ジオシティーズからの移植

ジオシティーズが2019年の3月末にサービス終了とのことで、思いを馳せて、色々なウェブ遺産が消滅するなあと思っていたら、自分もウェブ遺産があったので残すために移植することにしました。
単なるコピペですがお許しください。
文章に当時の自分の熱量が物凄く感じられて懐かしいです。
なんたって2003年ですよ、2003年!
ビバ!ゼロ年代。日本格闘技界華やかなりし時です。

観戦記03.11.9 PRIDE GRANDPRIX
2003.11.9 PRIDE GRANDPRIX 2003 決勝戦 
東京ドーム大会観戦記
 

観衆:67,451人

▽第1試合 ○ゲーリー・グッドリッジ(KO)ダン・ボビッシュ×

いや、レジェンドを思い出してしまいました。
ただ、アイアンマンで入場するボビッシュにホーク・ウォリアーを思い出し、来場しなかった長州らWJ関係者がいなかったので、自分はプレーンにキングオブケージの選手と思ってみました。
グッドリッジのパンチで、指がどうやら目に入ったらしくそのまま終了。
激しいでかいやつ同士の殴り合いを期待していましたが、アクシデントで秒殺。
再戦してほしいです。

 

▽第2試合 ○クイントン"ランペイジ"ジャクソン(タオル投入)チャック・リデル×

だんぜんリデルでしたが、試合は完璧にジャクソンペースで進みました。
リデルがパンチや、蹴りで攻めますが、もう時代の流れの勢いでもって調子にのっているジャクソンの勢いに技術で押さえ込めるわけもなく、ガンガンパンチや膝蹴りを貰って、リデル大ピンチ。
パンチを返して逆転の場面もありました。いいパンチを食らってぐらつくと組み付いての打撃を狙うジャクソンの手首を掴んでうまく防御するなど歴戦の勇士らしいところもみせました。
ハイライトは、コーナーにリデルを押し込んだジャクソンがボディスラムを狙って、股間に手を差し込んで投げようとしたところでしょうか。
しかし、異様なほどのリデルの消耗振り。どこか痛めてでもいるのでしょうか。
そのまま、ラウンド終了。

2R。
ここまで圧倒的になるとは思いもしなかった展開で、強烈なアッパーで快音を響かせ、ジャクソンが圧倒的なペース。
御互い殴りあいになりましたが、これが命取りでいいパンチが入ると、リデルが見事にぐらついてそのままタックルにジャクソンが入ります。
最後は力尽きてガードポジションで恐ろしい勢いのパウンド攻撃でもって殴られるリデルにセコンドがタオル投入で終了。強烈過ぎるパウンド。やはり、寝技の技術がある選手じゃないと、パウンドが上手くできないのでしょう。それにしても、ジャクソンは恐い。
リデル自体は、すごくいい選手なので、また次回も参戦して欲しいです。

 

