2年前に仕込んだ生ハムが24本。ありがたく完売しました。次回は11月に仕込みます。予定している銘柄は、今回と同じく、愛農ナチュラルポーク、走る豚、ゴーバルポークです。入荷のタイミングによって、佐助豚、さいとうポークも加わるかも。
サカエヤには、10代から20代のスタッフが7名いますが、みんな個性的で、凸凹ですが、よく頑張ってます。ちなみに、30代がいなくて、あとは40代から50、60と・・・
そもそも、僕は世間で言う「いまどきの若者」というのを理解できていない。と言うのも、僕が知り合う若者は、みんな頭が良くてしっかりしている。
ただ、仕事するうえで「粘り」はない。諦めるのが早い。いまの時代、根性論は古くさいが、職人目指すなら僕は必要なことだと思っている。たまにそういう子に出会うと光って見える。この子は伸びるな、、と。働くことに制限がかかっている時代だが、もがいている若者がいることも事実であり、もう少し自由と柔軟性があってもいいんじゃないかと思う。
一昔前なら、この年代の子たちが肉屋で働くなんて考えられなかった。肉屋のイメージは、ぽてっと太ったおじさんが、汚れた白衣着て肉を切ってる姿が思い浮かぶ。店内も肉が酸化したような臭いで僕はどうにも好きになれない。
いまは減ったが、数年前まで、たまに若い子が応募してくると、問題があるような子ばかりだった。猫の手も借りたいので仕方なく雇うと、やっぱり問題を起こす。
他所の若い子を羨ましく思っても仕方ないので、隣の芝生が青く見えるだけだと言い聞かせて、この数年は若者が働きたくなるような環境を整えてきた。
「肉屋を若者が憧れる職業に」
10年以上前から言い続けてきました。僕が現役で動けている間には叶わないかも知れないが、志は残せるかなと思っています。
サカエヤは、バリバリの体育会系です。今どきではない厳しさをもって仕事してもらっています。でも、若者から見たサカエヤは、クラブ活動みたいで楽しそう、だそうです。
確かにみんな楽しそうに働いてますし、スタッフに「仕事どう?」って聞くと、めっちゃ楽しいです。と目を輝かせます。
最近、働きたいという若者がちらほらサイトの求人フォームから申し込みがあります。動機に「楽しそう」と書いてくる子がいます。そう見えることは会社的には良いことですが、希望者が思う楽しさとは種類が違います。
そして、肉屋になりたいという若者も少なからず増えてきました。これは嬉しい。でも、甘い考えで来られても困るので、これだけは伝えておきたい。楽しさは厳しさ辛さを乗り越えた向こうにしかないということを。
あるとき、山本益博さんの、「人間味という味が、いちばん美味しい」という本を読んだ。内容は伏せておくが、心に響く言葉がいくつもあった。少しだけ重ねて僕の考え方を伝えると、、
「肉を切ることは、◯◯君が思っているほど難しいことではありません。必要なのは、正直で嘘をつかない、それだけです。そして、1年2年と仕事にも環境にも慣れてくると、いい加減な仕事で叱られることが増えてきます。そんなときは、自分はプロフェッショナルだという自覚を持って肉に対峙することです。そして、もっとも大切でもっとも難しいことは、毎日同じことをくりかえすことです」
さらに、上を目指すなら。
「肉屋は、一にも二にも肉体労働です。20代はとにかく、仕事に没頭してください。友達が遊んでるときも、羨ましがらずに仕事してください。いまの時代、そういうことが難しいのは、百も承知です。でも、それでいいんです。そうやって、30歳ぐらいになると、違う景色が見えてくるんです。なんでも許される20代なんてあっという間に過ぎますから」
一年目、二年目が過ぎて、、
「ある日、突然、できなかったことができる自分に驚くでしょう。でも、翌日にはまたできない自分に戻ります。それを繰り返すと、できない距離が短くなり、できる距離が長くなります。肉屋に限らずどんな仕事でも同じです。新しいことに目が行きがちですが、野球少年が毎日素振りするように、繰り返すことが、じつはもっとも簡単でもっとも難しい修行なのです」
偉そうに言ってる僕も、20代はよく働きました。30代はしんどかったけど、20代の貯金で体力気力ともに充実していました。40代、50代もしんどかった。お金も人脈もなかったしね。最近ようやく、楽しいかな、って感じです。
でもね、しんどい種類が年々変わってきているだけで、結局は楽しいんです。だから続けてられるのです。そんな肉屋はおもしろい。
ありがとうございます!