祖父の名前は千代英衛門で、その関係についてお話しします。
今までは母方のお話重視でしたが、実は今暮らしている家にも父のお父さん
いわば私のもう一人の祖父がいます。
その名は「ちーちゃん」
千代英衛門というへんてこな名前で呼びにくかったので私だけ
「ちーちゃん」と呼んでいます。
「ちーちゃん」は戦争で大尉と言う勲章をもらっていて近所では大尉様と
おじいさん、おばあさんがま~したっていた。
老人会長もやっていて三味線・ビワを引くのがとても上手。民謡も習っていたせいかお歌も上手だった。三度の飯より花札が好きでよく近所のおじいさんたちを集めて小銭が畳の上に散乱していた。
私は母方の人達も好きだったけど、いつも聞かれることが尋問みたいで
そんなところは嫌いだった。「ちーちゃん」はたわいないことをあっさり聞く人で何かわるいことすると「なでー」
「おかあちゃんにお目玉くらうぞ」と言ってくれた。
いつも暖かいと感じていた。
私の誕生日が彼岸の入りだったので誕生日はいつも「おはぎ」に
ろうそくを立てて祝うのが常識だったが、妹10月、弟7月の時はちゃんと白いケーキにいちごが乗っていてろうそくが立っていた。
母の機嫌がよいときに私もあんな風にしたいと言ったら断れた。
作業場で勤めてる工員さんたちに駄々こねていた言葉を
「ちーちゃん」はこっそり聞いていた。
誕生日当日、母が当たり前のようにおはぎを並べたら
「ちーちゃん」がやってきて
白い真四角の箱をお膳の上に置き
「今日はパチンコがたくさんでたのでケーキもらってきたぞ」と言った
え!?パチンコ屋ってケーキくれるんだとびっくりした。
母が「お義父さん困りますよ」と一言
ピンクのリボンを紐解いて箱を開けた母が
私を呼んで
「見てごらんなさいよ」と言った。
丸い白いケーキの上にぐるっとイチゴが並んでいて真ん中に
「ここちゃんお誕生日おめでとう」とチョコレートで書いてあった
自分の名前がケーキに書いてあるのを生まれて初めて見た。
うれしくて3階にいる「ちーちゃん」にお礼に言ったら
「え!そんなこと書いてあったのか?最近のパチンコ屋も粋だね」と言われた。
久しぶりに父・母・ちーちゃん・弟・妹・私の6人揃って
食卓を囲み、最後に念願のケーキが登場
みんなでお誕生日の歌をちーちゃんの三味線の演奏とともに
唄ってくれてローソクに灯った火を消す
あ~。7歳の時危なく命を何回もたつところだったけど
今日の8歳の誕生日は一生忘れないだろう
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