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瀬戸内海は、どこでも同じ海ではない

「同じ瀬戸内海ならひじきも同じように美味しいんでしょ?」

「瀬戸内海どころか、同じ島の周囲でも違うし、なんなら同じ磯でもモノが全く違います。2〜3m離れただけで不純物が沢山付着していたり質が全然別モノなことも。」

この記事のアイキャッチ画像にしている海中のひじきも、沖の方と手前でだいぶモノが違いました。沖の岩から生えているひじきは不純物が少なく、手前はゴワゴワしていて茎が汚かったです。位置にしてものの数m。

美しい新芽のひじき
汚れと他の海藻の付着が目立つひじき

これは撮影した時期も違うのでやや極端な例ですが、

日当たり、潮の当たり方、他の海藻や海の生物、海水温など、さまざまな要因が複合的に合わさっています。数メートル変わるだけでこんなに違う?というくらい、長さも質感も変わるのが海藻の面白いところ。

同じ海でとったやつなら同じ?とんでもない誤解です。

同じ磯でとったものでも質にバラつきがあるくらいなのに。もっというと、同じ岩でとったものでも、1本1本「違うもの」です。

だからこそ #沖家室ひじきは、漁期序盤の美しい新芽のみ、そこからさらにたった1日分の収穫量まで厳選したモノだけを直売しています。

「特定の岩の、どのあたりか」で話をしている件

よく考えたらすごくピンポイントな海藻の収穫場所。
師匠とは「岩の場所」で海藻の話をしています。

「〇〇磯のあの岩周辺はいいひじきがついてる」「××磯のあの岩の手前の潮が流れる場所のワカメは良い」「あの岩の反対側はダメ」...そんな感じで海藻の良し悪しを”大まかに“把握し、

その大まかな記憶を元に、現場で"細かく"観察していくのです。

だからひと口食べただけでモノの良さが分かる。これは、収穫だけでなく、その他の工程でも同じことで、良いものを作る人の観察眼と感覚が驚くほど細かったりする。

ほんのちょっとした違いかもしれないですが、師匠のような観察力を鍛えてこれからも良いモノをずっとお届けできるように頑張りたいなと思っています。

あらゆるものが実は「局所」で異なる

海藻だけでなく、畑でも数メートル離れたら土質が違っていた、ということもある。そして気候も数メートル違えば違いが出ることもある。

主語が同じであれば「同じ」とざっくり捉えるのではなく些細な違いに五感をフル活用して気づき、

その違いを、ものづくり、生産活動にも活かしていきたいと思う日々です。

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