犯罪・性暴力は子どもの頃からすぐ近くにありました。
大人になってからその深刻さを自覚し、多くの大人が声をあげています。
今を生きる子どもにはそのような思いをさせない、守るべき存在として、大人が、政治が果たすべき役割は大きいと感じているところです。
1.わいせつ教員による性犯罪と対策について
本年2月、江東区の公立小学校の男性教員 河嶌健容疑者(46)が、児童ポルノ禁止法違反の容疑で逮捕されました。警察が家宅捜索し、女子児童が着替える様子を盗撮したとみられる動画や画像をスマートフォンに保存し、所持していた疑いがもたれています。
スマートフォンには複数の女子児童を盗撮したとみられる動画や画像、計18点が見つかったそうです。被害者は何人いるのか‥と怒りとともに大変心が痛みます。
去年11月、別の女子児童から容疑者に体を触られたとの訴えがあり校長が警視庁に相談したのが今回の事件発覚のきっかけでした。
都教育委員会では2016年から児童へのわいせつ行為や児童ポルノ所持は「免職」とすることを規定しています。
しかし、この容疑者は2017年に板橋区の公立小学校で女子児童の体を触るなどのわいせつ行為をしたとして、3か月の停職処分を受けています。
当時、都の教育委員会は警察に相談することもなく、処分については「総合的判断」によって「懲戒免職」ではなく「停職」の判断を下したといいます。
板橋区、東京都の判断は誤りであり、本来警察へ通報し、免職とするべき事件でした。
取り返しのつかないことで無念です。
Q1.都教育委員会へ説明を求め、厳重な対処を求めることや、文部科学省へ報告し、これら現場の課題等を共有すべきではありませんか?
見解を伺います。
昨年5月、教員による児童生徒へのわいせつ行為をなくすことを目的に「わいせつ教員対策法(教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律)」が成立し、本年4月1日より施行されます。
新法の制定は喜ばしいものですが、わいせつ教員にそもそも「免職」の処分がきちんと出ていなければ現場からキックアウトできない制度の穴が存在することや、具体的な支援については定められておらず、課題もあると認識しています。
事件に関する報道では、区は容疑者の過去の性暴力を把握していたものの、「都が決めた人事異動を受け入れるしかなかった」と伝えられています。
本当にどうにもならない問題でしょうか?
ともに声を上げていただきたいと思います。
今回の服務事故について、大人の役割は言うまでもなく子どもを性犯罪から守ることです。性犯罪は許さないという教育現場・社会をつくっていくために教育委員会や区の役割は大きく、教育・啓発活動を通じた社会の意識改革と暴力予防の推進が必要です。
事件発覚のきっかけとなった被害を訴えた児童や、盗撮被害を受けた子どもへの心のケア、家族支援について質問します。
令和2年度警察庁の統計資料によれば、我が国では児童ポルノによって年間2757件検挙され、検挙を通じて新たに特定された被害児童は年間1320人にも上ります。
被害者は高校生が最多ですが小学生は年々増加傾向にあります。
子どもは性被害を認知していないことが多く、加害者は長い時間捕まらずに加害を繰り返す傾向にあると言われます。そのため事件として認知されるのは氷山の一角と言われます。
また、容疑者のスマホからはこのほか、インターネットからダウンロードされた児童ポルノ画像が計1000点以上見つかったと報道されています。
容疑者により盗撮された動画や画像が、他者への提供や不特定多数へ販売などされていないか、大変気がかりです。
画像は一度流出すると回収が困難だからです。
警察への通報は、子どもを刑法の観点から守ることにはなりますが、支援というよりも加害者を罰していくという点に重点が置かれます。
支援という視点では、被害直後からの医療的支援、法的支援、相談を通じた心理的支援などを総合的に行うため全ての都道府県では、性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援センターが設置されています。
東京都ではSARC(サーク)東京が担っています。
その他にも行政機関ではこども向けにチャット形式で相談窓口へ案内する「ぴったり相談窓口」や「24時間こどもSOSダイヤル」も設置されています。
ネット上に流れてしまった画像などの削除は警察や総務省が委託する「違法・有害情報相談センター」が対応しており、削除依頼方法の助言等必要な支援を受けられます。早く対処することで拡散を防ぐことができる場合があるそうです。
Q2.今回の事件において、これら支援を目的とした組織との連携の有無を伺います。
また、これらの啓発を推進する必要があると考えますが見解を伺います。
先生方や教育委員会ができることには限りがあります。
また、何もしないことや時間がかかることも問題です。
多職種、他の組織との連携は不可欠だと考えますので誠意ある対応をよろしくお願い致します。
Q3.警察庁の「なくそう子供の性被害」というサイトでは、児童・生徒・保護者などへの啓発に使える資材が公開されています。これらを活用してみてはいかがでしょうか。本区の取り組みと見解を伺います。
その他に、教育に携わるすべての関係者には、わいせつ教員対策法の意義の理解とそれぞれの役割、関連施策の推進、また小児性愛障害の病態を理解することも必要だと思います。
今回被害を受けたお子さんは、勇気を出して大人に相談し頑張りましたし、逮捕につながったことに関しては、大人が責任を果たしたといえます。
嫌なときは嫌だということや、信頼できる大人に被害を相談する。これができた事例です。
そのために性教育は大変重要な役割を担っています。
2.性教育について
令和2年度に策定された「江東区こども・子育て支援事業計画」において、本区では若年の予定外・望まない妊娠を防ぐため、家庭における性教育の充実を図る、としています。
令和2年の本会議質問では本件について「今後、課題選定や開催手法等も検討しつつ、保護者からの要望なども踏まえ、引き続き取り組んでいく。」とご答弁がありました。
また、文部科学省も令和2年度からの3年間を性犯罪・性暴力対策の「集中強化期間」として 、関連施策を推進しています。
先日の一般質問でも、「生命の安全教育」の活用や未就学児から発達段階に応じた性教育の実践を求めました。
文部科学省は保護者向けの資料も公開しており、活用すべきと考えます。
