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料理に欠かせない油には色々あります。

米油、菜種油、胡麻油…そして、皆さんのご家庭にも1本はあるのではないでしょうか?オリーブオイルです。

日本でオリーブオイルというと、小豆島を思い浮かべる方も多いでしょう。

しかし今、この堺で一からオリーブオイル作りにチャレンジしている企業があります。

北野緑生園株式会社。
なんと創業77年の造園会社です。

 

造園会社がなぜオリーブオイルにチャレンジするのか?

めざす目標は?

 代表取締役の北野裕之さんにお伺いしました。



植栽としてのオリーブから食品としてのオリーブへ

北野緑生園株式会社は昭和20年創業の造園会社です。

ハウスメーカー、ゼネコン、建築家の方々とお取引させていただいていて、外構の植栽のお仕事をメインに行なっています。

元々は植栽として20年以上前からスペインや小豆島からオリーブの木を手配して販売していたこともあり、オリーブと関わる機会は多くありました。

樹齢500年〜1000年の大きなオリーブの木を輸入するためにスペインへ行った時、オリーブオイルをお土産で買ってきて、当時家で使っていたオリーブオイルと比べてみました。

するとやっぱり格段に美味しくて、一般人が食べてもこれだけ味の違いがわかるということを実感して感動しました。

また現地で大きなオリーブの木に実がたくさんできるのを見ました。当時オリーブオイルは少し高価なイメージもあったので、日本でも本場と同じように作って、なるべくお求めやすい価格で美味しいオリーブオイルをみなさんに知ってもらいたいと食品のオリーブ事業にチャレンジすることを決めました。


どんな人でも幸せに働ける場所を

具体的に始めようと動き出したきっかけには、娘の存在もありました。

私には双子の娘がおり、一人は発達障害を持っています。色々と経験者の方にお伺いすると、学生まではいいのですが大人になってからの就職先がなかなかないのが現状だということを知りました。

そのような現状から、何かこの食品としてのオリーブ事業で娘に仕事を作ってあげたいと思いました。

それで、オリーブのブランドを双子の娘と、そして妻の名前から『YURINA OLIVE』と名付け、事業を始めました。



YURINA OLIVEの商品


一から食品事業を始めるということ

もちろんこの事業を立ち上げるまでは、造園事業しかしたことがなかったので、食品を一から立ち上げるのは非常に難しいところがありました。

今、スペインから輸入しているオリーブオイルは、現地の日本人の商社の方と一緒にいいオリーブがないか、一からルートを開拓しました。

スペインは本場で、星の数ほどサプライヤーがあるので、その中からできるだけ良いものを探すのも非常に苦労しました。

今堺で作っているオリーブオイルは、日本で一番オリーブ栽培が盛んな小豆島の方から製法を学びました。塩漬けの作り方とか、オイルの作り方とか色々学んで、ちょっとずつちょっとずつできるようになって。でも、やはり核心的なところはご自身が築いてこられたノウハウがあるので、なかなか教えて貰えなかったですね。

そこを少しずつアプローチして教えてもらいながら、見よう見まねで自分達でも試行錯誤して…

そしてなんとか商品化することができました。

現在はECサイトを中心に道の駅などでも販売させていただき、堺市ふるさと納税の返礼品にも選んでいただいています。


造園会社だからこそできること

弊社が作っているオリーブオイルの一番の特徴は、品種ごとにこだわって作っているところです。

通常、スーパーなどではエキストラバージンオイルなのかどうかや、スペイン産やギリシャ産などの産地の記載はあれど、品種というのはあまり見かけないと思います。

というのも品種ごとに搾油しているものが少ないんですね。

しかし、弊社は品種ごとに分けてオリーブを搾油しています。

品種によってもすごく味の違いがあるので、スペインに出しても負けないような本物を作ろうとこだわっています。

いろいろな品種を扱えるのは造園の経験があったからこそで、品種ごとに成長するノウハウや実の熟れ具合、収穫の時期が違い、それによって味も変わってくるので、そういった「木」の知識があるからこそできることだと思っています。

