少ない予算で栄町の英語教育を変える!
2023年に私が執筆した「翔んだ!さいたま市の大逆転 “選ばれる都市”には理由がある」(PHP出版)で、最も印象に残っているのはさいたま市の英語教育への取り組みでした。
小学1年生から中学3年生まで、全国平均よりも多い英語の授業をこなし、中学3年生で英検3級相当の英語力に達している生徒は77%、全国平均の44%を大きく上回る英語力が身に付けられることで、教育水準の高い政令都市として全国から注目を集めました。
英語教育が充実すると、さいたま市の近隣の市町村の子育て世代が「子どもはさいたま市の学校に通わせたい」と思うようになり、移住者が増加します。その施策が功を奏し、さいたま市は0~14歳の転入超過は9年連続で全国1位となっています。
このように、英語教育の充実というのは、自治体の人口増と結びつく面が非常に大きいのです。
現在、栄町が英語教育にどのような取り組みをしているのか、教育委員会のホームページからは確認することはできませんでした。しかし、ユニークな英語教育の取り組みに力を入れれば、近隣の市町村の子育て世代が、栄町に対して興味を持ってくれるかもしれません。
たとえば、成田空港への近さを生かして、小中学生で成田空港に出向き、外国人の旅行者と英会話の体験をしてみるのも、面白い試みになるかもしれません。実体験で英語を使ったほうが、「もっと英語を使いたい!」という思いが強くなり、その後の人生において、英語に対する考え方や勉強の姿勢が、大きく変わってくる子が出てくる可能性があります。
また、栄町には成田空港関連の企業に勤める人が多く、町内に英語が流暢に話せる人も少なくありません。たとえば、ドラムの里で、子ども達と一緒に英語だけしか話してはいけないキャンプイベントを開催したり、ふれあいプラザ栄で、英語で子どもたちと遊んだりするイベントを行ったり、英語に触れ合う時間を町が作って上げることも、英語に対しての苦手意識をなくす教育の一環になるのではないかと思います。
最近では生成AIやオンラインを使った英語の学習方法も充実しています。ひと昔前に比べて、お金と時間をかけずに英語を学ぶ環境が整っています。そういうデジタルツールを使った英語の学習方法を子どもたちに教えることも、教育に大きな予算をさけることができない自治体の施策として、今後、考えていく必要があるのではないかと思います。
自分自身が英語が苦手で、大学受験や仕事で苦労したほうなので、せめてこれからのグローバルな社会において、子どもたちには英語への苦手意識は持って欲しくないという思いもあります。
英語は理系でも文系でも受験で必須科目という一面もあるので、そういう意味でも、英語の充実が、子ども達の教育全体の底上げになっていくのではないかと考えています。