SNSへの配信記録⑨6/16分
こんにちは、新保です。
僕の投稿は、サカエヤとセジールのスタッフに向けての非公開メッセージを一部公開にしたものです。人生経験豊富な皆様には釈迦に説法かと思いますので、ご興味ない方はスルーしてください。
いまサカエヤのバックヤードで精肉技術を学んでいるのは、楠本25歳、前泊24歳、大前23歳の3名です。そして入れ替わり立ち替わりの研修生です。
楠本が7年目になりますが、ある程度のことはできるようになりました。しかし、どうしても教えられないことがあります。職種問わずだと思いますが、なんて言ったらいいのかな、経験ではなく感覚かな。ふわっとした言葉しか思いつかないので、ここでは「見えない技術」と呼ぶことにします。
見える技術は教えれば誰だってできるようになります。肉を捌いたり、切ったりスライスしたり。ショーケースに陳列するのはセンス仕事になりますが、それでも上手い下手は別として、毎日やっていればそのうちできるようになります。どんなに不器用な子でもある日突然できるようになります。
上達の近道はやめないことです。
肉屋の仕事は、毎日同じことの繰り返しです。3年もすればある程度のことができるようになります。任される仕事も増えてくるでしょう。そして多くの若者が勘違いするのです。自分は仕事ができると。
どんな仕事でも、同じだと思いますが、一通りの仕事がてきるようになったと思ったときが、ようやくスタートラインに立てたときです。走る前のストレッチが終わった程度で満足しているのと同じです。
以前、鮨屋で大将と弟子に同じ条件で握ってもらったことがあります。僕は目を閉じているので目の前の二貫はどちらが握ったものかわかりません。見た目も同じです。でも、食べてすぐに分かりました。
また、こういうこともありました。僕が手当てした肉を2人のシェフが同じ環境、同じ条件で焼きました。Aシェフが焼いたものは、肉が硬く味が乗ってない。Bシェフが焼いたものは、口のなかで肉の繊維が解けていくのがわかり、肉の旨みを感じることができました。同じ肉なのに、です。
この2つは技術でどうにかなるものではないんですよね。
炭火でうまく焼くには「見えない火」が重要なのです。このあたりのことは長くなるので、またの機会に改めて。
てことで、今日の1枚は、切り落としで作ったすき焼きもどきです。サカエヤのわりしたは僕の好みに合わせているので無化調で甘めです。
ちょっとだけ宣伝。
僕の友人知人たちから「わくわく定期便」申し込めないんだけど、とお叱りを受けていまして。お届け日限定(火曜水曜着)ですがよろしければお付き合いください。