映画のトラウマ 『新サイコ』
※ 記事の中に ネタをバラしている箇所があるので 『新サイコ』を観る予定の方は 観てから読んで下さい
5月になって 駅で電車を待っていると 駅の連絡通路の裏側に ツバメが巣をせっせと作っていた ホームからそれが見える
ふと気付いたが 鳩が 肩身狭そうに 端のぼうでクッククックと所在なさげに鳴いているのだ
ヒッチコックに『鳥』という ホラー映画の傑作がある
なぜか鳥が人間を襲いはじめる という映画だ
実際に カラスが人を襲ったりするので それを体験した人なんかだと かなり恐ろしいと思う
しかし 鳥に襲われる という体験をすることは 滅多にあるものではない
ヒッチコック映画のパロディーで 『新サイコ』と言うのがある
喜劇映画の巨匠 メル・ブルックスの作品だ
メル・ブルックスのコメディーを チャップリンのコメディーと比べるなら 半世紀も昔になるが 当時 関西文化圏で生きてきた 少年時代のわたしの感覚だと 吉本新喜劇と松竹新喜劇の違い に近い
チャップリンが 作品をほぼひとりで仕切り ギャグをちりばめながらも人情喜劇に着地する 藤山寛美の松竹新喜劇であれば メル・ブルックスが 下ネタ上等 下品上等でギャグを連発する 吉本新喜劇である
そんなわけで 『新サイコ』でも 鼻で嗤えるようなベタなギャグを連発してくれるメル・ブルックスだが こんなシチュエーションがある
公園に男(メル・ブルックス)がいる
少し離れた場所に ジャングル・ジムがある
鳩が数羽 とまっている
いったん男が視線を別のところに移す
再びジャングル・ジムに目を向けると 鳩が増えている
ジャングル・ジムを見直すたびに 鳩が増えていき やがてジャングル・ジムが鳩だらけになる
メル・ブルックスが 恐怖を覚え 逃げようとするところに 鳩が一斉に飛び立ち 襲いかかってくる
逃げるメル・ブルックスに 次々とフンを投下する鳩
フンまみれになったメル・ブルックスは ヒッチコックがよくやるポーズをキメる
このプロットって 笑えるだろうか?
(具体的にいうと町田の小田急横の路地) を歩いていると 鳩のフンが大量に落ちている場所がある
ふと上を見上げると 電線に鳩が 列を成している
わたしは戦慄する
これって 『新サイコ』じゃん