▽第3試合 ×吉田秀彦(判定)ヴァンダレイ・シウバ○

もっとも期待されていたカードだと思うし、それを裏切らない展開で素晴らしいものがありました。
最初は、にらみ合いでスタート。最初のレフェリーチェック時のにらみあいも互角で吉田の豪胆さが見えました。
シウバがパンチのラッシュで一気につめていくと、吉田が組み付き、コーナーに押し込んでいきました。そこにあわせたシウバの膝がきれいに決まって、ずるりと吉田がシウバに組み付いていながら崩れて、そのままなんとか吉田がテイクダウン。
ガードポジションで、シウバが下の展開。
正直、終わったと思いましたが、背中の胴着を掴んだり、袖やなんかをシウバも掴んだりと有効利用して、しのぐしのぐ。必殺の袖車締めもかわしてかわして、かわしていきます。
ここでシウバはなんと下からの三角締めでもって吉田を締め上げます。しかし、締りがあまかったのか、1分ほど堪えてなんとか脱出。
押さえ込みに入ろうとしますが、吉田の体を跳ね上げると顔面を狙って蹴り上げるキックを見せましたが、有効打は得られずに吉田がめげずに上をキープ。
以後は吉田もパウンドを仕掛けますが、シウバが手首を押さえて堪えます。
吉田がスイープからサイドを取ろうとすると、一瞬パワーボムを仕掛けるような姿勢になった瞬間にシウバが水車落としよろしく吉田を持ち上げて、前に落としてここでシウバが念願の上になる体勢に! シウバすごいパワー! PRIDEでは始めて見るような感じがします。
なんとか必殺のパウンド攻撃を仕掛けていこうとしますが、今度はしたから吉田が三角を狙ったり、がっちりとシウバの手首を掴んだりしていっさいの動きを止めていきます。
シウバもこれでは極まらないと思ったか、なんとか吉田の手から逃げて、スタンディングの体勢。
猪木アリ状態になると、シウバが吉田へローキックを打ち込み、消耗を狙いますが、吉田もまた下の蹴りで応戦はしますが、慣れていないのかたんなる威嚇か、不恰好な感じ。まもなくスタンドの声がかかって、スタンドでスタート。
シウバが吉田の膝へローキックを加えたり、パンチで攻めたりしますが、やはり寝技が恐いのかラッシュをかけられず一歩踏み出せないシウバ。
一気に近づいた吉田が払い腰で倒して、ヘッドロック!
まずい! シウバのピンチですが、瞬間的にハーフガードをあわせてなんとかガード。
袈裟の体勢に入りかける吉田をなんとか突き放して、ガードポジション。
とにかく、寝技のちょっとした動きに集中してしまいます。ノゲイラの試合でさえ感じないほどの寝技の緊張感。すごいです。
足裏で吉田の体を押して、下からの打撃を狙うシウバと、なんとか攻めようとする吉田の状況になった瞬間、ゴング。ポジショニングではいまのところ吉田が有利でしょうか。最初の三角をどうみるかが、判定になった場合のポイントになると思います。
しかし、この試合は時間のたつのが早い! 10分ってこんなに短いのかと思うほどすごい試合。ベストバウトの香りがプンプンしています!

2R。
シウバも吉田もあったまってきたのか、ファーストコンタクトは吉田から!
片足タックルをかまして、シウバからテイクダウンを狙いましたが、冷静なシウバが的確につぶして膝蹴りで吉田の顔面を狙っていきます。
二発、三発と膝が入ると、こらえきれずに吉田がクラッチを解いて、スタンドへ。
吉田の顔面にキチッとはいったのか、鼻が真っ赤になっています。
シンドイ展開。
するとシウバがパンチから、ミドルキックと打撃で一気に攻めてきます。するとお返しで吉田もタックルを決めますが、やはり打撃が効いてきたのか、疲れてきたのか、きられると胴着の裾をもたれたまま、パンチ、膝蹴りを食らわされ、吉田を押し返してきます。
スタンドにまたもや吉田が引いてなると、果敢にもなんとここで吉田がなぐりかかり、シウバが打ち負けるというか、嫌がってしまうというシーンも。しかし、これはフライvs高山のように果敢に打つ高山でしたが、的確ではない。というのと同じでシウバのほうが的確にきちきちとパンチを当てているようです。
吉田が引いてしまうと、吉田の顔面は赤くなり、唇からは血がたれていました。
もう一度吉田が、シウバの打撃をかいくぐって、コーナーに押し込みヘッドロック。
テイクダウンを狙いますが、シウバが裾を掴んでこらえると、掴んだまま逆にはねつけて、ストレート、ハイキック、さらにストレートと空いた左手で使える限りの打撃を加えていきます。
吉田が倒れると、シウバが上に載って、一気に極めにかかります。
パンチを狙いますが、吉田も固いガードで決めさせません。
じりじりと時間がたっていきます。5分は短すぎる。トーナメントじゃなく、ワンマッチで見たいととにかく思いました。
シウバの腕をもって、こらえていると、なんと吉田が渾身の力でもってポジションを逆転!
吉田が上に、シウバが下になります。これから! というところで、ゴング!
こりゃあ、微妙だった1Rに比べて、2Rの圧倒的な攻勢を見せたシウバがいくやろと、戦前シウバ勝利を予想しただけに、自分で判定を付けてしまいます。
案の定、判定はシウバが3-0。
ついに吉田に黒星がつき、シウバ側は大喜びで勝利を祝います。シウバにとっても、シンドイ試合になったのではないでしょうか。
さきほどのジャクソンvsリデルはジャクソンが終始おしまくる展開でしたが、この試合はどっちかがおしまくり、さらにまた逆に押し返していくような一進一退の攻防だったので、シウバのスタミナが心配です。
特に、三角をシウバが狙ったときに、あまりに長時間締めたため、すごい汗をかいていました。
もうリデル敗北で予想が狂ったために、ここはシウバを応援したいところです。
吉田は、顔面を赤く腫らし、鼻も真っ赤で、唇からは血をたらす散々な様相。
しかし、負けて強くなったファイターは星の数ほどいます。
ぜひ、進化した吉田が見たい!
 

