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振り返り:石川県自然史資料館オンライン影絵劇とおさんぽ会

2020年6月28日に開催した、影絵劇「おきなぐさ」とオンラインさんぽについて振り返ります。私にとっては中継で演奏する初チャレンジに加えて、子どもたちとの関わり方、自然との関わり方についても考えるきっかけとなるイベントでした。
  
このイベントは石川県立自然史資料主催のオンラインワークショップ第2回として行われました。前半は、自然史資料館の館内を案内し、植物解説と影絵劇を上演後、オンラインおさんぽに出かけました。後半は全国から集まったメンバーでグループに分かれて好きなもの、見つけたものを発表し合いました。
 
 以下のダイジェスト動画は2時間のイベントが17分にまとめられてます。

2020年の春から初夏、突然の休校がはじまりました。子どもたちの外出が憚られ、誰とも会うことができない日々が続きました。多くの自然体験プログラムも中止になっていきました。私じしん、子どもと家の中にずっといるだけの孤独感がありました。

一方で、ネットを通して今までつながることがなかった人たちと繋がれるきっかけにもなりました。そして、石川県自然史資料館の中村館長からも新たな活動を展開したいとお声掛けいただいたのをきっかけに、オープンミュージアムの一環として、こちらの企画が開催できたのでした。

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物理的距離をとらなければいけない時期だからこそ、オンラインから、子どもたちやいろんな人たちと違う形で繋がり直し、自然に触れる機会を提供できないかなと考えました。

子どもたちを対象にしたオンラインイベントは資料館も初めてだったそうです。時間になると、大人も子どももたくさんの方が続々と集まって来て、すごくワクワクしました。

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司会は鳥毛こずえさんのにんぎょうの元気な「チイちゃん」。
そして中村館長が玄関でご挨拶。自然史資料館の中に入ると大きな地層や、骨格標本が迎えてくれました。

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それから植物が専門の学芸員、中野真理子先生から、レッドデータ(絶滅危惧種)の植物、”おきなぐさ”の解説を聞かせていただきました。

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おきなぐさの特徴を知ったあとに、影絵の上演会場へ移動。

人形劇作家・鳥毛こずえさんの影絵と私の演奏で、宮沢賢治の物語をアレンジした「おきなぐさ」の影絵を15分間上映しました。

こずえさんの独特の即興影絵にわたしの即興演奏。最後にそれがきたか〜!などと思いつつ歌っておりました。中村館長、中野真理子先生にもおきなぐさの声の役でご出演いただきました。

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参加者の皆さんも、静かに見てくださり、上演後にはチャットに様々なコメントをいただきました。なお、千葉県からスタジオラムの吉野さんに音響のサポートしていただきました。感謝。


そして!
ここからが、面白くなっていきます。
 
コロナ休校中にいち早く「オンラインでできること」を実践されたお二人による、事例紹介を頂きました。

お一人目は、自然保育の活動を能美市や金沢市でされている「青空自主保育おひさまぼっこ」代表の橋場規代さん。オンライン中継つきの畑の活動や、五感を使う活動の魅力をお伝えいただきました。

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お二人目は、群馬県在住で休校中にオンライン小中学校を開設された「まなビバ!シリウス」安楽岡優子さん。画面越しに集まって行うミーティング、家にいながらの世界一周旅行。ボランティアの先生を募り、休校中の全国の子どもたちが集まる場がオンラインに出来上がり、子どもたちの楽しそうな様子が、写真や、お話から伝わりました。

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そして安楽岡さんのお仲間の冨永なみさん、環境広告サステナ代表のマエキタミヤコさんもご登場。
参加者の皆さんに「お外にお散歩に出かけてきて、見つけたものや、好きなものを持って、30分後に、また集まってね!」と呼びかけて、これで第一部が終了しました。

影絵劇と事例紹介の第1部終了後は、インターバルとして館長おさんぽタイム。中村先生が網を持って外に出ていかれ、アイフォンで中継役をしました。

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館長「これはシオカラトンボですね」
参加者「食べられるんですか?」
館長「エェッ!?」
館長「これは自生してるハッカですね」
参加者「見せて見せて!」
参加者「在来種ですか?」
オンラインの皆さんは、県内はもちろん、奈良、広島、神奈川、東京など全国各地から参加されていたようです。やりとりをしながらの自然観察中継。生き物や植物が映像に登場するたびに質問があったり、「本当に行ってみたくなった!」とか、いろんなやりとりがありました。

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第2部は参加者が少人数グループに分かれてのセッションでした。子どもと大人が入り混じってのグループに、先生や案内役が入ります。
「どんなもの持ってきた?」「何かお気に入りのものはある?」

子どもたちとのやりとり、何か質問すると、黙ってるように見える・・・恥ずかしいのかな・・・?けれど、しばらくすると、チャットでちゃんと返事が返ってくる。

この待つ時間を、笑顔で見守ってあげられるかどうか。流石のファシリテーション。安楽岡さんや、橋場さんたち教育実践者の本領を感じました。

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最初から画面いっぱいに、自分の紹介したい食虫植物を並べていたお子さんと、植物博士とのマニアックな話もあったりしました。畑にいろんなタネを植えるチャレンジを紹介してくださる方、「そのやり方、私もやってみようかな?」と影響される方も。

初対面でも、やりとりの中で、共通の興味があることに気づくと、コミュニケーションが増えてくる。少しずつ広がる新しい興味や関心ごと。こういうことを繰り返していくことで、学びがとても深まるんだろうなと思わされました。

今回は植物に関心の多い人が集まったようですが、このように何かのテーマをもとに、ファシリテーターがいるオンラインの学びの場を、自然史資料館や、学校や、様々な機関が作り続けていけるなら、素晴らしいことになるのではないでしょうか。自宅から、全国の専門家や共通の関心のある人たちと話し合うことができて、それぞれの地域で見つけたものを見せ合って、関心を深めていける、そんな可能性を感じました。

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以上、ちょうど1年経っての思い出し報告となりました。

ご参加いただいた皆様、ご協力いただいた皆様、どうもありがとうございました。


おまけ1
全体進行をしてくださったゆうこりんの「まなビバ!シリウス」は2021年現在、館林市の委託でオンラインスクールを開校し、全国から無料でアクセスでき、私も今年度のインターンスタッフとして関わっています。

おまけ2
石川県立自然史資料館は、金沢市銚子町にあります。閉校された小学校を改装して作られたそうです。石川の稀少動植物に関する情報や、科学展示、小さな子どもと過ごせるスペースもある隠れスポットです。

明治時代の波動模型とか・・

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マムシグサのしくみとか・・

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バックヤードには貴重な生き物の標本もあるそうです。
無料で楽しめますのでぜひ行ってみてください!