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意識低い系採用広報が生きのびるために「やらない」と決めたこと4つ
こんにちは。リクルーティング・パートナーズのおおた(@kekobus1989)です。
普段は福岡本社にて、ぼっち&兼務人事(という名のなんでも屋)をしています。
はじめに:「採用広報」という仕事は、人事にとってまるで沼
先日、福岡で人材系大手→人事キャリアを渡り歩く友達と久しぶりに再会しました。最近、福岡ではけっこう有名なスタートアップ企業に転職した彼。
あいさつもそこそこに、開口一番に聞かれたことが
「おたさんWantedlyとかやってるけど、採用広報ってどうするの!?」
でした。
というのも、スタートアップで2人目人事として入社したものの、「いったん採用ニーズはないから、来たるべき時に備えて採用広報頑張ってこうぜ」と役員から宣告されたのだとか。
採用ブログを書いたこともない、インタビューしたこともない、メディア運営なんてもちろん未経験。なにかを書いたことなんて、大学時代にやっていたmixiブログくらい。なにから始めたらいいのか全くわからない! とのこと。
そうだよなあ…と思うんです。
いわゆる人事畑のキャリアを重ねている人って、けっこう「裏方肌」の方が多い気がします。
人事って組織を内側から支える屋台骨のような仕事。採用担当ですら、表に出るタイミングは面接面談や説明会、インターンといった採用実務のときくらいで、あとは粛々と戦略を練ったり企画を考えたりスカウトを打ったり・・
自社の魅力を伝える求人メディアの原稿制作やwebサイトのきらびやかなコピー文は、外部ライターさんに投げているところも多いですしね。
私はたまたま求人原稿制作業務を兼務していることもあってまだ慣れているほうなのですが、それでも、ものを書くことについてはかなり億劫。できれば隅の方でじっとしていたい…。
今日はそんな「意識低い系採用広報」が採用戦国時代をヌルリと生きのびていくために、あえて「やらない」と決めたことについて書きます。
(参考までに)リクパーとおおたの基本情報
・社員数約70名、総数約100名弱
・13期目の福岡人材ベンチャー
・ローカルの採用難に危機感
・一人&兼務人事(ベンチャーあるある)
・求人原稿制作経験有(3年)
・前職は書籍の編集・企画
1.PV数を指標におかない
「採用広報」って罪な言葉だと思うんです。
広報と括られてしまっているがために、「広まる」ことや「読まれる」ことが大事だと思いこんでしまう。
たしかにwebマーケやSEOライティングの世界では、当たり前ですが表示回数や閲覧回数が超重要。CV(採用でいうと"応募"かな?)に直結するからです。何も知らないのんきな上司だと、ともするとブログを始めるにあたって「KPIはやっぱりPV数とCVRでしょ」とか言い出しかねません。
ただ、そこに一喜一憂するのって正直しんどい。
企業として知名度があるわけでもありませんし…
奇を衒ったことに挑めるエンターテイナーでもありませんし…
とか悶々としているうちに、筆から遠ざかってしまいます。
たくさん読まれる≠"いい応募"が増える
それに採用広報の場合「多くの人に読まれること」と「いい人」が応募してくれることとのあいだには意外と距離があります。
とくに地方の中小企業の場合、めちゃくちゃスペック高い企業でもない限り、そう簡単に応募が増えるわけない。
もちろん、「認知拡大」に採用課題がある企業さんだと話は別です。だけど2019年時点で、リクパーは認知よりも「他社と比較したときに選ばれないこと(=応募率)」に課題がありました。
だから自社の採用広報やオウンドメディアリクルーティングにおいては、PV数(閲覧数)よりも、「採用ターゲットが知りたそうなことを気負わず書く」ということをまずは大事にしようと決めました。
今は「月に4つ、何かしら書く」ことをざっくりと指標にしています。
2.見た目を気にしない
リクパーの場合、採用広報ブログは暫定的にWantedlyを活用させていただいています。
Wantedlyって、開封率を左右する要因の9割以上が「アイキャッチ(トップ画像)とタイトル」なのだとか。
たしかにWantedlyの記事一覧をスクロールすると、出るわ出るわ、社名ロゴの前でほほ笑む社員、にこやかな職場風景、スタイリッシュなフォント…
