sacaikumi

2020年よりロンドン在住 / ヨーロッパの美術展紹介・海外移住で得た経験・読書記録・日々のエッセイを書き留めています。 普段はグラフィックデザイナーです。

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2020年よりロンドン在住 / ヨーロッパの美術展紹介・海外移住で得た経験・読書記録・日々のエッセイを書き留めています。 普段はグラフィックデザイナーです。

マガジン

  • 読書日記

    2022年7月からの毎月の読書記録をまとめています。 ここで紹介する本はデザイン/クリティカルシンキング/小説がメインです。

  • Essay: 考える

    日常の中で無意識のうちに根付いている文化や思想を通した価値観を見つめ直す場所。

  • 3分ミュージアム

    美術館・ギャラリーを巡るのが趣味の私が、出会ったアートを紹介するマガジンです。私自身もアートについて勉強しながら、アートって面白いな、難しく考えなくていいんだなって思ってもらえるような記事を目指して書いています。

  • 海外移住日記

    2020年からスタートしたイギリスでの暮らし・経験を綴っています。

最近の記事

  • 固定された記事

イギリス5年目・大学院が終わった景色とこれから

久しぶりに重い腰を上げて記事を書いています。タイトルにもある通り、2年間のコースを経て、大学院を卒業しました。 この記事からもう2年。あっという間です。 私が通っていたのは、ロンドン芸術大学、セントラルセントマーチン校のグラフィックコミュニケーションデザインのMAコースでした。クリティカルデザインに関してかなり厳格(rigorous)に取り組む環境でした。 この2年間はほとんど休みのない、長いマラソンのような学びの経験でした。(春休みなどの長期休み以外は、文字通り仕事と

    • 読書記録(2023/8)

      未だに現在と1年以上のギャップがありますが、ここ数年ずっとInstagramでつけてきた読書ログの過去のものを少しずつNoteにもアップしていきます。 ●夜のくもざる―村上朝日堂短篇小説 村上 春樹(著)×安西 水丸(絵) 先月に引き続き夏休み期間中の癒され短編小説タイムに選書。例によってさらっと、でもってくすくすと読める作品軍でした。村上春樹の作品が好きで、かつまだこのあたりを読んでいない人には「ぜひ久々の読書にどう?」っておすすめしたいけど、彼の本は好き嫌いが思いっき

      • 心の深海ダイブ

        最近、毎週のように自分がやりたいことが何かがわかる解像度が上がり、考えれば考えるほど・調べれば調べるほど、景色が広がっていくのが楽しい。自分がこのポイントまで辿り着けるまで凄く長い道のりだったので(約12年)、やっと、ついに。そんな気持ちです。 今のデザインの仕事を始めて12年目になるのですが、この仕事がずっと好きだったし、今も好きだし、側から見たら私は「ずっとやりたいことをやってきている人」に見えていたと思う。 だけど、私が頑張ってこれた理由は、前半の6年くらいは美術大

        • 読書記録(2023/7)

          ●何もしない ジェニー・オデル (著), Jenny Odell (著), 竹内要江 (翻訳) noteでフォローしている方がおすすめているのを気になって読みました。カリフォルニア在住のアーティストが書いた、私たちが守るべき「注意力」についての話。SNSが発展して私たちはテックカンパニーに束の間の注意力を取り合いされるようになってしまい、その結果もとある思考力が大きく奪われていると彼女はいいます。現代に完全に背を向けることなく、自分で自分の注意力、思考力を守るためにどう意志

        • 固定された記事

        イギリス5年目・大学院が終わった景色とこれから

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        • 読書日記
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        記事

          美術展:Music of the Mind by オノ・ヨーコ @Tate Modern

          夏休みでジョージア旅行にをした兼ね合いで、しばらく投稿があいてしまいましたが、少しずつもとの生活リズムに戻りつつあるので投稿を再開します。 「3分ミュージアム」と題して私が世界の美術展に行った感想をシェアする記事・4回目は前回と同じくロンドンにある美術館、テート・モダンで開催されたオノ・ヨーコさんの個展です。 2024年の3月に観に行って、9月1日に終わってしまったので少し前の記録となりますが、記憶を掘り起こして紹介させていただきます。 オノ・ヨーコと聞いて、人々が真っ

          美術展:Music of the Mind by オノ・ヨーコ @Tate Modern

          読書記録(2023/6)

          ●TIMELESS 石岡瑛子とその時代 (著) 河尻 亨一 2020年に東京都現代美術館で開催された石岡瑛子さんの個展「血が、汗が、涙がデザインできるか」に衝撃を受けて本を購入したものの読む勇気が持てず…(自分が自信を失いすぎる事を懸念した)やっと本に向き合える心が整ったので読みました。パワフルなエネルギーに溢れて尊敬しかない分、どうしてもいまの自分と比較してしまう。石岡瑛子さんは圧倒的レジェンド。でも、たまたまそんな人と同じ仕事を選んだ自分に出来ることは、自分の色で心の

          読書記録(2023/6)

          心の星空から北極星を探す

          「やりたい事」を選ぶこと、 選んだやりたい事が本当に自分に向いているのか見極めること、 努力し続けること。 結果が出る前の粛々と自分自身を信じ続けるだけの時間は、ランニングマシンの上を淡々と走るよりずっと難しい。 その長いか短いかもわからない道のりの渦中で、 ほんの少し分かりやすく 成功のカタチをした果実が落ちていると つい拾いたくなる。 それは自分の思い描いてた理想通りではないけど でも、及第点は満たしているように感じさせてくれる。ひとまずの自尊心とか、ひとまずの他者

