水民マガジン 水泳 クイック・ターン (クロール) 技術篇

車のシートベルトがいかに大事か をアピールする映像を 見たことがある人は多いと思う
助手席にダミーを乗せて 車を壁に突っ込ませる
シートベルトをしていないダミーは 車が衝突した瞬間 前に吹っ飛び フロントガラスを突き破ってしまう
 
これが クイック・ターンの要諦である
クイック・ターンというと 壁前でいかにして前転するか に意識が向かってしまう
壁の前で回転しながら 足を水の上で壁に向かって運んで・・・

しかし 上体を小さく巻きこむ事で壁に突っ込んでいくモーメントに急ブレーキをかけ 足を壁に吹っ飛ばす事ができれば ここに回るためのエネルギーは ほとんど投下する必要がない
つまり ターンの度に休める案件となるのである
さらに 短距離のレースの場合は そこに加速すれば良いのである

さて クイックターンを解説すると
壁の前でまっすぐに前転するが この場合 回転の軸は 横軸である 
壁を蹴る瞬間は 上体を横に向け 壁を蹴りながら身体をひねり 姿勢を下向きに変えていく
おそらく ロサンゼルス・オリンピック(1984年)の覇者 ローディ・ゲインズ以来の クイック・ターンの発想は こんな感じだと思う 

違う発想も 紹介しておきたい
前転の横軸を 少し立てて 斜め軸にする
壁の近くで 肩越しに斜めって前転する 
回り終わった時点では 足の裏は斜めに壁に着いているはずだ
これのほうが 壁を蹴ったあとの回転ロスが少ないように推察する

このターンは キレイにまっすぐ前転できない人が(わたしもその一人)苦し紛れにやると そうなってしまう というケースもあるのかもしれないが 極めて日本人的な発想ではないか と思う
というのは 身体の動きが 柔道の前方受け身だからだ
高校時代 体育は 柔道か剣道の選択で わたしは柔道を選択した
柔道の基本は受け身である
前方受け身というのは 肩越しに斜めに(左肩から右腰 あるいはその逆 のラインで)前転して その勢いを 畳を手と足で叩く事で 相殺する のである
この経験がある人なら 斜め軸のターンの体術は 容易にイメージできるだろう
しかし 要請があったらだが 中高年の女性に このクイック・ターンを説明をするのは ドン・キホーテ的に難しい

鼻から息が出なくて 前転ができない という人に なんとか クイック・ターンを教える手段として 完全に縦軸に対する横回りのターンを教えるといい
その時点では 足は水面上に出ないので 遅いターンになってしまうのだが 動きを覚えたところで 足がギリギリ水上に出るぐらいに 縦軸を斜めに倒すと 見た目 ほぼ 普通のクイック・ターンと変わらなくなる





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