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1000人以上に聖火トーチを手にしていただいた私が聖火ランナーになった理由⑤

2021年5月15日『東京2020オリンピック競技大会』の聖火リレーランナーとして地元島根県浜田市を走りました。

聖火リレー終了後、私が手に持って走ったトーチと共に浜田市内を巡り延べ1000人以上に手に持っていただきました。多くの方に笑顔になっていただいたことで、他の誰よりも私自身が心から嬉しいと感じました。

トーチを購入した理由は『みんなに笑顔になってもらうため』

オリンピック大会組織委員会から購入したトーチ。購入しないという選択もありましたが、購入に至った表向きの理由は記念としてです。また、私の心の根底にあった本当の理由は『私が手にしたトーチを多くの方に手にしていただきたくことで、明るい話題を生み出したい』と考えていたからです。

コロナ禍により規制の多い生活が続く中、トーチを通しオリンピックの臨場感を体験してもらうことで、少しでも明るさが取り戻せるのではないかと思いました。

息子へ

まず、一番最初にトーチを持たせたのは息子です。息子は、私が聖火リレーへ応募するきっかけの一因でもあります。また、聖火リレー当日に部活を休んで駆けつけてくれた息子に、一番にトーチを手に持ってもらいたいと思っていました。

介護事業所の利用者やスタッフの方々へ

聖火リレーの翌日、私が運営する介護事業所へもトーチを持って行きました。利用者やスタッフの方々にも、手に持っていただきたいと考えていました。皆さんがトーチを手に笑顔になる様子を見て、本当に嬉しいと感じました。

その様子はメディアでも取り上げられ、それを知った介護関係者の方から『うちにも持ってきててほしい』と要望が届きます。もちろん、喜んで他介護事業所へも持って行き多くの方に手にしていただくことが出来ました。

以下記事は、実際に利用者の方々にトーチを持ってもらったときのことを地方新聞『山陰中央新報』さんに記事にしていただいております。

市内の高齢者サロン

その後、さらに要望があったために地元浜田市に高齢者サロンにトーチを持っていきました。ありがたいことに多くの方に喜んでいただけて、市内にある高齢者サロン20ヶ所以上を巡ることとなりました。

※※高齢者サロンでの印象的だった話※※

足を運ばせていただいた高齢者サロンの中に、印象に残る訪問先がありました。それは、私の母親の実家がある地域の集会所です。ちなみに、その集会所は祖父の葬儀を行った思い出が残る場所でもありました。

私は子どもの頃、母親の実家がある田舎に行くと祖母と一緒に過ごす時間が長かったです。盆踊りや昆虫採集をはじめとして、祖母が様々な場所へ連れて行ってくれました。

そんな祖母も、コロナ禍のあいだに脳梗塞を発症し介護施設に入所してしまいました。祖母も元気であれば、私が訪問する際にもその集会所での高齢者サロンに参加してくれていたことでしょう。

そのことをとても寂しく感じていた私は、その高齢者サロンを訪問する前に祖母が暮らす介護施設にトーチを持って行きました。もちろん祖母にも、トーチを持ってもらい少しでも元気になってもらいたかったからです。トーチを見せると、柔らかな表情をしてくれたので祖母の心に少しでも温かなものを届けることが出来たのではないかと思います。笑顔を向けてくれる祖母にお願いして、トーチと共に写真も撮らせてもらいました。

元気であれば祖母が参加してくれるはずだった高齢者サロンでしたが、訪れてみると驚くことがいっぱいありました。それは、私の幼い頃を知ってくれている方がいたり、祖母の様子をきいてくださったりする方がいたことです。

祖母のことを気にかけてくださる方々には、祖母がトーチを持っている写真を見て頂き、みなさん安心してくださいました。

そこには、
『子どものときの私と今の私』
『倒れる前の祖母と今現在の施設で過ごす祖母』
といった、時間を超えて人と人とが繋がっている感覚がありました。

私にとっては、強く印象に残ることとなった高齢者サロンであり、特別な時間を過ごすことができた印象的な訪問になったと言えます。

市内の小学校へ

高齢者だけでなく、子どもたちにもトーチを持つ体験をさせてあげたいと考え、自ら知り合いの働く小学校に声を掛けました。その後、いくつかの小学校を訪問させていただきました。

気が付くと1000人以上に!

気が付くと1000人以上にトーチを手に取ってもらうことができました。誰もがトーチを手に笑顔になってくれて、その様子を近くで見ることができ私自身が嬉しいと感じました。

トーチがもたらしてくれたもの

トーチは長さ約70センチ、重さ1.2キロ、モチーフとして桜が描かれインパクトがあります。介護事業所では、トーチと共に記念撮影をする方、その写真をご家族へと送る方々もいました。また『意外と重いね』などと言いながら、会話が弾む利用者の方々も多く見受けられました。

高齢者の方々は、聖火リレーの裏話をすると喜んでもらえることが多かったです。

コロナ禍の暮らしの中で、誰もが自分で自覚する以上のストレスが溜まっていたはずです。ストレスは目には見えないだけに、自分が思う以上に心の負担となります。トーチを持って行き体験談を話すだけで、皆さんが笑顔になってくださいました。その様子を見て、少しばかりですがストレスを緩和出来たのではないかと感じました。

まとめ

冒頭でもお伝えしていますが、トーチ購入の表向きの理由は『聖火リレーの記念』としています。しかし本当は、多くの人の手にとってもらい非日常的な体験をしていただきたいと考えてたからです。結果として、トーチは購入した以上の価値が生み出されたように思います。

今現在も、コロナ禍の勢いは治まることはなく制限のある生活が続いています。その中で、トーチや聖火リレーの体験談を通し予想以上に多くの方に笑顔になっていただいたことは、私の喜びとなりました。

これからも、何かの形でお役に立ちたいと考えています。オリンピックや聖火ランナーの旬は過ぎてしまったかもしません。しかし、誰かが元気になってくれるのであれば、いつでもトーチを持って伺います!

これまで、長きに渡って私の東京2020オリンピック聖火リレーランナーの話しにお付き合いいただき本当にありがとうございました!


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齋藤憲嗣
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