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ゆうちゃんとハッピーの10の物語(5)🐶❤️醤油を運んだハッピー

ハッピーを預かってから数か月が過ぎ、彼の賢さに家族は度々驚かされていました。まだ信じられないような出来事が、ある晩、ふとした瞬間に起きました。

その日の夕方、ゆうちゃんのお母さんが台所で夕食を準備していると、突然気づいたのです。「あれ、醤油がない!」冷蔵庫を開け、棚を見ても、いつもあるはずの醤油瓶が見当たりません。お母さんは困り果て、どうしようかと手を止めてしまいました。

その時、ハッピーが尻尾を振って近くでじっと見つめていたのです。何気なく、「そうだ、お願いしてみようかな」と思ったお母さんは冗談半分で言いました。「ねぇ、ハッピー。嘉山さんのところで醤油を買ってきてくれない?」

ハッピーは不思議そうにお母さんの顔を見つめていましたが、すぐにお母さんはメモ用紙に「しょうゆ」と書き、それをかごに入れてハッピーの前に差し出しました。お母さんは本当にそれができるとは思っていなかったのです。

「ワン!」と、ハッピーが大きな声で吠えたかと思うと、なんと買い物かごをくわえ、そのまま家の外へと駆け出して行ったのです。お母さんはその瞬間、呆然と立ち尽くし、信じられない思いでただ見守ることしかできませんでした。

「まさか…」と苦笑しながら、お母さんは近所の万事屋、嘉山さんに電話をかけました。事情を説明し、「もし見かけたら声をかけてください」とお願いしたのです。

数十分後、お母さんが油揚げを揚げていたその時、玄関から聞き慣れた足音が響いてきました。振り返ると、そこに誇らしげな顔をしたハッピーが、なんと買い物かごをくわえて戻ってきたのです。

「本当に…?」お母さんは思わず呟き、恐る恐るそのかごを覗き込みました。そこには、間違いなく醤油の瓶がしっかりと入っていました。それだけではありません。かごの中には嘉山さんからのメモも添えられていたのです。「ハッピーがかごをくわえてお店に来ました。しっかりと持って帰る姿に感動しました!代金は月末で結構です。」

その文字を見たお母さんは、驚きと感動で胸がいっぱいになりました。目の前にいるハッピーがまるで自分の家族の一員のように感じられた瞬間でした。言葉にならない思いで、何度も何度もハッピーの頭を撫でながら、心から感謝の気持ちを伝えました。

「本当にすごいわね、ハッピー。ありがとう。」

その日から、ハッピーはもはや「預かりもの」ではなく、家族の一員として確かな存在となりました。彼の賢さと優しさが、家族に与えてくれた特別な力は、言葉では表しきれないほどのものがありました。お母さんはもちろん、ゆうちゃんや家族全員が、ハッピーを深く愛し、誇りに思うようになったのです。

ゆうちゃんもその姿を見て、嬉しそうに笑いながら言いました。

「ハッピー、すごいね!もう私たちの家族だよね!」

その言葉に、ハッピーは満足げに尻尾を振り、まるで「うん、もちろんだよ」とでも言いたげに見つめ返してきました。ハッピーとの時間は、家族にとってかけがえのない宝物となり、どんなに時が経っても、その温かさは家族の中でずっと輝き続けるのでしょう。

しかし、ゆうちゃんの胸には少しのせつなさもあった。ハッピーが去ってしまう日がいつか来ることを感じていたからだ。でも、その思い出がどんな時も心の支えとなり、彼が教えてくれた愛情と絆は、これからもずっと家族の中に生き続けると信じていた。

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さかあがり😸
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