2024年8月6日読売新聞掲載のバラク元イスラエル首相のインタビューを読んだ感想
長崎市が平和式典にイスラエルを招待しなかった件で、長崎市長が会見を開いて説明を行った。
長崎市長は7月31日にも会見を開いて考えを述べていたらしい。
31日の会見の言葉からすると中東情勢に関連するデモを起こさせないように配慮した、ということ以外にも、万が一滞在している間にイスラエルの関係者がテロにあったらそれこそ国際問題になる。そういう危惧を感じているのでは、と思える。
大統領就任の式典のためにイランに招かれたハニヤが殺害されているのだから、報復として同じ状況を狙われないとも限らない。
ハニヤの暗殺は、国際協調路線、米からの制裁解除を目標にするペゼシュキアンがイランの大統領になったのでイランと米を分断しておく、ハマス幹部を暗殺することでそれができる一石二鳥の機会がきたと思ってやったのでは、と思っている。
いくらテロ組織の幹部とはいえ、他国で犯罪行為を行えばそれは国家による他国への主権の侵害だ。
イランがこう言うのは当たり前だ。
昨日は昨日で、スデ・テイマン収容施設に入れられていたガザ市民のインタビューを読んで気持ちが沈んだ。
国連の報告によると、ガザの市民数千人が連行され、少なくとも53人が施設内で死亡している。施設内の虐待についてはイスラエル軍も認めて、関与した九人を処罰している。
「ロシアと一緒にするな」とは何なのか。
という暗澹たる気持ちで、8月6日(火)の読売新聞の朝刊に掲載された、イスラエルの元首相バラクがガザの即時停戦を求めるインタビューを読んだ。
バラクは首相時代もパレスチナに対して宥和的な姿勢だったが、人道や人権の観点からの理想論でそう主張しているわけではない。
そのほうがイスラエルの国益にかなう、現実的な解決策はそれしかない、と述べている。
現在起こっているガザの戦闘の問題点として「目的(終着点)が見いだせないこと」を指摘している。
ネタニヤフは侵攻の目的として「人質の奪還」と共に「ハマスの壊滅」をあげているが、当初から色々な人が「ハマスの殲滅は不可能だ」と述べている。そもそもハマスの指導者はガザにいない人間も多い。
それなのになぜ、ガザを殲滅する勢いで戦闘を続けるのか。
ガザで戦闘を続けるのは、強権政治を推し進めようとして国民から反発されていたネタニヤフの保身のためである。
そういう指摘は、侵攻が始まった当初からちらほら出ていた。
さすがにハマスの襲撃もネタニヤフが糸を引いていたのでは、わざと見過ごしたのでは、というのは行き過ぎた推測ではと思うが、この状況を自分に有利なように最大限利用しているのは間違いない。
バラクは本人も言っているが、平和主義者でも理想主義者でもない。元々軍人だったこともあり、パレスチナの動向は常に警戒しなければならないと述べている。
ただ不信があろうが、警戒心を抱き合っていようが、強い緊張関係にあろうが、お互いに衝突しないようにやっていくのがお互いの利益のためだろう。そう言っている。
「ガザの戦闘はイスラエルの自衛権の行使だ」として戦闘を続けるのは、イスラエルの国益に反した一部の権力者の保身のための理論である。現実を考えればハマスと交渉し人質の帰還をめざす、パレスチナとは宥和して二国間解決をはかる、それしかない。
そうはっきり言う人がイスラエルにいるのは良かった。
自分もガザにいる人たちと同じように、権力者が暴力を振るってきたら成す術もなく死ぬしかない人間だ。
自分と同じ立場の人が理不尽に抑圧される状況を見聞きするのは、背景や歴史はおいておいて単純に辛い。
とりあえず停戦して欲しい。