「静と弁慶」という超大好きな読切漫画が遂に単行本化された

2024年1月4日(土)発売のジャンプ+読切集『情』。

ジャンプラ読切史上、というより今まで読んだ漫画作品の中でもトップクラスに好きな「静と弁慶」が収録されるとあって、ノータイムで予約注文しました。
ずっと紙で読みたい、所有したいと願っていたので本当に嬉しかったです。

紙になったことで、ページをめくるごとにこの作品の素晴らしさをより一層実感できます。

過去と現在がシームレスに交錯する映画のような構成で、読切なのにまるで長期連載作品の最終回のような静かな感動が押し寄せる。
まるでこの二人のなぎなたの歩みを、成長をずっと見守ってきたかのような錯覚に陥るんです。

ラストシーン、ふたりの愛おしさに胸がいっぱいになります。


あと、初めてアプリでこの漫画を読んだ時に衝撃を受けたのが、三木先生の絵の巧さです。
シンプルで今っぽいのにどこか懐かしさもあって、写実的なのに漫画的なかわいらしさも同居していて.....
素人ながら、時代を超えた普遍的な巧さのようなものを感じます。線が少ないのに「うまっ」となるという点は、高野文子さんや九井諒子さんの漫画と似たものを感じました。


私は夜の車内でなぎなたを挟んでふたりが座っているシーンが一番好きなんですが、本当に息を呑むほど美しいです。
額に入れて飾りたい。


それから、台詞回しもこの作品の大好きなポイントのひとつです。
本当にホームビデオをそのまま切り取ったような、周囲の人たちの何気ない日常会話が描かれることでそこに圧倒的なリアリティが生まれて、
「この人はきっとこういう人なんだろうなあ」
「過去にこういうことがあったんだろうなあ」
「こういう関係性なんだろうなあ」みたいにさまざまな想像ができる。
大げさに言えば画面にいるひとりひとりが生きて、生活をして、そこに人生があることをちょっとしたセリフから感じられるんです。
漫画的な大げさな表現はあまりないのですが、リアリティを描き切ることでドラマが生まれてるというか……
うまく言えないんですが、とにかく良いんです(語彙消失)。


誇張抜きに、何度読み返しても新鮮な感動をもらっています。

ずっと本棚に置いて、宝物にしたくなる作品。

気になった方はぜひご一読をおすすめします。マジで。

余談ですがこういった作品がアフタヌーン四季賞とかではなく、少年ジャンプのアプリで世に出たというところにマンガ業界の懐の深さというか、おもしろさを感じます。


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