あの世で使う資産とは
「今回はお金に関する三巡目やった」
『お金、豊かさのことなんだけど』
「今の世は、お金が象徴やから」
『たーしかに確かに。縛られるね』
「わたしら、そのままで豊かや」
『生まれる時に忘れたわけよ』
「思い出したなら救われるんか」
『オレはマジ、希望が湧いたもん』
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こんにちは!
フジミドリです☆
日曜午後3時の私物語、今回はお金に関する幽界見聞録の最終話でございます。
お楽しみ頂けましたでしょうか。
ではいつものように、イラストの朔川揺さんと創作談話お届け致します。
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「自分に起こる全て、過去世の理解が顕われとる。この世は確認するための映像か」
『もう済んでしまった世界だからさ。変えられないんだよ。明らめることだね』
「理解は決まっとらん。何をどう理解するかで次の人生が決まる……知らんかったわ」
『オレもさ。道術と出会うまですっかり忘れてたもん。思い出せてスッキリしたよ』
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時には、お金のことで悩み苦しむあまり、世を儚んでしまうことさえあった私です。
けれど、決まっているからこのままでよい、理解すれば次の人生を自由に創れる、そう知ることで目の前が拓けました。
頭では納得いかない。でも、霊魂が承知している。ならば、このまま受け入れよう。
覚悟できたのです。
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「覚悟か。明らめたんやね」
『そう。諦めとは違うの』
「苦悩のあり方も変わるやろ」
『映画に熱中する感じかな』
「ラストまで決まっとるもんな、映画は」
『どんな物語でも次に活かせるからね』
「対岸の火事的に俯瞰したらええんやな」
『安心して悩んで苦しめるというか』
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かつての私は、次々と目の前に展開する現象で翻弄され、悩み苦しんだものです。
しかし──
言葉が浮かびます。
決まってる
変えられない
このままでよい
その瞬間、スッと落ち着きました。想念の靄は消え、理解の光で心が晴れたのです。
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「決まっとる……若い頃やったら絶望したで」
『ああ。努力したってムダなんだとかね』
「けど次の人生は自由自在や、そう思たら」
『うんうん。マジ希望が湧いてきたのよ』
「つい目の前の現象に入り込んでまう」
『いやホントよくできたVRだもん』
「これは映像や言われてもなぁ」
『ちょっと信じ難いほどに精巧だよ』
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〈この世にある資産はあの世で枷となる〉
スッと出た文章です。浮かんだ瞬間、成程なと腑に落ちました。納得できるのです。
生まれた時は何もございません。同じように何もかも捨てて次へ参ります。
物はもちろん、地位や名誉や人間関係、知識と経験、そして思い出さえも。
死後の世界で軛となるのです。
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「今やたら資産運用いうとるけど、沢山あればどうしたって縛られるもんや」
『憶り人なんて流行語もあって、資産はできるだけ多く欲しい、が本音だろうね』
「せやけど、幽界へ逝ったら邪魔か……わかるようなわからんような。どういうことや」
『頼ってるじゃない。依存してるというか。幽界じゃ使えないからさ。理解以外は』
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夜眠る前、ゼロになります。
その日起こった出来事は、お風呂に入ったらシャワーのお湯で流してしまうのです。
─今から死にます─
道術家の合言葉でしょうか。
師匠は中学に入った頃から毎晩、このようにおっしゃって眠りに就いたそうです。
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「さすがフジさんのお師匠はんや」
『あはは~ちょっとビビるよね』
「ぶっ飛んでるんやないの!」
『死ぬ準備というか死の稽古だな』
「ほんまは起きてる間も、ずっとその心境でおれたらええのやろうけど」
『あはは~そうなればもう、人生の達人だろうね。道術家の鑑と言っていいな』
「フジさん、まだでけへんのや」
『オレ、黒帯の一番下っ端だから』
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今回は公開ギリギリ直前まで、なかなか纏まりません。本当に苦しみました。
苦悩について書いたからでしょうか。その波動に取り込まれたかのようです。
イラストに繋がらない。何が悪いのだろう。わからない。なんだかモヤモヤする。
今シーズンのモデルにしたリスペクト作品とも重ならない。どうしたらいい──
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「初稿を読ませてもろた時は、まずまずや言うたけど……また直したんやな」
『夜中の3時に目が覚めて、幽界で学んだ事を思い出せないの。お蔭で寝不足だよ』
「連載も大変やなぁ~日付と時間まで決めたら、どうしても縛られるわ。苦悩やで」
『たーしかに確かに。なんでオレはこんなことやってんだ、つくづくしみじみ思った』
「難儀やで。すまんな。助けにならんと」
『とんでもない。イラストで救われてるよ』
「ほんまか。せやったら、嬉しいことや」
『これもまぁ、決めてきたんだけどね』
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お読み頂きありがとうございます!
次回の私物語は11月26日午後3時です。いよいよ完結前となりました。
こちら創作談話が木曜朝8時公開です。
是非いらして下さい☆