『ゲキを飛ばす』問題について

よく スポーツ記事などで 監督が選手に『ゲキを飛ばした』などと出てくるが こうした表現を使う記者は その意味を理解しているのだろうか?
ゲキは 『檄』と書く
三島由紀夫が 自害した際の遺書に使われて以来 よく使われるようになったのでは と思う
比較的多いのは 叱咤激励した といったニュアンスである
もし ゲキを『激』と かつて 田岡組長を襲撃した鳴海清が その犯行声明文に間違えて使った漢字で書くのであれば そういった意味があってもかまわない
しかし 記事によっては 『檄』の字を 正しく? 使っているものもある

細かい事であるとは思うが 東洋史学・木簡学の泰斗 大庭脩先生の薫陶を 史学学徒の端くれとしてナンチャッテながら受け 以来 私淑して止まない者として 誰も目を向けないブログながら 微力ではあるが一文を呈しておかねば と思う次第である
古い記憶を掘り起こしながら書くので 間違っていたらごめんなさい
興味があったら裏取りしてね

そもそも『檄』とは何ぞや?
檄とは 木簡の一種なのである
昔 紙が無かったり 貴重品であったりした時代は 木の札 つまり『木簡』が使われていた
だいたい サイズは決まっていた
墨で文字を書き 表面を削って再利用していたので 薄くはなるだろうが 長さや幅は 統一されていた
それを 紐でつなぎ合わせたものが『冊(サク)』である
『檄』は 通常の倍の長さの木簡だ
古代の中国の軍隊が 万単位で移動する場合 人 馬 戦車 輜重と 軍列は何キロにも渡る
そこで司令を行き渡らせるために 檄を携え 馬を飛ばして 伝令するのである
これが『檄を飛ばす』である

岡田監督が サトテルの打撃練習に顔を出し
「そこはアレやろ そこはアレやんか おーん」とゲキを飛ばした
という使い方より
巨人の監督に就任した小泉進次郎が ネクスト・サークルにいる 不振の坂本に伝令を通じてゲキを飛ばした
『迷ったときにはフルスイング!』
こちらの方が正しい使い方なのだ



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