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フロンターレU18の躍動に関する考察

■序論


今季フロンターレU18の躍動には何か要因あるだろうと仮説を立ててみた。泰斗、三好、板倉、三笘、碧などA代表に名を連ねる面々を擁してもなお辿り着かなかった関東プリンス3位までに与えられるプレミア参入戦出場を昨季関東プリンス優勝でさっくり壁を超え(過去最高プリンス4位のため未出場)、さらにプレミア参入戦という非常に高い壁も初出場にして勝ち切りプレミア参入を獲得。プレミア初昇格の今季は12節まで無敗の首位で東西プレミアで最高勝点である。
  では何が変わったのか?は『セレクションでの対近隣クラブユース競争力が上がったのではないか?』という仮説である。


■本論


   『セレクションでの対近隣クラブユース競争力が上がったのではないか?』は所属選手の川崎市民率から見えてくるのではないか?という視点でデータが残る2011以降173人を検証した。
川崎市民中心の構成から川崎市ではない自治体からのユース所属選手が増えたのではないか。今までなら他クラブユースや街クラブに通ってたタレントが遠方からフロンターレに入りたくてセレクションを突破してるのではないのか。U18の川崎市民率の変遷から今季の躍動に繋がるものがあると睨んでである。
   ユースの歴史は1998にU18、1999にU15、2006にU12を創設。フロンターレHPよりデータが残っている2009からの173人の出身地を調べてみた。なお生誕地だけだと海外がいたりするので通っていた小学校(2022はデータないのでスクール地)を住居地の基準とした。

①川崎市内出身地率(チーム所属人数比率)


2009   7名 / 13名  54%
2010   2名 / 11名  18% 
2011   5名 / 15名  33% (泰斗世代)
2012   7名 / 10名  70% (三好板倉世代)
2013   6名 / 14名  43% (三笘世代)
2014   4名 / 10名  40% (碧世代)
2015   2名 / 12名  17% (早坂世代)
2016   6名 / 10名  60% (大聖・山田世代)
2017   6名 / 13名  46% (天世代)
2018   7名 / 9名    78%
2019   7名 / 13名  54% (太陽世代)
2020   7名 / 15名  47% (現3年高井・大関・松長根)
2021   3名 / 15名  20% (現2年)
2022   4名 / 13名  31% (現1年)
※世代は1年生時

今季のレギュラー陣は2年が多く川崎市民率20%と低いが、過去にも泰斗や早坂くんの世代も低い。どうやら関係はなさそう。ということで川崎市と隣接する12自治体(目黒区・世田谷区・大田区・調布市・町田市・狛江市・多摩市・稲城市・横浜市鶴見区・港北区・都筑区・青葉区)も通える範囲内として、そこより遠いところから練習に通ってる比率も調べることとした。

②川崎市及び隣接自治体出身地率(チーム所属人数比率)


2009   7名 + 2名/ 13名   69%
2010   2名 + 3名 / 11名  45% 
2011   5名 + 2名 / 15名  47% 
2012   7名 + 1名 / 10名  80% 
2013   6名 + 2名 / 14名  57%
2014   4名 + 1名 / 10名  50% 
2015   2名 + 8名 / 12名  83% 
2016   6名 + 2名 / 10名  80% 
2017   6名 + 4名 / 13名  77% 
2018   7名 +1名  / 9名    89%
2019   7名 + 3名 / 13名  77% 
2020   7名 + 4名 / 15名  73%  (現3年)
2021   3名 + 5名 / 15名  53%  (現2年)
2022   4名 + 3名 / 13名  54%  (現1年)

レギュラーが多い現2年の約半分が川崎市および隣接自治体ではないけど過去にも50%程度な世代はあるので関係なさそう。


■結論

『セレクションでの対近隣クラブユース競争力が上がったのではないか?』という仮説において、川崎市民及び隣接自治体選手構成比率低下、遠方からの選手比増加が今季のフロンターレU18躍進の要因ではないかというアプローチは関連性を見出だせなかった。単純に選手の『質』が上がったことによるもの、今の選手たちをU15から5年続けて見ている長橋監督の指導が熟成されてきたなど別の要因があるものと思われる。『質』に関してはセレクションの倍率や応募してくる選手のレベルは外からでは測れないので番記者さんやサッカー専門誌、ユースに強いライターさんに深堀りを期待するものとする。〈了〉

■追記

  書き上げて寝かしているうちに江藤さんが浦議に出て (UGのユース評が面白いからみんな見て)、40分くらいからユースについて語っているところにほぼ答えがあった。『かつては狙った選手が2~3割しか取れなかったが今は7~8割、ほぼほぼ取れる』らしい。そりゃあ良い選手が集まる。他クラブユースに行ってたタレントをフロンターレユースに来るようになってるんだ。ただ基本的には『川崎市民』へのオファーのようで、ホームタウンの川崎市以外に在住の選手へはオファーしてないみたい。となると約半分を占める圏外選手の『質』が上がった要因としてはトップの初タイトルが6年前にあったからかもしれない。シルバーコレクターから初戴冠のインパクトは強かったであろう。今の2年が17歳として6年前は11歳の小学5年生。U12・U10に在籍してなくてもU15へのセレクションを受ける動機は強くなっていそう。あと選手の来歴をみるとU12では街クラブ在籍してるけど同時にフロンターレU15合流を前提としたフロンターレエリートクラス出身も多い。ここが機能している要因もありそう。複数パラメータがあり何かが決め手というよりはポジティブな要因が複合した結果上手く結果が出ている様子。地道に積み上げた成果です。フロンタウン生田も出来るし良いサイクルを続くことを期待しましょう。


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