▽第4試合 ○ダン・ヘンダーソン(TKO)ムリーロ・ブスタマンチ×

秒殺。
あそこまでジャクソンを追い詰めたブスタマンチになにもさせず、ゴング早々のブスタマンチのタックルをつぶして、逆にテイクダウンすると、半端な姿勢のブスタマンチへ強烈な膝蹴り。
腰を落として、上体だけを上げているような姿勢に、たっているヘンダーソンが強烈なパンチを連発。
そこにレフェリーが割って入り、ゴング要請。
もっとも長く、もっとも上手い試合が見れると思った試合でしたが、強烈なヘンダーソンの強さが目立ちました。レスリング+ボクシングのトータルファイターが遂に帰ってきました。
次のシウバの防衛戦の相手は決定かな(笑)。
 

▽第5試合 ○ヒース・ヒーリング(チョークスリーパー)山本宜久×

あの懐かしい山本vsヒクソンを思いこさせるような展開がありました。フロントチョークとロープ掴みです。
トータルで考えると互角の展開だったと思います。正直、弱い印象がある山本でしたが、意外な健闘でした。
突っ込んでくるヒーリングをなんとか受け止めると、コーナーを背にしてスタンディングのフロントネックロック。体がでかいので、利きそうな感じです。
ヒーリングが首を抜くと、ハイキック! 空振りに終わりましたが、試合中気になったのはミドルキックをよく使っていたこと。偶然かも知りませんが、前回のvsミルコ戦の決め手になったミルコのミドルキックが気にかかっているのかもしれません。
とにかく、つめてくるヒーリングを山本が受け止めるか、逆に山本がヒーリングを押して倒すような少し単調な感じでした。

2Rで、山本がロープを掴んでテイクダウンを嫌がるとイエローカードが。
しかし、山本も根性で試合でのテンションを、攻められてもけっして落としませんでした。
ミドルキックをくらっても、掴んで倒していきましたが、逆に4点ポジション膝蹴りでもって痛めつけられ、するりとヒーリングがバックに回るとチョークスリーパー。
ヒーリングも復活でしょうか。思えば、PRIDE常連の勝ちが目立ちます。

 

休憩時間。
高田が現れ、「今日は猪木さんが来ていません、なぜでしょう? ……PRIDEは去る人は追いません」というコメントを出して、歓声。
さらに、PRIDEスペシャルと称して、大晦日興行を発表。
そこでも、フジテレビのプロデューサーとの少しの寸劇。「大晦日の興行をしたいのですが、フジテレビがウジウジ言ってます。おい、立て○○!(←名前が聞き取れませんでした。)どうなんだ?」番組プロデューサーが立ち上がり「やらせてもらいます!」「よし、○○、お前男だ。」
さらに、CM撮影までも。最初は島田レフェリー主導でしたが、「おまえ、ショッパイよ」との言葉とともに高田に交代。高田の「お前ら」に会場のお客さんが「男だろ」と返すというものでした。
 