一方、造園の事業にも相乗効果があって、オリーブの木を買っていただいたお客様に手間賃などをいただいた上で、ご自宅でできたオリーブを搾油してあげたらすごく喜んでいただきました。

日本で造園をやりながらオリーブオイルを作っている会社は他になくて、一緒にやっているからこそ選択肢が広がることもあるんですね。

植栽としても、食品としてもオリーブの良さが伝わればいいなと思っています。


堺から全国へ

弊社はずっと堺で頑張ってきて、このオリーブも堺でこんな美味しいオリーブオイルができるんだということを知ってほしい、堺から発信したいという思いがあります。

堺市からもバックアップいただいて、今年3月にできた関西でも大きな防災拠点である「堺市総合防災センター」にオリーブの木を寄贈させていただきました。スペイン大使館からも大使をお招きして、記念植樹の式典も盛大に執り行われました。


堺市総合防災センターのオリーブ

そして、オリーブというと小豆島はもちろん、鹿児島や静岡などでも作っているのですが、やはり堺ならではのオリーブオイルも作りたいと思い、今年は同じ堺でレモンを作っていらっしゃる『泉北レモン』さんをご紹介いただいて、レモンのオリーブオイルをコラボ商品として開発しています。もちろん、ふるさと納税の返礼品への登録も考えています。

このレモンオリーブオイルはスペインのサプライヤーにも試飲してもらいました。

スペインはオレンジやレモンなどの柑橘の果物が世界的に有名で、レモンのオリーブオイルもあるので、本場に通用するのか、試飲してもらったんです。

すると、非常に好評で、堺産のオリーブオイル自体も美味しいと褒めていただきました。

このように、堺ならではの商品や、堺で作っているということも含めてもっともっと全国的に知っていただけたらと思っています。


個人個人に合った働き方で、社員と共に成長できる会社に


今は小さな小屋を作業場として使っているのですが、工場の建築も決まっていて、2023年の夏には完成予定です。

工場が完成したら、作れる商品も増えると思うので、ますますたくさんの人に知って貰えたらと思っています。

それと同時に、娘と同じような環境の方で、どうしても地域に対して引きこもりがちになる方もたくさんいらっしゃるんですね。

そのような方々に外で働いていただきたいという目的もあります。

この近辺には余っている耕作放棄地がたくさんありまして、高齢化や子の転居で荒れ地になってしまっている土地が増えてきています。

そういった土地をお借りしてオリーブを植えていって、発達障害や何か障害を抱えている方でも、2時間や3時間、ちょっとでも働ける、社会と繋がれる、そういう働く場所として貢献できたらと思っています。

フルタイムで働けなくても、2〜3時間でもいいから、仕事場に来て働いて、対価をいただくという、労働を通じて社会とつながりを持てるような環境を作りたいなと思っています。

また堺市の就労支援センターから問い合わせをいただき、ホームページを見て働きたいという方がいることを教えていただきました。

いざ来ていただくと、コミュニケーションは苦手だったりうまくできないこともあるのですが、できる仕事はすごくよく働いてくれました。

本当は働きたいけれど、会社に入ってしまうと、しなければならないことがある程度決まっていて、あなたはこれをこの量こなしてくださいねと言われるとできなくなる。

でも、自分のペースでできることをしてもらう、そういう働き方でお互いにwin-winの関係になれれば一番いいなと思うんです。

どうしても造園だと建築業界で、力仕事も多いですし、男社会みたいなところがありますが、このオリーブの事業だったら少しでも働いてもらえるんじゃないかと思いますし、SDGsの目標にもあるように、それぞれに合った働き方をみんなが見つけられたらいいなと思っているので、そういったところに少しでも貢献できればと思っています。

そして弊社も、造園のスタッフにしてもオリーブ事業のスタッフにしても、やっぱり社員と共に成長できる会社が一番いいと思うんですね。

だから、全員がモチベーションを高く持って、みんなが楽しく頑張れる会社をめざしています。

そうして社会にも貢献していけたら、そういう事業にしていけたらと思っています。



北野緑生園株式会社
北野緑生園 (kitano-ryokuseien.jp)


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YURINA OLIVE|本物のオリーブオイルを毎日の食卓に。 (yurina-olive.com)



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