失敗検索からのリカバリー「海外で受賞したデザインの意匠をさがせ」
『漁船ツナ缶』東洋製罐が国際デザインコンペで金賞を獲ったツナ缶がすてき! とのまとめを見かけました。こういったデザインを見かけると、きっと意匠出願されているだろうな、と思うのが知財系サーチャーの常です。
Togetterにも「欲しい」の声がたくさん。かなり可愛いですよね! そして調べてみた結果「おそらくこれだろう」という意匠を特定できました。
こちらは上記リンク先にある「意匠図面」のひとつです。意匠図面には表面の印刷などが表現されないことも多々あるので、かなり雰囲気違いますね。
こちらの検索、恥ずかしながら1回目は失敗しており、2回目のチャレンジで意匠出願を特定できました。以下、備忘録的に「失敗した手順」「成功した手順」をメモしてみたいと思います。
1回目:失敗例
上記まとめ記事で「東洋製罐が国際デザインコンペで・・・」とあったので
J-PlatPatで「東洋製罐株式会社」から検索します。金賞を穫った画像では”ツナ缶”になっていますが、東洋製罐は「パッケージを作る会社」なので、意匠検索では飲料容器や缶のデザインがたくさん出てきます。
企業名のみで検索すると該当が1789件あるので
意匠分類を使ってみたり、キーワード(意匠に係る物品、物品の説明などの項目)に「缶」と入れてみたり、何パターンか試してみても「これだ!」というデザインは出てきません。
ここで一旦あきらめて、検索のアプローチを。変えることにしました。
1.5回目:出所にあたる
あきらめた時にふと脳裏に浮かんだのは「社外デザイナーだから、東洋製罐ではヒットしないのかな?」ということ。(後に、この考えは「ハズレ」だったと判明します)
なぜそう思ったのか?というと、以前インダストリアルデザイナーの深澤直人さんが創作者となっている意匠を検索したことがあって、多くはクライアント名で出願されているものの、時々ご自身の事務所名の出願があるのを覚えていたから、なのです。
なので「デザイナー名を調べることはできないかな?」って思いました。
Togetterに上がってる画像をよく見ると、左上に「pentawards」の文字が入っていて、この名前で検索できそうではありますが、なんとなく最短距離で検索したくて、Googleの「画像検索」にツナ缶の画像を食べさせました。
この作戦、大成功で
「金賞受賞作」のページに一瞬で移動できました。
可愛い・・・!
どこから見ても可愛いですね!
そして当初のもくろみ通り、デザイナーの名前がありました。
Designer: Sayaka Kawagoe
Art Direction:Takashi Nomura, Sayaka Kawagoe
3D Visualisation: Muthsushi Hirano
「かわごえさやか」さん。
苗字由来.NETによると、川越姓は【全国順位】 897位【全国人数】 およそ20,800人 とのことなので「意匠出願をしている、デザイナーの川越さん」だと、かなり絞れそうな気がします。
ということで、ふたたびJ-PlatPatに戻ります。
2回目:検索成功
創作者 川越 (さやかさん、の表記がわからないため)
物品名 缶
です。
結果・・・1件ヒット。
出ました。ツナ缶の形状です。2019年の出願で、出願人は東洋製罐グループホールディングスです。
1回目の敗因は「出願人名=東洋製罐株式会社」という思い込みだった、とわかりました。めでたしめでたし・・・いや、ちょっと待って?
そして疑問ふたたび(出願人名の使い分け?)
検索失敗の原因は「出願人名」だったわけですが、両出願人の意匠出願年って下記のようになってました。
簡単にいうと「2012年以降、両方の名義を使ってる」って状況なのですが
その中には共同出願になっているのもあり
ツナ缶の出願は東洋製罐株式会社 が入っていなかったりで
意匠出願特有の事情があるのか
事業部で分けているとか
お客様で分けているとか・・・?
きっと「なにか」の理由はあるのでしょうが、出願だけ見る分には全くわからず。「不思議ねぇ」と素人同然に終わりたいと思います。