▽第6試合 1回10分・2、3回は5分 
○桜庭和志(腕ひしぎ十字固め)ケビン・ランデルマン×

マリオのテーマと格好で入場。
しかし、ランデルマンのセコンドはいつもながら豪華でした。ハンマーハウスのマーク・コールマン、トム・エリクソン。豪華なレスラーばっかりです。
しかも、花束贈呈はUFCで、近藤にものが違うと言わしめ、シウバも打ち倒しだ悪童゙ティトを倒した世界最強の40代、UFCライトヘビー級王者ランディ・クートゥアー。なんか、後々の対戦が楽しみなシーンでした。
試合は、半身の打撃姿勢で構えるランデルマンといつもの格好の桜庭でスタート。
桜庭の打撃は、どうも前のシウバ戦の敗戦を思い起こさせて、びくびくしてしまいます。
ランデルマンもリアルドンキーコングの名に恥じないくらいのオーバーアクションで、桜庭のタックルに合わせてしなくてもいいほど激しいモーションの切る動きをします。
桜庭の打撃も小気味よく、ランデルマンも豪腕を振り回して組み付くと、ランデルマンから足をはらってテイクダウン。ジャーマンのような体制で立ち上がらされると桜庭はコーナーに押し付けられます。、腕をとってアームロックで返そうとしますが、ランデルマンがそれをゆるさずにじりじりとコーナーぎわでの攻防。
桜庭があきらめて、はじき返すことに成功すると、ローキックとパンチを桜庭が仕掛け、お返しにランデルマンがタックル! 上になると、さらにバックを取り、ジャーマンのような体制で上記のような展開に。
このときは、桜庭がはじき返すこともできずに、膠着してブレイクします。
どうも旗色が悪い。延々とランデルマンが試合のペースを握っている展開は判定的に厳しい。
スタンドで再開すると、桜庭の左のローキックを皮切りに御互いが隙を誘ってフェイントの応酬。ランデルマンがタックルを仕掛ける動作をすれば、桜庭は打撃でお返しの仕掛け。
桜庭が応酬の幕を下ろし、ランデルマンにローを当てると、ランデルマンがパンチのラッシュで桜庭を下げるとタックルでテイクダウン。
下からの十字を仕掛ける桜庭ですが、体を密着させるランデルマンがそれを許しません。すると狙いを変えて三角締めのような形に変形しますが、足を足首でフックさせるだけで極めるというより、とりあえず動きを止めるような動作。
パウンドとそれをさえぎる三角締めの形で両者こう着状態。すると桜庭が抱っこちゃんスタイルでランデルマンに組み付くと、ランデルマンはなにもできなくなりより膠着。
そのまま、ゴング。
とりあえず、判定では圧倒的にランデルマンな展開。このままだと不味いですが、桜庭も動きが極めに行く感じがありません。隙を伺っているようですが、このままだと駄目です。

2R。
パンチを仕掛けていく桜庭に強烈なランデルマンのカウンターパンチ。
体とバネがあるだけに、迫力ある打撃は膠着しがちな展開のいいスパイスになっています。
するとランデルマンもローキックを出すと、タイミングが良かったのか桜庭の姿勢が崩れます。しかしランデルマンも見ているのか踏み込まずに待ちます。
桜庭がローキック、ハイキックと繋ぐとランデルマンが蹴り足まで掴んでテイクダウン。
間をたっぷりとった展開に、すぐに5分がたってしまい、ランデルマンが上で桜庭がしたの状態でゴング。またもランデルマンが押すような展開に、判定決着は絶望的。

3R。
ゴング前からフェイント合戦。
ランデルマンはこの調子でやれば間違いなく勝ちますが、桜庭もこれからを考えるとなんとしても勝ちたいところ。
再びランデルマンのタックルが決まり、バックに回るとコーナーへ押し込もうとする動作。
すると桜庭がvsヘンゾを連想させるアームロックでランデルマンのクラッチを返します。
チキンウィングは逃げましたが、腕十字へ腕を伸ばして、一気にランデルマンがタップアウト。
判定を待たずに、桜庭が強豪から一本!
しかし、vsジャクソン戦のように辛い展開で、これまでの桜庭の感じからすると体重が近く、さらに柔術ベースのほうが桜庭と手があって面白い展開になる可能性が大きいでしょうか。
桜庭もPRIDEの最大の功労者の一人ですから、武士道のヘンゾvsニュートンみたいに一戦で出されなくても、内容で攻めることができるカードを上手く編成してほしいなぁ。できたら、小路も。

▽第7試合 PRIDEヘビー級暫定王者決定戦(1回10分・2、3回は5分) 
×ミルコ・クロコップ(腕ひしぎ十字固め)アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ○

