【ENNEAD(エネアド)感想】 S2第47話まで。「この国の悪神」←こういう現状からズレた認識を大真面目に言うところが、セトの魅力だ。
*ネタバレ注意。
◆第46話と47話を読むと、セトがなぜこれほどモテるのかよくわかる。
前にも書いたが、セトがモテるのは「自分の見ている世界を事実だと信じる頑なさ」のためだと思う。
46話47話の髭との絡みは、セトの魅力の真骨頂だ。
あの状況にあっても「俺はこの国の悪神だぞ」という自己像が揺らがない。
百歩譲ってセトの中で揺らがないのはいいが、「他人にその自己像を主張しても通じないかもしれない」とチラリとでも考えているフシがない。
セトの中で「この国の悪神」という自己像は、状況の変化や視点の変化によって変わるものではなく、普遍的で絶対的な事実なのだ。
セトは「(髭と)会話になんねえ」と言っているが、世界(周囲の人間や現状)と会話をしていないのはセトのほうだ。
「エネアド」はセト視点の話なので一見「髭がひどいことをしている」ように見える。(行為自体は確かにひどい)
ただ「自分(の認識)」を無視されれば、「こちらの話(認識)なんて一切聞いていないし興味もないのだから、こっちも好きにしよう」という発想になる。
さらにセトは、自分の中の強固な認識がまったく崩れないわけではない。
「そんなこと馬鹿でも信じないだろ」と思うような嘘は「そうなのか?」と信じてしまう。
「こんなアホみたいな話(失礼)を受け入れて(露骨に言えば)ヤラセてくれるということは、現状を認識しない頑なさは表面上のポーズにすぎないのでは」と働きかける側は思う。
「これは受け入れてくれるのか」「ではこうしたら、その世界観が壊れるのではないか?」と色々試していくうちに、行為がエスカレートして「狂った変態野郎」(第46話)になってしまうのだ。
オシリスが突然これまでの関係を破壊するようなイチかバチかの勝負に出たのはそのためだと思う。
セトを見ていると、気の毒だなと思う反面「そりゃ死ぬほど執着されるだろうな」と思ってしまう。
◆「んなことしたら一瞬で離婚だ!」と言いながら、他の男に○されてしまう展開←素晴らしい。
趣味の違う人には申し訳ないが、自分は「BL要素ありでメインは異性愛」のジャンルが好きだ。
A(男)はB(女)が好きなのに他の男とも関係を持ってしまう展開が好きなのだ。
なので、セトが「ネフティスの夫」というアイデンティティに強固にコミットしたまま、髭と関係を持つ展開に激萌えしている。
セトが元々同性愛者だったり、他の男と関係を持ったらそちらになびくような展開だったら、自分は「エネアド」にまったくハマっていなかったと思う。(元々BLにそれほど興味がない)
ちなみに「セトの立場のキャラが女性」の場合、百合カプのうちの片方が男に寝取られる展開も好きだ。
俗に言う「百合に挟まる男」と違うのは、ネフティスに当たる立場の人間はホルスなり髭なりに関わらず、お互いに興味がない点だ。
セトを巡って、ネフがホルスなりオシリスなり髭とバチバチする展開が一番好みだ。
そういう自分からすると、「ネフティスの夫」という意識を持ちながら(←重要)セトが他の男と関係を持つという展開は「それそれそれそれな!×100」と前のめりになるくらいドストライクなのだ。
作者のコメントを見ると、「エネアド」のメインルートはやはりホルセトのようだ。ネフセト派の自分からすると残念だが、作品のジャンルはBLなのでこればかりは仕方がない。
出来ればホルセトルートでもギリギリまで「俺はネフティスの夫でアヌビスの父親でエジプト最強の戦神」という心境のままで進んで欲しい。
◆余談
「メインはA×B(リバ可)の異性愛カプだが、男であるAが他の男と関係を持つという展開」は、BLでもないしNTRにも入らない(らしい)。
自分はこういう話が好きでよく書くのだが、余り見かけないということはニッチな好みなのかもしれない。(寂)
名称がないとジャンルとして広まらないので、何か名称が欲しいなあ。
*セト絡みではネフセト推しです。