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ギーク過ぎる原料解説HOP Vol.7 Superdelic(スーパーデリック)


アルミ袋のデザインが可愛らしいSuperdelic


前書き
まだ「Nectaron(ネクタロン)」の話題がホットなうちに続いてのスター候補の噂が流れてきています。その名も「Superdelic(スーパーデリック)」。私も教えてもらうまでは全く知りませんでした。学生時代にニュージーランドに住んでいた業界の仲間が、しばらくぶりにニュージーランドを訪れて、このホップを使ったビールを持って帰ってきてくれました。なんとこのホップ、2023年になってから発売されたばかりの超新星です。ニュージーランドのホップ収穫は3月前後のため2023年物は収穫の真っ最中かと思われます。日本のブルワリーもNZのホップ農家に訪問していましたね。本当に羨ましい…。

ネーミングの由来
またしてもDr. Ron Beatson(ロン・ビートソン)氏の案件です。ちなみに、前の記事「ギーク過ぎる原料解説HOP Vol.6 Nectaron」で紹介したネクタロンの『ロン』は、このRon Beatson(ロン・ビートソン) 氏にちなんで名づけられています。

基本情報
α酸 : 9-12%(ネクタロンやネルソンソーヴィンと同じくらいです)
用途 : デュアルパーパス(ビタリング使いは勿体無さすぎる)
原産国 : ニュージーランド
特徴 : この並外れたホップは、レッドフルーツ、キャンディー、柑橘類、トロピカルフルーツの特徴を備えている。

何やら気になる記述がありますね。「レッドフルーツ」は他のホップの説明ではあまり聞かないプロフィールです。調べてみたところ「レッドフルーツ」とは「アセロラ」、「クコの実」、「ドラゴンフルーツ」などを指すようです。読んで字のごとく他の赤いフルーツのことも指している場合がある(リンゴ、ストロベリー、ブラッドオレンジなども含む)ようなので、非常に抽象的な表現です。

特筆すべき点は、高収量という点にあるようです。Superdelicの初期開発段階から試験に参加している生産者は、「私たちは、スーパーデリックの活発な蔓(つる)の成長に感銘を受けました。それは収量の多さを約束し、且つ壮観な見た目です。私たちは素晴らしい収穫を期待しており、ブルワーにとっても良い結果が得られることを待ちきれません。」と述べています。

お土産で試飲させてもらったSawmillの「Sawmill Superdelic Hazy IPA」は、Superdelicを冠した世界で最初の銘柄になったそうです。SawmillのMike Sutherland(マイク・サザーランド)氏は「最初の醸造から、それが特別なものであることはわかっていました。Hazy IPA では、熟したマンゴー、甘いベリー、シトラスのノートが明らかになりました。また、活発な発酵中のドライホッピングによる優れた生体内変化の特性を理解しました。それは私たちの醸造所にとって信じられないほどのオプションです。私たちはそれを最初に試した一人になれたことを幸運に思います。」と語っています。

歴史
Superdelic™ (Trial Hop • NZH-102) は、Plant and Food Research との提携育種プログラムを通じて、2012年にDr. Ron Beatson によって交配された三倍体品種(品種)です。 小規模区画試験で良好な成績を収め、初期の醸造試験で赤い果実の機能特性を示したため、2017年に生産者委員会によってNZホップ試験ホップ農場で急速に追跡されました。2023年の3月20日と21日にネルソンで開催された NZ Hop の 2 日間のフェスティバル、HarFest の前に正式に発売されました。めちゃくちゃタイムリー(記事作成時2023年4月頭)。

「三倍体って何?」って方もいますよね。三倍体品種については、Ron Beatson氏の「Polyploid breeding strategies for developing hop cultivars in New Zealand(ニュージーランドにおけるホップ品種開発のための倍数体育種戦略)」という論文を見つけたので、読んで要約したものを皆さんに伝えたかったのですがPDFを手に入れることができませんでした。手に入れたら加筆しますね。三倍体ホップについての説明は難しくて長くなるので割愛しますが、ニュージーランドホップの特徴であり、優位性を説明するうえで欠かせない内容の1つです。興味がある方は検索して調べてみてください。ニュージーランドホップ産業は遥か昔から国策として三倍体ホップの育種に取り組んできた結果が今のニュージーランドホップの躍進に繋がっているとだけ記しておきます。三倍体ホップの説明は、いずれそれはそれで1つの記事にしたいと思います。ニュージーランドホップの歴史についても触れたい!時間と余裕が足りない!

個人的感想
個人的に似ているホップを挙げるならば「Enigma(エニグマ)」です。エニグマには、独特のトロピカルフルーツ、ベリー、メロン、ストーンフルーツのフレーバーがあるとされています。また、ラズベリーやレッドカラントなどのジューシーな「赤い果実」のニュアンスもあると説明されており、同じ「レッドフルーツ(赤い果実)」という言葉が使われていることからも似た性質を持っているという感想はあながち間違えていないのかもしれません。実際に「Sawmill Superdelic Hazy IPA」を飲んでみた感想は「ネクタロン」を使ったビールに共通する「プレーンな甘い果実味」を感じたので、他には「Idaho7」や「Motueka」なども似た印象を持ちます。日本にこのホップが入荷するのはまだ先のことになるかと思いますが、説明の通りHazy系で試してみたいものですね。もし使用してみたら加筆したいと思います。もしかしたら日本語でスーパーデリックのホップについて説明する最初の記事になったかもしれません。(2023.04.05時点)


今書けるのはここまで。知見がまだ浅いですが旬なホップだったので早めに記しておきたかったという思いがあります。内容がそんなに濃くなくてすみません…。追々、加筆して肉付けしていきます。

https://www.drinksbiz.co.nz/news/superdelic-arrives-for-fresh-hop-seasonnbsp
https://nzhops.co.nz/products/superdelic
https://www.brewersjournal.info/nz-hops-launches-superdelic-hop-variety/
https://hoppiness.co.nz/nz-hops-ltd-launches-superdelic

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