記事一覧
諦めんな!!|超短編小説|ショートショート
「諦めんな!!」
江口がゲキを飛ばしたのとほぼ同時に、試合終了のホイッスルは鳴り響いた。
まるでそのゲキを嘲笑うかのように。
先刻まで誰もが我が物にしようとしていたサッカーボールは、誰にも触れられる事なくラインを割って転がっていった。
部活では長身エースアタッカーとして知られている江口だが、普段は物静かで、授業中も滅多に発言しない。
担任の私ですら彼からそんな迫力のある声が出た事に驚いた
「賑やかな街やね」|超短編小説
田舎を離れこの街に出てきて3年が経った。
ほとんど信号もないようなところで育った僕も、3年という年月の中で、夜も明るいこの大都会の一員という顔をつくれるようになった気がする。
そんなこの街に今夜は恋人がやって来る。
僕の就職を機に3年前から遠距離恋愛となった2人。
年に数回僕が地元に帰った際は必ず会っていたのだが、彼女がこちらに出向いて来ることはなかった。
「都会の空気を吸うてまうとな、
お母さんとポケット|超短編小説
「うん、うん、そうか。そらあんた嫌やったなあ」
ボクは小学校であったイヤやったことをその日のうちにいつもお母さんにきいてもらう。
「ただいま〜」
「おかえり。今日はどやった?」
さいきんはお母さんのほうからボクがイヤやったことをきいて来てくれる。
今日もいっぱい学校であったイヤやったことをお母さんにきいてもらった。
「そらあんた納得いかんわなあ。お母さんやったら怒ってしもてたわ。あんた
細見茂65歳、勤続47年にして初めての遅刻|超短編小説
「頭あげてください」
若干30歳にして、従業員70人を越えたこの工場をまとめ上げるサトシ坊ちゃんは落ち着いた口調で、先刻から床に目を落とす私に仰った。
「情けない…本当に、本当にすみませんでした」
「そんな大袈裟な。しかし細見さんが遅刻して来られるなんて本当に珍しいですね。僕が先代からこの工場を受け継いだ後では初めてじゃないですか?」
「…はい。18の時に先代に拾われ、65になった今日まで
今日からお父さんが一人称を「ワシ」に変えた|超短編小説
今日からお父さんが一人称を「ワシ」に変えた。
いきなり変えた。
会社から帰って来たら変えてた。
でも朝しゃべってないからもしかしたら朝から変えてたかもせん。
家族で晩御飯食べてる時に変えてんのに気づいた。
めちゃくちゃ変な空気流れた。
今日は木曜日。
平日にお父さんが一人称を「ワシ」に変えた。
今日が誕生日とかでもないのに変えた。
49歳で変えた。
49歳7ヶ月で変えた。
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フリスク1個ずつ出せるん知らんの?|超短編小説
「1個もうてええ?」
「ええよ」
俺は自分の持っていたフリスクの蓋を外して彼女に差し出した。
彼女は一瞬目を丸くさせた後、笑いながら「いや珍し過ぎるやろ」と言った。
俺が「何が?」という顔をしているのを見て彼女は「え?ほんまのやつ?」と訊いて来た。
だから俺は「何が?」と実際言ってみた。
「いや、フリスク1個ずつ出せるん知らんの?」
「1個ずつ…」
「え?スライドできるんは知ってる
驚かんと聞いてくれ、俺お前の未来やねん|超短編小説
自分と瓜二つのやつが前から走ってきた。
今日は仕事が休みやから昼に起きて近所の公園のベンチでコーヒー片手にぼーっとタバコを吸ってたのに。この時間が好きやのに。
自分と瓜二つのやつが前から走ってきた。
おそらく自分と瓜二つのやつが出せるトップスピードで前から走ってきた。
全速力で走ってる自分こんな感じなんやとか思った。
瓜二つのやつは息を切らしながら俺の目の前で開口一番言った。
「驚かん
泣いたのはベビーシッターの方
「居ない居な〜い、バァ〜」
「オンギャァ!」
「居ない居な〜い、バァ〜!」
「オンギャー!!オンギャー!!」
…向いてないんかな……
去年専門学校を卒業してすぐに、私はベビーシッターになった。
昔から子供が好きだったし、自分が一生続けられる仕事を考えた時、ベビーシッター以外に浮かぶものがなかったから。
先輩に付いての三ヶ月の研修期間を終え、ようやく独り立ちして一週間。
「一生続けられる仕
空腹こそ最高のソース
「空腹こそ最高のソース」
という言葉がありますね。
どんなソースをかけるより、「空腹」という状況こそが食材を美味しくする。
素晴らしい言い回しだと思います。
最初に言い出した人まじ尊敬です。
だからそこ、超えたい。
その言い回し、チャレンジさせてもらいます。
さあ皆さん、言葉の大海原への航海の準備はお済みだろうか。
申し遅れました、船長の酒井です。
これより我々はかつて人類が挑戦
かわ
かわって呼んでいい?
ええなぁ!!
こんどこんなネタしよおもてんねん。
ええなぁ!!
このエピソードトークどうおもう?
ええなぁ!!
かわ、おれまだまだ迷うしさ、そん時は、ちょっと上見てみるからさ、暇してたら、また天国からとびっきりの「ええなぁ!!」頼むわな。
かわ、ほんまありがとう。
ずっとめっちゃ好きやで。