異常なほどの盛り上がり。
試合前の予想でも、選手自体が両極端なだけに片方が圧倒して勝つというのが多かったと思います。
試合では、平常心のミルコに対し、来日までトレーニングが忙しく髪を切ることができなかったほどヒョードル戦から自分を高めてきたノゲイラの対戦。ノゲイラ勝利を疑っていませんでしたが、つい疑ってしまうほどのミルコの表情、そしてその物腰。まさしくトップスターです。
試合前の花束の贈呈はヒョードル。この二人のどちらかと戦うチャンピオンは、赤い鼻に柔らかい笑みを浮かべて両者に握手と花束を渡していきました。
ゴング。
ノゲイラがすたすたとリング中央によって、ミルコはその周りを回ります。
大概の格闘技では、相手の周りを回るのが格下と言われますが、この時点の雰囲気では遥かにミルコが勝っていました。
ノゲイラが胴タックル。案の定はじき返されます。しかし、再度の挑戦では、胴タックルするとミルコの股間に体を滑り込ませるような動きで引き込みに成功。まだ1分ほど。勝っちゃうぞ! とつい口に出てしまいました。
ここで思ったのは、パウンドという見栄えもするあの技が、いかに高度なテクニックを要するかということがよくわかりました。サンボの王者でもあったヒョードルだからこその技なんですね。実際ミルコは上からのパンチを狙いながらも、軽いパンチしかできていませんでした。
したから三角を狙ったりもしましたが、ぐりぐりミルコが上体を動かし、徐々にノゲイラの足のロックを外していくと、ぱっとミルコが跳ね起きて、脱出。ため息が出てしまいました。
スタンドでの再開です。ノゲイラもムエタイをやっているらしいのですが、やはりミルコが5枚は上。ローキックからのミドルキック、パンチがすいすいノゲイラの体に突き刺さっていきますし、半端な距離になると翔び出すハイキックのたびに思わず声が出ます。
何度かノゲイラが胴タックルを敢行し、瞬間的に体を滑らせ引き込みに行きますが、一切をミルコが躱わして、ねそべるノゲイラを見下ろすという感じ。
すこし、ノゲイラの動きがにぶった瞬間、サップをKOしたときのような勢いのパンチをズバズバ連発して、ガードしているはずノゲイラの顔面にもガードを突き抜けて当たってしまい、パンチのラッシュから逃げ切ったときにはすでに顔中真っ赤で、鼻からも大量の血を流していました。つぎのパンチのラッシュの時には組み付きましたが、突き放され倒れてしまうと、倒れたノゲイラの顔面を狙って蹴りを放っていくほどの強烈なミルコペース。
強烈な緊張感と技術戦に、空腹やいろんなことをわすれてしまいした。失った時間間隔に、思わず時計をみるともう10分ちかくほど。
リング上では、倒せもせずに、引き込み失敗で自分から寝そべるノゲイラ、立つミルコ。
再開されても、ハイキックを警戒して顔面を守る分だけミドルキックやローキックをすばずば喰らうノゲイラ。すでに勝敗はでているようです。
あと何秒かのところで、なんとノゲイラの顔面に左ハイキックが炸裂! 声がでましたが、炸裂とゴングがほぼ同時。しかしミルコがパンチを倒れるノゲイラの顔にも合わせていて、ここでレフェリーが入っていなければ、もしくは旧PRIDEルールのように15分であったら、負けていたと思います。ノゲイラは両足を上げて、ガードの形はしていましたが、これは時間があったら駄目だったと思いました。

