卒啄同時 石火の機 は訓練できるのか?

水泳の選手クラス(小学生から高校生)を担当していた時 練習後 卒啄練習というのを 半ば遊びでやったことがある
卒啄というのは 鳥の雛が卵を破ろうとした瞬間 親鳥が外から卵のカラを破る ということだ
わたしが『はっ』と言った瞬間 選手たちが手を叩く
最初に伝えたのは はっ というのを聞いてから手を叩くのでは遅い はっ と同時に手を叩け
と言う事だ 
つまり 何がしたいかと言うと はっという号令を聞いて 脳が司令して手を叩くという反応を速くする ということではなく はっという号令に同調しろ という事だ 
やってみると 意外に反応が良いのに驚いたが 中には 明らかに皆から遅れて手を叩いて 笑いを集める選手がいる(中学生)
やがて彼も 同調のコツをつかみ 遅れなくなる
人間には 想像もつかないような能力が備わっている と安富歩さんはおっしゃっている
耳で聞いて 脳から指令を発して 身体が動く これは 随意動作だ
はっ という号令に 完全に同調するなら これは完全に 不随意動作だ
何かの運動動作をトレーニングする場合 目的の動作を邪魔する反射動作が出てくる
例えば 水に水平姿勢で浮きたい時には 地に足をつけて重力に抗っていたいという 生活様式に起因する反射が出てくる 
しかし そうした動作も 目的とする動作が可能である という確信の元に 制御することができる
あらゆる運動動作は それを阻害する反射動作の制御の末に獲得できると 言えるかも知れない
運動動作の洗練とは そういうものだろう

ある動作を洗練させるために 不要な反射動作を制御することは 意識によって可能だ
制御することは可能だが 出力するのは 可能なのだろうか?

井上尚弥の動画を見ていると 相手のパンチを避ける動作 カウンターを入れるタイミングが 不随意動作としか見えない
もしそうであれば 彼は 不随意動作を意識的にコントロールするトレーニングをしているのだろうか?
そして それは可能なのだろうか?

選手の子どもたちの 意外な反応の良さを思い返して こうした考えが浮かび上がってきた




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