泥からレンガ、の夢(2022.10.1)
古代の、とある村。
乾期で水位の下がった沼の底の泥を、専用の道具で掘り出している。現代でいえば「穴掘りスコップ」に近い。ハサミのように蝶番を支点にする二本の長い柄を開いたり閉じたりして操作し、先端の板状の部分で泥を挟んで持ち上げる。
同じ道具を持った人がたくさん並んでいて、次々に沼の底にスコップを突き立て、ぎゅっと柄を閉じて持ち上げ、泥を挟んだまま沼のそばの広場に運ぶ。
そこでスコップを開くと、泥は長方体の固まりになっていた。挟んで圧縮することで水分が抜けて、泥が固形になるという仕組みだ。スコップ先端を型にして作られた長方体は、ちょうど扱いやすそうなサイズである。
ずらりと並んだ手頃な大きさの長方体は、数日間そのまま置いて乾燥してから使う。要するに、日干しレンガである。建材などに使うため、乾期には村をあげてレンガ作りをするのだろう。
僕は、泥からレンガを作る様子を、少し離れた小高い場所から眺めていた。隣に知らない人がいる。その人が、次の雨期に入ると沼で害虫が大量発生してこの村は滅んでしまうのです、と言った。
眼前に広がる光景は過去を映した映像で、隣の人は、過去を見られる劇場のガイドだった。
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