Q1.地域教育課(家庭における性教育)、指導室(学校・幼稚園での性教育)それぞれに、来年度性教育に関する新たな取組みがありましたら伺います。
家庭における性教育なども含め、包括的性教育に関して、私は、教育委員会が主体的に取り組むべきと考えています。
民政クラブでは、家庭における性教育に関して、発達段階に応じた冊子を作成することを要望して参りました。
Q2.今後、教育委員会が主体となって現場の進捗確認・管理・課題の把握を行い、組織的かつ計画的な取り組みを増やしていくことが必要と考えますが、本区の見解を伺います。
学校園任せにせず、支援や取り組みを進めていただくようお願い致します。
3.学校におけるプレコンセプションケアについて
成育基本法の「基本方針」において、プレコンセプションケアについて
①学校教育及び生涯学習の項目で 「妊娠・出産等に関する医学的・科学的に正しい知識の普及・啓発を学校教育段階から推進する」 と明記しています。
保健所や医療機関とも連携した取り組みが求められており、東京都の令和4年度予算にも関連予算が計上されました。(相談支援・健康教育・普及啓発を行う自治体を支援するというもの、詳細は今後公表される)
小学校及び中学校の保健教育の手引きには、保健教育を効果的に進めるために家庭・地域の保健・医療機関との連携について記載されています。
Q1.プレコンセプションケアの推進には、特に小学校高学年以降の学校教育の担う役割も大きく、重要だと考えますが、区の認識と保健所や医療機関などとの連携について見解を伺います。
※また政府は「不妊予防支援パッケージ」でも生涯にわたる女性の健康を包括的に支援することを通じ、不妊予防に向けた取り組みを推進する取り組みを進めています。
民政クラブでは、希望する全校・園で産婦人科医や助産師などの外部講師を招くことができるよう予算を増額することを要望しています。
Q2.産婦人科医や助産師など外部講師の活用について実績を把握していればお示しください。また予算を増額することに関して見解を伺います。
すべての児童・生徒が発達段階やその時々で必要な包括的性教育・健康教育を受けることができるよう積極的な取り組みをお願い致します。
また、東京都の関連予算に関しては要綱の確認や予算活用をお願いします。
おわりに
性教育に「チャレンジする・しない」という分岐点で問われることは、子どもたちの性や性教育の学びに正面から「向かうのか・避けるのか」ということになります。避けていれば、子どもを守れません。
今後も区としてできる対策を着実に講じて頂くことを要望して参ります。
性暴力根絶に向けてともに頑張りましょう。
今後も応援お願いします!
参考:
▷ニュース
https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye6003678.htm?1646315214285
https://news.yahoo.co.jp/articles/dbef88ca5fb7e61c09550f1658b5d0ae93fd225e
▷わいせつ教員による事件のニュース
Yahooニュースでのコメント
⚫数年前私の子供が通う小学校で同じことをして移動させられてました。
まだ教員やられていたのですね。
表に出さず隠してうやむやにしていた教育委員会に責任かあると思います。
教育委員会はこのことを知っていて現場に立たせていたわけですから、子供や保護者を裏切ってしまいました。
第二、第三の被害があるにもかかわらず免職にしなかった教育委員会はどのような責任をとるのでしょう。
⚫元同僚です。何度も子供に必要以上に触る場面を見かけ、管理職に警告しましたが、大した処分はされませんでした。
校長も教育委員会も責任を取りたくないのでおおごとにはしませんでした。とても悔しいです。
そういう教員を出すと、管理職の管理責任を問われるのでおおごとにしない管理職や区も多いです。制度自体を変えて欲しいです。
威圧的で、気に入らない同僚を職員室で怒鳴り付けるようなパワハラ気質の最低な教員が逮捕され、ほっとしました。
2度と復帰しないように重い処分をお願いしたいです。
▷性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援事業について
https://www.soumu.metro.tokyo.lg.jp/10jinken/hanzai/onestop/index.html
▷警察庁:令和2年における少年非行、児童虐待及び子供の性被害の状況
https://www.npa.go.jp/publications/statistics/safetylife/R2.pdf
▷なくそう子供の性被害
https://www.npa.go.jp/policy_area/no_cp/prevent/materials.html
▷性 犯 罪 ・ 性 暴 力 対 策 の 強 化 の 方 針 の 決 定 について
https://www.mext.go.jp/a_menu/danjo/anzen/index.html
https://www.mext.go.jp/content/20210406-mxt_kyousei02-000014005_1.pdf (通知)
https://www.mext.go.jp/content/20210805-mxt_kyousei02-000014005_2.pdf (保護者向け)
▷児童生徒等に対しわいせつ行為を行った教員への厳正な対応について
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kyoin/mext_00001.html
▷“わいせつ教員対策法”成立 被害者支援などに課題も・・・
https://www.nhk.or.jp/gendai/comment/0026/topic024.html
▷成育医療等の提供に関する施策の総合的な推進に関する基本的な方針 概要
https://www.mhlw.go.jp/content/000735846.pdf
https://www.jsog.or.jp/news/pdf/20210215_kourousho.pdf
▷埼玉県プレコンセプションケア
https://www.pref.saitama.lg.jp/a0704/boshi/boshi_pcc.html
▷不妊予防支援パッケージ
https://www.mext.go.jp/content/20210730-kenshoku-000017197_1.pdf