見出し画像

海老芋の夢と現実

今年は紅葉が遅かったせいで何となくいつまでも晩秋の雰囲気でしたが、
それでも容赦なく京都の冬はやってきます。
愛宕山も比叡山も、白くなりました。

まだうっすら紅葉が残る山のむこうは雪景色

嵯峨の彩里オフィスも・・・さ、寒い。冬枯れの畑を渡る風の冷たいこと。
今年もあと10 日。年の瀬が迫り、京都の街は新年の支度でソワソワしています。

京都のお正月野菜といえば、金時人参と海老芋です。

金時人参は、西洋人参よりもずっと華奢で、色もオレンジではなく深い赤紅。見るからに「和風」なたたずまいです。中までしっかり紅いので、おせちの煮しめの彩りとしていい仕事をしてくれます。

そして海老芋
里芋の一種で、やや細長くエビのように反っているのが特長。(エビ、というほどではないか) 
サイズは里芋の兄貴といった風情で、味は濃厚、煮くずれしにくい。

この海老芋と棒鱈を炊き合わせた「いもぼう」(えびいもと棒だらの炊いたん)が有名ですね。こちらはオールシーズン食べられている、京のおばんざい。

お正月料理に欠かせない金時人参も海老芋も高級食材。この時期、京都の八百屋さんの店先にたくさん並んでいます。

時々彩里にやってきて一緒にお酒を飲み、帰りには野菜をたくさん貰って帰る顔なじみのおばちゃんが、「彩里さん、海老芋は作ってはらへんの? お正月用につくってくれへん?」と、少々あつかましいことを言い出したのは、今年の春先のことでした。

「おお、ほんなら、ウチでも作ってみるか」
と、井上さん快諾。
その前年には里芋がたくさん採れていたので、井上さん、勝算があったのだと思います。

これは2022年11月の様子。「いくらでもとれるんや」と、収獲した里芋を洗う井上さん

ところが。
記録的な暑さ(毎年その記録を更新しているような気がしますが)だった今年の京都。
せっかく植えた海老芋は、残念ながら全滅。
「気温が高すぎて、土が熱くなって、中で腐ってしもうたんやなあ」
井上さんは意外にさばさばした表情です。
「まあ、こんなこともあるわな。やっぱり農業は奥が深いな。もっと勉強せなあかんな」
と、どこまでも前向き思考。

11月になって「海老芋できましたぁ?」と、ウキウキしながらやってきたおばちゃん。
海老芋の夢破れて呆然。
それでも「今年は八百屋さんで買うけど、来年こそよろしくね!」と言い残し、かわりに立派に育ったサツマイモとカボチャをたくさんもらって帰りました。

ど迫力のサツマイモ。おせちの栗きんとんに使いましょう。


#里山 , #京都 , #嵯峨 , #田舎暮らし , #不動産 , #農業 , #半農半不動産業 , #株式会社彩里 , 

いいなと思ったら応援しよう!