2R。
すでに勝敗はミルコに傾いています。
受けすぎた打撃で、ノゲイラの体にダメージが残っているのでしょう。動きが悪いです。
時間の問題かと思われましたが、なんとここでノゲイラのタックルが大成功!
すぱーんと足が刈られ、倒れたミルコ。
映った顔は、しまった! という顔。これこそ今大会のハイライト!
あまりの驚愕に、ミルコの鉄壁のディフェンスがいっさい固められずに、ノゲイラが横四方からマウントを奪いました。
場内大歓声。いけるぞ、ノゲイラ!
軽いパンチとともに、腕を取ろうとしますが、ここで焦ると返されて、またもとの上体に戻るのでそれが恐い。
なんとかミルコも胸に密着して、ブレイクまでの時間を稼ごうとしますが、上手いことノゲイラがクラッチしたミルコの腕の輪に腕を差し込んで、密着をされるたびに解き、パンチを振り下ろしてミルコを追い詰めていきます。
vsヘンダーソンのように、マウントからチキンウィングに腕をとっての腕十字をやってほしかったんですが、なんとさすがミルコで体をブリッジで起こすとそのまま裏返り、いっきに背中でノゲイラを押して脱出できる、普通ならいけるのですが、ここでも焦りからでしょうか。最大のミスが起こってしまいました。
おそらく密着をキックボクサーの本能で嫌がったのでしょう。ただ腕をスリーパー対策に首カバーに回して、全身の力で浮いたノゲイラの体を押し返せばよかったものを左手でノゲイラの顔を押して、無理やり押し返すという最大のミス!
場内大歓声と自分も興奮で、このミスをVTRでみるまで気がつきませんでした。
それをキャッチしたノゲイラは、体を裏返すミルコの動きにあわせて、足をミルコの腕に絡ませてミルコがマットに顔を合わせた瞬間に、ノゲイラはミルコの腕を伸ばしきり、一瞬の逡巡のあと、ミルコがパンパンと小さくマットを叩きました。
場内大爆発!
自分ももう終わったと、興行が終わったと感じ、そしてまたノゲイラ復活、世界最強に最も近い男の一人だったミルコの無敗伝説のあまりにも強烈な名勝負での終焉に大興奮でした。
その後のベルト授与のセレモニー中も、ミルコは仁王立ちで軽くうつむき唇をかみ締め、必死に涙をこらえていました。これからのミルコは恐いです。もっともっと、つよくなるはずです。
あれほどノゲイラのタックルや引き込みなどの仕掛けをしのげた選手がこれまでいるでしょうか。これからのミルコにも、大期待です。
PRIDEヘビー級“暫定”王者となったノゲイラ。次はヒョードルとの対戦です。
しかし、この試合の結果でもって敗者を貶めるようにいうものはばか者です。この試合でも、終始ペースはミルコが握り、けっしてノゲイラにペースを握らせませんでした。とちゅうのマウント返しさえ失敗しなければ、どうなっていたかわかりません。戦後の、クロアチアに中継され国民が見るのテレビの前での敗北を知ったミルコが復活するのを待っています。

▽第8試合 PRIDEグランプリ2003ミドル級トーナメント決勝戦(1回10分・2回5分) 
○ヴァンダレイ・シウバ(レフェリーストップ)クイントン"ランペイジ"ジャクソン×

この試合、忘れてました(笑)。
それほど、セミが素晴らしく、この試合をする人は厳しいと思いました。
入場では、ジャクソンが狼のマスクをカブって入場。まさしくアメリカンマッドドッグ。
シウバは相変わらずプレーンな入場。
試合では、フルタイム戦ったシウバに対し、KOで締めたジャクソン。
時代の勢いを持っているジャクソンが勝ってしまうのかな、とか思いましたが自分の予想はリデルでしたし、セミのあまりの良さに放心状態で、ほとんどのお客さんも集中力がなくなっていたと思います。
試合、いきなり打撃の交換からジャクソンのタックル。受け止めるとシウバがフロントネックロック。ぐいとジャクソンがそれを持ち上げ、すたすたあるき、場外に落とそうとするいつものモーションが起こりましたが、なんと歩きながら歩みが遅くなり、トップロープにシウバが乗ると動きが完全に止まりました。ジャクソンの腕がだらりと下がる瞬間もあり、場内騒然。
自分はそのとき、ネックロックを仕掛ける白いシウバの体と、両手をだらりとさげるジャクソンの体というシチュエーションがまるで宗教画のようで、宗教画をみるような感慨がありました。おそらく、テンションが上がりすぎて軽くトランスしてたんでしょう(笑)。
その状態が1分ほど続いたでしょうか。周囲をレフェリー、サブレフェリーが覆い、いつ止められるかと思っていると、ジャクソンの膝が折れ、倒れこむとあ、落ちた。とか思いましたが、これでクラッチが緩んだか、ようやくジャクソンが脱出。
その状態からパウンドをぶち込み、マッドドッグの逆襲がはじまりました。
柔術も身に付けているからか、恐ろしい勢いの力の入ったパウンドがシウバを襲います。
シウバもたいしたもので、下から十字を狙いましたが、逆に振りほどかれ半端な横四方の形になってしまい、ジャクソンはシウバの顔に膝蹴りを果敢に打ち込み、いつからかシウバの顔から血が流れていました。
瞬間的にシウバがハーフガードに戻し、窮地を脱しますが、それでもパウンドが止まりません。
さらに、シウバがガードポジションに戻し、流れを断ち切ろうとしますがそれでも止まらない。
この時点で、疲れた頭にシウバも最初のネックロックが最後のチャンスだったなと思っていました。
心なしか、体の力が抜けているような組しかれたシウバの姿に、敗北を感じてなんともいえない感じでした。
とにかく殴るジャクソンの腕を取って、ぐでぐでになっているシウバ。防戦一方。そこに島田レフェリーがブレイクを命じて、シウバにイエローカード。
消極的でもなく、あのときのあのやり方しか窮地をなんとか維持する方法はなかったはずですが、持論である試合はレフェリーが作るというところからのイエローでしょうか。場内ブーイング。
スタンドからの再開で、パンチのコンビネーションを御互いが交換すると、シウバがハイキック!
動きが止まったジャクソンにパンチを食らわすと、テイクダウンを狙ってテイクダウンを狙いますが、なんとかジャクソンが引き剥がしますが、シウバが相手の首を押さえて抵抗すると、顔面に剥けて戦慄の膝小僧が爆発! 二発、三発と膝が入りジャクソンが倒れると、サッカーボールキックで追い討ちをさらに二発! それで立ち上がるジャクソン。場内総立ち!
しかし、単にたちあがるだけのジャクソン。まるで力石徹に殴られ続ける矢吹ジョー状態!
さらにシウバがジャクソンの頭を抑えて、膝蹴り連発! おそらく十発は越えてます。しかも的確に顔面を捉えますが、なんと後ろに逃げるジャクソン。素晴らしいうたれづよさ。それにパンチでもっておいうち、さらに膝蹴り!
見かねたレフェリーが間を分けると、ジャクソンがゆっくりとロープにもたれて、マットに崩れ落ちました。
ついに、トーナメント優勝者が決定!
シウバ、強い!
マニアの間では、シウバがイージーな相手としかやっていないと言われていましたが、今大会で行われた二試合は、すべて身を削る好勝負、名勝負。
いやあ、いいもの見せてもらいましたが、ミルコvsノゲイラのあとじゃあ、おまけにしか感じません。豪華すぎるカードし素晴らしい内容のカードぞろいもそれはそれで、困ったものだと思いました(笑)。

