栄町が目指すべき「女性が住みやすく、働きやすい町」とは?
2024年5月の週刊エコノミストの記事によると、2023年に全国の自治体で、転入者が転出者を上回った「転入超過」の都市は、東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、福岡の6都道府県しかなかったそうです。そして、この6つの自治体には「男性よりも女性を多く集めている」 という共通点があります。
一方、社会減となった41都道府県のうち、35道県が男性よりも女性の数が減少しているそうです。つまり、地方自治体の人口を増やすためには、「女性の定着」が非常に重要であり、女性にとって住みやすい町を作ることが、人口を増やす施策につながっていくところがあります。
栄町はご存じの通り、女性の働き手が成田市や印西市をはじめとした、大きな街に出て行ってしまいます。栄町には女性の職場が少なく、その結果、「成田市の方が職場に近い」「印西市のほうが東京へのアクセスがいい」という事情で、若い女性が栄町に定着せず、婚姻数が減り、しいては子ども出生率にも影響を与えているというのが現状でもあります。
しかし、裏を返せば、女性の働ける場を提供すれば、女性は栄町に定住するようになり、この町で家族を作り、子どもの数が増えていく流れを作ることができるかもしれません。また、女性が働ける職場が栄町に増えれば、子育てをしながら栄町で暮らすことができるようになるので、子ども連れの若い家族も定住するようになると思います。
では、どのようにして栄町に働く場所を作ればいいのでしょうか?
栄町には産業も商店街もないので、働く場が少ないのが現状です。これが栄町の人口減のもっとも大きい理由だと思います。成田市や印西市のほうが女性の働き場が多く、職選びは、やはり大きな街のほうに優位性があります。
私はこの状況を打破するために「起業支援」と「在宅ワーク支援」を展開すれば、突破口が見えてくると思っています。
商工会が積極的に起業支援を行い、栄町で起業する若い人を増やすことができれば、自営業者として栄町に定着してくれる可能性が出てきます。成田市と印西市という人口の多い大きな都市が隣接しているので、集客戦略やマーケティングでよほどの大きな間違いをしない限り、それなりの収入が得られる新規事業はうまくいくと考えています。
また、オンラインの在宅ワークを町が支援すれば、女性が子育てをしながら、栄町で仕事ができるようになります。
たとえば、長野県駒ケ根市では、自治体がバックアップし、オンラインで東京の仕事を受ける在宅ワークの支援を行って女性の就労者を増やしています。女性を中心にした350名のメンバーが在籍し、データー入力やブログ記事の執筆、クリエィティブ制作など、東京のIT企業の仕事を請け負い、自宅で子育てをしながら、収入を得ています。
私も現地に取材に行きましたが、駒ケ根市は大手企業の工場が多く、男性は就職先があるものの、女性の働く場が少なく、市から女性が流出し、婚姻数が減ることが長い間、問題になっていました。これを、自治体が在宅ワークの支援をすることで、女性が駒ケ根市に住みながら、収入を得られる環境を整え、その活動が定着しつつあります。
このように、町の活気と人口増に対しては、まだまだ施策がたくさんあります。始める前から「難しい」と言って諦めるのではなく、「どうにかしよう」というチャレンジが必要だと思います。
考えて、行動に移せば、栄町は元気になる自治体だと思いますので、私自身もいろいろ模索していきたいと思います。