          心の星空から北極星を探す

          トルコを経由してジョージア🇬🇪へ。 ロンドンからLCCで合計6時間のフライトは長いねzzz

          トルコを経由してジョージア🇬🇪へ。 ロンドンからLCCで合計6時間のフライトは長いねzzz

          読書記録(2023/5)

          ●Flexible Design Systems (著) Martin Lorenz Visual systemという言葉に出会ったのが数ヶ月前で、その時はへ〜くらいにしか思わなかったんだけど、今やっているリサーチとの相性が良いことに気がついて勉強し始めたらすっごく楽しいフィールドだった。というか、この本が素晴らしいです。PhDの方が書いた本だそうで、内容も、印刷も、本のデザインも、何から何までパッションを感じる。まだまだ初心者なので、これからいろんなシステム設計を試してみ

          読書記録(2023/5)

          Not 頑張る But 夢中になる

          最近、生活の全てにおいて、頑張ろうっていうマインドではなく、夢中になる感覚でどうやって行動する量を増やしていけるか探っている。 二年間大学院の生活の中でずっと頑張り続けてきて、一時的にすごく頑張る時間は必要だとひしひし感じたものの、朝から晩まで狂気じみた具合に作り続けていたので(最後の方は1日15時間稼働してた)、相当疲れ切っていたし、体調も食生活もぐちゃぐちゃになってしまった。 その生活を終えてからこの2ヶ月、とりあえず運動量をもとに戻して体力をつけて、食生活を改善しな

          Not 頑張る But 夢中になる

          読書記録(2023/4)

          ●VISUALIZE 60 (著) 日本デザインセンター編 日本デザインセンターの過去の制作案件がまとまっている本。 また新たにポートフォリオを作ろうと思い、参考に読みました。わくわくするまとめ方と、アウトプットの幅広さが素晴らしい。 デザイナーになってから、原研哉さんの本は何度も何度も読んで、自分がデザイナーとして成長するたびに受け取れる情報の精度が上がっていくことを感じている。そして彼は日本人でよかったとも思わせてくれる人で、私も自分の人生の中で最終的には自分が制作した

          読書記録(2023/4)

          読書記録(2023/2)

          ●聖なるズー (著) 濱野 ちひろ 日本の友人たちと開催しているデザイン思考ゼミで動物たちの権利についてディスカッションを行った際に、イラストレーターのさきちゃんがおすすめしてくれた本を読みました。動物と人間の性愛に関する本として何人かからおすすめされたことがあったんだけど内容からして読む勇気がずっと沸かなくて…ただ、今回向き合ってみて、私がこれまで一緒に過ごしてきた犬たちを「家族」と思う気持ちの延長線上の話だと理解することが出来て、そして彼らと言葉以上にコミュニケーション

          読書記録(2023/2)

          美術展:SOLID LIGHT by アンソニー・マッコール @Tate Modern

          「3分ミュージアム」と題して、世界中のアートをアートはビギナーな私の目線で紹介していくシリーズ3回目の記事です。すべての記事はInstagram上で英語で公開していて、メインでは英語でのライティング力をアップする目的で書いています。 今回も前回と同じ美術館「Tate Modern」で今やっている展示のご紹介です。ちなみにTate Modernはもともと発電所だった建物を改装して作られています。2000年にヘルツォーク&ド・ムーロン建築事務所によってデザインされたのだとか。外

          美術展:SOLID LIGHT by アンソニー・マッコール @Tate Modern

          読書記録(2023/1)

          ●ランゲルハンス島の午後 (著) 村上春樹 冬休みを越えてロンドンに戻ってきて、まだ本調子にもとの生活には戻れていなかった頃にセラピー的に読んだ本。とっても軽いので何時間かでカフェでさらっと読めてしまいます。村上春樹のエッセイは特にラジオシリーズが最高に好きで、ことばの柔らかい使い方の参考にしています。こういうのを読むと、どれだけ英語の学習が大変でも日本語が母語でよかったな〜と幸せな気持ちになれる。 ●おつかれ、今日の私 (著) ジェーン・スー 20代の頃(相談は踊る)

          読書記録(2023/1)

          「何目指してるの?」の呪い

          今やもう4年半ロンドンに住んでいて、あまり日本に住んでいた時のことを鮮明には思い出さなくなってきているけれど、いまだに思い出すと苦い気持ちになる言葉がある。 それが、タイトルにもある「何目指してるの?」です。 20代の頃、私は新卒採用で大手企業に就職する、という手段を取らなかった。(本当に、一社にも出していないし就活系のイベントも行ったことがないしリクルートスーツすら持ってませんでした) それは自分にとってはすごく自然な選択肢でした。 なぜなら、もし自分がうまいこと大

          「何目指してるの?」の呪い

          美術展:Expressionism(表現主義)@Tate Modern

          2回目となる今回は、7月3日に大学の友人と訪れた展示「Expressionism」の作品の一部をご紹介します。 そもそも表現主義っていつの時代だっけ?というところから調べ直すくらいしか美術史が頭に入っていない私。ゼロアートさんの記事によると、20世紀初頭にドイツで始まったそうで、これまでは目に見えるものを描くことが主流だったところから、感情・音・目以外から得られる感覚を視覚表現していこう!というふうに目指していった時代のことを指すのだとか。 展示会場では、人間だけど色あい

          美術展:Expressionism(表現主義)@Tate Modern