素材もいいですし、シュッとしてる。画像加工とかうまい人はこれを自前(チーム)でなさっているんだと思います。
ですが、おおたは画像加工もコピーライティングもイマイチうまくできません。センスも知識も技量もない。
無い袖は振れぬ。あきらめも肝心。
そうは言っても、自分が書かなきゃはじまらない。
社内からひんしゅく買うかも…
逆に応募数減ったりしたらどうしよう…
とか悶々としているうちに、また筆から遠ざかっ(以下略)
もっと勉強したいなという思いはやまやまですが、今はむしろDIY感を押していく方向で開き直っています。社内の人に関しては、「同情するなら金かイラレデータをくれ」って言ってます(言ってない)。
3.一発逆転を狙わない
前述の1に近いんですが、ひらたく言うと「バズ」的なものを狙わないこと。
特に中小企業におけるwebサイトやブログでの採用広報って、「マッチングの質向上」と「選考中の相互理解」って目的に絞ったほうがいいんじゃないかな~と個人的には思っています。そもそも記事が一発当たったからといって企業認知そのものが上がるわけではないですし、企業認知が上がったからと言って「自社にとっていい応募」が入るわけないですし。
母集団形成(認知UP)については、たとえば
・求人広告やIndeedなどの検索エンジン
・集客イベント
・インターンや説明会
といった既存のリアル/webの各接点を改善することで対処する。あれもこれも新しくしていく必要はないわけです。
費用対効果はもちろん見直しつつも、長いものにはうまいこと巻かれていきましょう。
4.一人で抱え込まない
これが一番、採用広報担当者にとっては心強いです。
とくに中小企業の人事・採用ご担当者様って、ぼっちだったり、兼務だったり、なにかと仕事を抱え込みがちですよね…。
「スクラム採用」とか「全員採用」とかって最近よく言われてますけれども、社内協力を得るのって言うほど簡単ではありません。かといって、慣れてもいない広報の仕事をいきなり一人でやるのは、無理です。断言します。無理無理無理。
じわじわと「味方」を増やせるかどうかが、継続のカギをにぎっています!
・一緒に制作を続けてくれるやさしい社内の人
・「読んだよーウケルねw」と言ってくれるやさしい読者
・「記事楽しみにしてます」と言ってくれるやさしいファン
・いいねやリツイートしてくれるやさしい友達
これくらいちやほやしてくれる味方に囲まれていないと、意識低い系は駆動できません。
味方になってもらうには
ちなみにおおたは昨年3月から採用広報に首を突っ込みはじめてから、こんな感じで協力してくれる方を少しずつ増やしていきました。
●まずは社内向けにslackで「週1回採用広報」を連載
●社内でちょっとうずうずしてるメンバーには個別に予告声かけ
●Wantedlyの記事リンクを親や友人に送りつける
●無理しない程度のSNS運用(Twitter)
●学生インターン生に体験と学びを書いてもらう
slackで連載しているのはこんな感じ。
あえて言おう。スタンプの亡者であると。
また、現在Wantedlyブログは学生インターン生に書いていただいています。彼らがほんとうに素晴らしい。ジーザス。
結論:採用広報は「ごきげん」に続けた方が勝ち
採用活動(求職者にとっては転職や就活)って、既存の枠組みではたしかにあまりに情報が少なすぎました。求人広告偏重の時代から、デジタルマーケティングやコンテンツマーケティングへの移行は必然。
一方で、人手不足で手が回っていない企業さまや、デジマやコンテンツマーケについての知見が社内に蓄積しているわけではない企業さまにとってはハードルが高く感じてしまうもの。自分もそうです。
だからこそ、少しでもハードルが低くなるように、一緒にこの手のかかる愛おしい仕事をがんばり抜いていけるように、そして貴社にとっての「いい人」とのいい出会いが少しでも増えるように、と願って書いてみました。
たぶん大事なのは、人事・採用担当者である皆さまがなにより「ごきげん」に続けられることだと思っています。
ごきげんであるために、やらないでいいことは、やらない。そのしたたかな戦略を描く助けになれば幸いです。
ぬるぬると躱しすぎて、いつのまにか死なないように(笑)
それでは、またどこかで~。