 

総評は、最強はリングスが決めるというのと、豪華なカードに相応しい内容になったということ。
面白くない試合という試合は、しいていうならヒーリングvs山本や、桜庭vsランデルマンぐらいなもので、それもけっして面白くないというわけではなく、ただたんに他の試合が凄すぎたというだけという豪華さ。
いまのプロレスがやることのができないほど、価値の高いカードを作り出すことができたPRIDEに参ったという感じです。
ただ、PRIDEが年末興行戦争に参戦するというのは、さすがに参りました。
どこでも言われたとおり、興行が増えるということは、数少ないトップ選手がばらつくという事です。
まったく未知の新人が現れるにはいいシチュエーションですが、そんなものすぐにはあらわれませんし、昨年の猪木祭りが成功したのも、PRIDE、猪木軍、K-1が集合したから成功したのであって、毛利元就的に言うと、そりゃ簡単に折れる矢ができるだけだよ、という感じもしますが、やるというなら、それぞれの大会合計視聴率でぜひ紅白を上回って欲しいものです。
とにかく、おもしろい興行でした。PRIDEでは、高田引退試合がこれまで最高の出来だと思っていましたが、今回ので遥かにそれ以上のものを見せてもらいました。
ベストバウトは、ミルコvsノゲイラ。吉田vsシウバも匹敵していましたが、さすがにこれにはかすみました。とても漫画的。意図しない風車の理論とでもいいましょうか、御互いが10vs10の力で戦って、結果としてごくごく僅かだけ上回った、それでいて勝敗が右へ左へドンドンうごく素晴らしい内容。これはプロレスファンにも見ていただきたい。いまの時代に生きている格闘技ファンにしか分からない面白さがあります。オンタイムの面白さを感じてください!
しかしプロレスも負けてはいられません。プロレスも凄さをみせてくれ。PRIDEに負けてなるものかと、底力を見せて欲しい!
あとは、年末のPRIDE SPECIALには桜庭vsヒクソンぐらいやってほしいなあ、なんて(笑)。
それでは、時期が少し遅れましたがPRIDE GP2003観戦記です。
ぜひ、総合格闘技を見ない人にも見ていただきたい。それだけの面白さがある大会でした。興味を持っていただければ、幸いです。
最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。

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